❏設定❏
・とくになし
❏本文❏
〜人通りの少ない公園〜
彰人「暁山、お前な……突然呼び出されたかと思えば、一体どういう状況なんだよ……」
彰人:公園の遊具に挟まっている瑞希の姿を見下ろしながら、呆れたような表情を浮かべている
瑞希「あ、あはは……えーっと、本当はかくかくしかじかで済ませたいところなんだけど……学校帰りにコンビニに寄って、買ったお菓子を食べるために公園まで来てみたら、昔こんな感じの遊具で遊んだな〜って、懐かしくなっちゃって、つい……」
彰人「なるほどな……その頃より成長してデカくなった体を、幼児一人がようやく通り抜けできそうな穴に無理やり捩じ込んで、抜け出せなくなっちまった、と……」
瑞希「お、正解〜! さすがは、弟くん! よ、大統領!」
彰人「誰が大統領だ、誰が……ネタが古すぎんだろ……それに、なんでこの期に及んでそのテンションでいられるんだよ、お前は……」
彰人:再び呆れたような表情を浮かべると、小さく溜息を吐く
彰人「つーか、自力で抜けようとしても抜けられなかったってことは、オレが来たところでどうしようもねえだろ……」
瑞希「そ、そんなこと言わないで助けてよ、弟くん〜! この公園は人通りが少ないし、今ボクを助けられるのは弟くんしかいないんだよ!?」
彰人「……ったく、調子のいいことばかり言いやがって。オレしかいないってことはねえだろ。それこそ、オレの姉貴――絵名とは、かなり仲良くしてるんだろ。だったら、オレじゃなくて、絵名を呼べば――」
瑞希「またまた~! 弟くんがボクの立場でも、えななんにだけは助けを求めないくせに~!」
彰人「まあ、絶対にバカにしてくるだろうしな……」
瑞希「そうそう、ボクもそう思ったんだよね。その点、弟くんは本当に困ってる相手のことはバカにしないだろうしって。まあ、えななんも、散々バカにした後でちゃんと助けてくれるとは思うけど……」
彰人「……」
彰人:瑞希の言葉に納得しながらも、困ったような表情を浮かべる
彰人「つっても、この状況……一体、どうすれば……」
瑞希「う~ん、そうだなあ……実際にやってみなくちゃ分からないけど、後ろからお尻を押してくれれば……」
瑞希:滅多に見ることのできない恥ずかしそうな表情を浮かべたかと思うと、段々と言葉尻を小さくしていく
彰人「――――…………っ!?」
彰人:瑞希が発した言葉に赤面すると同時に、ギョッと目を見開く
彰人「あ、暁山、お前な……! い、一体、何を言って……!」
瑞希「へ!? ちょ、ちょっと、弟くん!? は、恥ずかしいのはボクのほうなんだから、ボク以上に赤くならないでほしいんですけど!?」
彰人「――――~~~~っ!!」
瑞希「そ、それに、弟くんはボクのことを知ってるんだし……赤くなる意味が分からないってゆーか……」
彰人「ボクの、って……」
彰人:すぐに性別に関することを言っていることに気がつくも、どこからどう見ても女にしか見えない瑞希の姿を見つめながら顔をしかめる
彰人「だ、だからってな……そ、そんな見た目じゃ、意識しちまうのは当然だろうが……」
瑞希「――――~~~~っ! も、もお~! は、恥ずかしいから、早くやっちゃってよ、弟くん!」