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    @t_utumiiiii

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    ※謎時空探偵パロ(1990年代を想定)
    Mr.ミステリーが男やもめのレオ・ベイカーの依頼を受けて失踪した娘の行方を探す二次妄想です(還…パロ)

    3「多少家探しをすることになるが、構わないか」
    Mr.ミステリーがレオにそう問うと、レオは自らの記憶の至らなさを悔いるように歯噛みをしながら「お願いします」と言った。
    大男が苦渋めいた顔付きながらそうやって頷くのを見届けてから、Mr.ミステリーはまず、床に散乱した督促状の日付を確認し、完全に乾いた使用済みの皿の上に冷食のトレイが重なって乗っている有様のテーブルの上に放った。

    程なくして、Mr.ミステリーは物々しい祭壇の裏に滑り落ちていたカレンダーを見つけた。そこには貼り付けられた何枚かの書類、メモ、そして「リサ・ベイカーの診察券」が挟まれている。
    「……娘さんは、何かの病気を?」
    診察券を拾い上げた彼が聞いてみると、男やもめに蛆が湧くという言葉通りに生気の失せた顔をしていたレオの表情は更に曇る。
    「あぁ……6歳の頃から、本当に急だった。それまでは、木登りをするぐらい元気な子で……なのに、急に、頭が痛いと言うようになった。薬を飲ませてもよくならないし、しまいには倒れてしまって……病院にも匙を投げられた」
    レオは言葉を続けながら、当時の腹立たしさを追体験するかのように、何も持っていない自分の手のひらを強く握り込んだ。
    「挙げ句、「心因的な問題があるんじゃないか」と言い出したんだ、あいつらは。俺の娘に、そんなっ、わけがないだろう!? 可哀想なリサ、キチガイ呼ばわりをされるだなんて……!」
    そして腹立たしさの行き場なく振り上げた拳を壁に叩きつけようとするレオに、Mr.ミステリーは眉一つ動かさず、「ベイカーさん、落ち着いて」と遮った。
    幸いにもその声はレオに届いた様子で、怒りに目を濁らせつつあった彼は、それでふっと我に返ったように振り下ろしかけた手を止めると、恥じ入る小声で「すまない、つい……」と言いつつ、降ろした拳を腹の前で隠すように、反対側の手で包んで握った。

    しかし続けて「ああ、でも、ひとつ思い出しました、」と、また思い出したことをぼつぼつと口にし始めると、どうにも落ち着かないのか、己の拳を握っていた手を開き、それがわなわなと震え出す。
    「あれから、しつこく連絡してきた医者がいたんです、女の……ジョーンズと言ったか。リサには適切な治療が必要だと!? あの、あの医師がリサを勝手に連れ出したんじゃないでしょうか、先生 ああ、もしそうだったら、一体どうしたら、今からでも警察に行くべきでしょうか!?」
    「……ベイカーさん、落ち着いて。まずひとつ、はっきりさせたいことがある」
    憤慨混じりに慌てふためき唾を飛ばす勢いで騒ぎ立てながら、今にもアパートから飛び出していきかねないレオの意識をこちらに向けるため、Mr.ミステリーは、先程よりも少しばかり大きな声を出す必要があった。
    そして、焦りの滲み苛立つような目を細めて睨むように見返してくるレオの巨躯と、垢染みて薄汚れたシャツ、彼の手から腕に残る古い火傷の跡をMr.ミステリーはいたって冷静に見遣りながら、「あんたの娘さんは、一体いつから姿が見えないんだ?」と問い掛けてみる。
    それに、レオは今に叫びだしそうな勢いでわっと口を開けたものの、そこに怒声は続かなかった。彼は自分でも信じられないような様子で愕然と、自分の手を見下ろしている。

