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    さくら🌸

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    さくら🌸

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    相互の🍈雪まる🍈ちゃんのアイドル⚡️の妄想ポストからSSを書かせていただきました。
    アイドル⚡️とこっそり付き合ってる🎀ちゃんのお話。書きたいところだけざっくりと書いてあります。
    雪ちゃん書かせてくれてありがとう🥰

    #ぜんねず
    Zennezu

    Secret Treasure 今日もステージ上の善逸さんは、まぶしいくらいに輝いていた。
     たくさんのライトを浴び、キラキラと光る汗に濡れた金色の髪。柔らかな黄色と白でまとめられた衣装は、襟元の刺しゅうや胸元のリボンがアクセントになって、まるで王子様のようなきらびやかさを放っていた。伸びやかに歌い上げる声は会場全体を震わせ、弾ける笑顔は一瞬で客席を照らす。
     視線を巡らせれば、客席は一面、善逸さんのイメージカラーである黄色のペンライトに染まっていた。きらめく光の海が波打つたび歓声が湧き、その中心に立つ彼はまるで太陽そのものだった。

    「今日は来てくれて、ありがとうー!!」
    「みんなに会えて嬉しいよ、愛してるよ!」

     曲の合間のMCで、善逸さんが言葉を発するたびに、会場からは悲鳴にも近い歓声が上がる。

     「善逸くんー!」
     「かっこいい!」

     周りの女の子たちが声を張り上げ、必死にファンサをもらおうと手や大きなうちわを振っている。その熱狂の中で私も胸を高鳴らせていたけれど、気持ちはみんなとは少し違っていた。もどかしい期待を込めてステージを見つめるが、彼とは目が合いそうで、合わない。――いや、絶対に合わないのだ。
     私が客席にいるとき、善逸さんは一度たりともこちらを見ない。ファンに向けて全力で笑い、手を振り、歌って踊る。その姿に誇らしさを覚える反面、ほんの少しだけ寂しくなる。本当は、彼の視線を独り占めしたいのに。でも善逸さんはプロだ。ファンみんなに夢を見せるのが彼の本望であり仕事だから。それは私も十分、理解しているつもりだ。わがままな気持ちを抱えながらも、彼を支えたいと願う自分がいる。
     そして――そんな私だけが知っていることがある。

    △△△

    「ただいま〜!」
    「おかえりなさい、善逸さん」

     黒いバケットハットを深くかぶり、マスクで顔を隠して、人目を避けるように急いで帰ってきた善逸さん。けれど玄関のドアを閉めた瞬間、抑えていた感情が堰を切ったみたいに溢れ、帽子もマスクも乱暴に外して、そのまま私を強く抱きしめた。ライブ後にシャワーを浴びてきたのか、ボディーソープの清潔な香りが鼻先を掠める。

    「禰󠄀豆子ちゃん! 今日は観に来てくれてありがとう! でも……もう、ほんっと寂しかったんだから!! いるのはわかってたんだけど、見ちゃうとつい顔が緩んじゃいそうでさ。全然見れなくてつらかったよぉ……」
     その声は、ファンの誰も知らない“素の善逸さん”だった。私の胸に顔を埋めて甘える姿が愛おしくて、思わず髪を撫でる。
    「ふふっ、お疲れさまでした。でも今日のライブも、すっごくかっこよかったよ」
    「ほんと!? 禰󠄀豆子ちゃんにそう言ってもらえるのが一番うれしいよ……ねえ、今夜はもう離さないからね!」
     部屋に入ると、勢いよくソファにふたりで倒れ込む。けれど、テーブルの上に置きっぱなしの雑誌を善逸さんが見つけ、固まった。

    「え……な、なにこれ……!? 禰󠄀豆子ちゃん、見たの……?」

     そこには、先日発売された女性ファッション誌の特集号。大きく【SEX特集】と銘打たれた表紙には、上裸で挑発的に見つめる善逸さんの姿が。濡れたようにセットされた金色の髪、鍛えられた胸筋、汗を思わせる艶めいた肌――計算し尽くされた“色気”の写真だった。

     私は頬を熱くしながらも、その表紙から視線を逸らせない。
    「ごめんなさい……買っちゃった。だってこの善逸さん、かっこよかったから」
    「ううっ、やめてよぉ……禰󠄀豆子ちゃんに見られるの、ファンに見られるより恥ずかしいんだからぁ!」
     私を押し倒したまま頬を染めて、困惑したように髪をかき上げる善逸さん。その仕草が、雑誌の中の完璧に作られた色気よりも、ずっと生々しく艶っぽく見えてしまう。写真なんかより、いま目の前で照れて揺れるこの人の方が、ずっと私を熱くさせる。
     ――そう気づいた瞬間、胸の奥がどくんと震えた。そんな私に気づいたのか、善逸さんの目つきが鋭く変わる。
    「……禰󠄀豆子ちゃん。ベッド行く?」
     ステージでは聞くことのない、低く落ち着いた声。それが耳元で、どこか甘く誘うように響いた。
    「でもライブのあとだし……疲れてない?」
     無理をさせたくない気持ちが胸を締めつける。けれど善逸さんはふるふると首を振り、熱を帯びた瞳で私を見つめ返す。
    「……大丈夫。むしろ、今の俺には禰󠄀豆子ちゃんが必要なんだ」
     掠れた囁きは真っすぐで。熱を纏った手がそっと私の指先を絡め取る。頷いた瞬間、彼の飴色の瞳が溶けるように細められた。

