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    星名カイ

    @kai40417

    2022年春からKUA通信イラストレーションコース3年次入学しました。こちらには本人の記録のため提出した全ての課題を置いてます。

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    星名カイ

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    芸術史講義ヨーロッパ2のレポートです。B78点でした。好き勝手書いたので単位もらえただけで儲け物ですが、専門以外のレポートって点数はつくけど、どこが足りないとか、そういうコメントないのはちょっと寂しいなー。

    #KUA提出物
    kuaProposal

    ロマン主義芸術における風景画の発展について:第13章13-5ウィリアム・ターナー《解体されるために最後の停泊地に曳かれていく戦艦テレメール号》、第9章ニコラ・プッサン9-8《ピュラモスとティスベのいる風景》

    美術史における重要な変化として、ここでは風景画を一例として取り上げる。
    宗教的絵画や神話をモチーフにした絵画のような、人物を主題とした絵画が現代では一般の消費活動に上がりにくいのと対照に、風景画は今も活発に新作が生まれ消費される分野である。では美術史の中で長期間背景にすぎなかった風景が、単独の作品として広く一般に受け入れられるようになる切欠は何だったのか。本学生は、それをウィリアム・ターナーの出現に見る。

    美術品として価値のある風景画を描く画家は、プッサンやヤーコブ・ファン・ライスダールなど、ターナーより前に出現している。しかしこれらの画風は、現代では用途が限られるであろう。その理由は、ライスダールは写実を重んじ、プッサンは画面の中に理想の形を表現したからだと考察する。前者は20世紀以降写真や動画の出現により重要性が減じ、後者は人々の生活様式が多岐に渡り複雑化する現代において、理想とは何かを一つに絞ることが不可能になった。《ピュラモスとティスベのいる風景》は完璧な構図の美しさを表現しているが、どこか不自然さ(もっといえばウソくささ)をも感じさせてしまう。美術品として価値が高いのは論を俟たないが、家のリビングに置きたいか? と考えると躊躇してしまう。

    ターナーは、クロード・ロランによる理想的風景画に大きく影響を受けつつも(*1)、ありのままの風景を、のちの印象派を思わせる幻想的な色彩によって表現した。《解体されるために最後の停泊地に曳かれていく戦艦テレメール号》(以下参照画と記す)では、構図の中に作為は感じられない。しかしそれゆえに、この絵画は現代においても、リビングに飾っても違和感がないのである。そして、写真ではあり得ない輪郭の消失と補色関係を大胆に使用した独特の幻想的な色使いが、この何気ない風景を唯一無二の絵画にしている。

    色は感情をもっとも反映しやすいコンポーネントであり、また芸術家の個性が一番発揮される部分である。何故ならば、輪郭線の自由度は2次元にとどまるが、色彩の自由度はそれを遥かに超えるからである。それゆえ、作者の感情や内面性を尊重するロマン主義において、色彩が重要視されたのは必然であり、そこに絵画が時代を超えて、千差万別の顧客に愛される可能性が開けたのではないだろうか。

    参照画では、夕刻の空の色から想起されるメランコリズムが、「解体されるために」曳かれてゆく戦艦に対する哀惜に呼応しているように見える。対象そのものよりも感情を描くことを風景画で可能にし、その結果現代まで消費活動が盛んな絵画分野を確立したことがターナーの偉業であると、本学生は結論する。

    本文総文字数 1197字

    *1 水野千依編「西洋の芸術史 造形篇II 盛期ルネサンスから19世紀末まで」113頁、藝術学舎、2013年、
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    星名カイ

    TRAINING知的財産研究、2023年8月提出、A90点。

    個人的に著作権についてはそれなりに勉強していましたが、とくにAI学習にかかわるあたりの情報は抜け落ちていたので、大変勉強になりました。
    YOIのトレパク騒動については、炎上当時非常に疑問を感じてブログに持論をぶちまけたりしていたので、そのときの資料が大変役に立ちました。なんでも買いておくものだなぁ。
    知的財産研究 レポートアニメ「ユーリ・オン・アイス」におけるトレパク騒動事例

    (1)
    2016年に放映された株式会社MAPPAの制作アニメ「ユーリ on ICE」およびその特典グッズについて、主に4件の著作権違反を疑う声があった。それぞれ異なる種類の著作権に絡んでいたため関心を持った。

    (2)
    ア)主人公のアパート室内背景が、インテリア・デザイナーのDenis Krasikov氏のデザインと酷似している問題で、Denis氏は制作側にクレジットを要求したが(*1)、MAPPAはDVD1巻発売時に該当場面を差し替えた。その後DVD第3巻、第4巻でDenis氏を美術デザイン協力としてクレジットした(*2)。
    イ)主人公がポールダンスを披露するシーンで、AFPBB Newsの写真をトレースしたとして炎上(*3)。MAPPAはDVD第5巻でAFPBB Newsを制作協力としてクレジットした(*4)。
    3904

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