    △△△

     淡く揺れる寝室の間接照明。大きなダブルベッドにそっと降ろされると同時に、重なる唇。最初はやさしく触れるだけだったのに、すぐに深く食い込むように強まっていく。唇を押し開けられ、熱を帯びた舌が遠慮なく滑り込んでくる。絡め取られた舌が離れるたびに、糸を引くほど濡れて甘い音が響いた。
    「ファンのみんなには見せない俺の顔……禰󠄀豆子ちゃんだけに、いっぱい見せるから」
     耳元に落ちる吐息が熱くて、背筋をぞくりと震わせる。頬や瞼に次々と落とされるキスは、くすぐったいのに、じわじわと身体の奥まで火を灯すみたいで。

     雑誌の表紙にいたのは、作られた理想の“アイドル我妻善逸”。けれど今、私を抱きしめて覆いかぶさっているのは、それよりもずっと危うく、艶やかで、抗えない熱を忍ばせたひとりの男だった。
     首筋をなぞる柔らかい唇。熱い舌先がかすかに触れる感触。絡めた指にこもる強い力。写真の中の演出された色気なんて比べものにならないくらいの、生の熱。
    「……ここでは、私だけを見ててほしいな」
     気づけば、震える声でそう呟いていた。胸の奥に溜まっていた独占の想いが、熱に浮かされ自然と零れ落ちる。善逸さんの瞳が一瞬大きく見開かれ、すぐに蕩けるように細められる。
    「もちろんだよ。ここでは、禰󠄀豆子ちゃんだけしか見ない。ファンのみんなは大事だけど……俺が欲しいのは禰󠄀豆子ちゃんだけなんだ」
     その言葉と同時に、再び深くキスをされ、世界から切り離されたみたいに二人だけの熱に閉じ込められた。

     重なるキスの合間に、ふと脳裏に浮かんだのは、さっきのステージの光景。
     まばゆいライトに照らされ、何千人もの黄色のペンライトの海の中で歌っていた善逸さん。マイクを強く握っていたその手が、今は私の頬を優しく撫で、腰を引き寄せる。会場に響かせていた声が、今は私の耳元で甘く掠れながら愛を囁いている。本当なら届かないはずの人が、誰よりも近く、私の唇を、肌を夢中で貪っている。彼の熱い吐息が触れるたびに、胸が甘く疼き、心臓が跳ね続ける。
    「善逸さん……好き……大好きだよ。誰よりもずっと」
    「禰󠄀豆子ちゃん……俺もっ、もう、好きすぎてどうにかなりそう」
     掠れた声が首筋から鎖骨を濡らし、理性の境界線を甘く溶かしていく。
     次の瞬間、衣擦れの音が重なり、熱を帯びた指がためらいなく服を解いていった。滑り落ちる布の感触と共に、互いの高めの体温がじかに触れ合う。目の前に現れた善逸さんの裸の身体は、雑誌の表紙で見た完璧に作られた上裸の写真なんかより、ずっと熱を帯びて、生々しかった。鍛えられた胸板や腕の筋肉が、私を抱きしめるたびに動き、息づく鼓動まで伝わってくる。その体温と力強さに包まれて、全身が甘く震える。
     「禰󠄀豆子ちゃん、もっと欲しい……?」
     まっすぐに見つめられながら囁かれる声に、堪えきれず「うん……」と頷けば、絡めた指先にさらに力がこもる。彼の熱が身体の奥深く食い込むように重なり、思わず甘い声が零れた。
     「善逸さんっ、もっと……近くに……」
     震える声でそう求めると、彼は切羽詰まった表情で私を抱きしめ、まるで溶け合うみたいに熱をぶつけてきた。


     ――ライブや写真だけでは伝わらない。
     本当の彼は、こんなにも激しく、甘く、私の心も身体も惑わせる人。世界でただ一人、私だけが知る彼の夜の素顔。触れ合う熱も、乱れる吐息も、すべてが私をさらっていく。

     ステージで見せる煌めきとも、雑誌の中の作られた色気とも違う、秘められた彼の甘美な姿――それは、私だけの大事な宝物だった。
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