    それからすっかり黙り込んだレオを見かねたMr.ミステリーが「……思い出せないのか?」と助け舟を出して、ようやくこっくりと小さく頷き、巨躯の肩を落とし、火傷の傷が残る指で己の涙を拭って鼻を啜り、喉が割れたように悲嘆に暮れた声で彼は、「リサ」と、娘の名前を呟いた。
    「いったい、どこに行ってしまったんだ……」
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    @t_utumiiiii

    DOODLE公共マップ泥庭

    ※日記のないキャラクターの言動を背景推理等から捏造
    ※捏造荘園設定
    一曲分(泥庭) 大勢の招待客(サバイバー)を招待し、顔も見せずに長らく荘園に閉じ込めている張本人であるのだが、その荘園主の計らいとして時折門戸を開く公共マップと言う場所は、所謂試合のためのマップを流用した娯楽用のマップであり、そのマップの中にもハンターは現れるが、それらと遭遇したところで、普段の試合のように、氷でできた手で心臓をきつく握られるような不愉快な緊張が走ることもないし、向こうは向こうで、例のような攻撃を加えてくることはない。
     日々試合の再現と荘園との往復ばかりで、およそ気晴らしらしいものに飢えているサバイバーは、思い思いにそのマップを利用していた――期間中頻繁に繰り出して、支度されている様々な娯楽を熱狂的に楽しむものもいれば、電飾で彩られたそれを一頻り見回してから、もう十分とそれきり全く足を運ばないものもいる。荘園に囚われたサバイバーの一人であるピアソンは、公共マップの利用に伴うタスク報酬と、そこで提供される無料の飲食を目当てに時折足を運ぶ程度だった。無論気が向けば、そのマップで提供される他の娯楽に興じることもあったが、公共マップ内に設けられた大きな目玉の一つであるダンスホールに、彼が敢えて足を踏み入れることは殆どなかった。当然二人一組になって踊る社交ダンスのエリアは、二人一組でなければ立ち入ることもできないからである。
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    @t_utumiiiii

    DOODLE※日記のないキャラクターの言動を背景推理等から捏造
    ※捏造荘園設定

    マーサが香水使ってたらエブリンさん超怒りそう みたいな
    嫌いなもの:全ての香水の匂い(広義のウィラマサでエブマサ) チェス盤から逃れることを望んだ駒であった彼女は、空を飛び立つことを夢見た鷹の姿に身を包んでこの荘園を訪れ、その結果、煉獄のようなこの荘園に囚われることとなった。そこにあったのは、天国というにはあまりに苦痛が多く、しかし地獄というにはどうにも生ぬるい生活の繰り返しである。命を懸けた試合の末に絶命しようとも、次の瞬間には、荘園に用意された、自分の部屋の中に戻される――繰り返される試合の再現、訪れ続ける招待客(サバイバー)、未だに姿を見せない荘園主、荘園主からの通知を時折伝えに来る仮面の〝女〟(ナイチンゲールと名乗る〝それ〟は、一見して、特に上半身は女性の形を取ってはいるものの、鳥籠を模したスカートの骨組みの下には猛禽類の脚があり、常に嘴の付いた仮面で顔を隠している。招待客の殆どは、彼女のそれを「悪趣味な仮装」だと思って真剣に見ていなかったが、彼女には、それがメイクの類等ではないことがわかっていた。)――彼女はその内に、現状について生真面目に考えることを止め、考え方を変えることにした。考えてみれば、この荘園に囚われていることで、少なくとも、あのチェス盤の上から逃げおおせることには成功している。
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    @t_utumiiiii

    DOODLEクリスマスシーズンだけど寮に残ってる傭兵とオフェンスの象牙衣装学パロ二次妄想ですが、デモリー学院イベントの設定に準じたものではないです。
    the Holdover's Party(傭兵とオフェンス ※学パロ) 冬休み期間を迎えた学園構内は火が消えたように静かで、小鳥が枝から飛び立つ時のささやかな羽ばたきが、窓の外からその木が見える寮の自室で、所持品の整理をしている――大事に持っている小刀で、丁寧に鉛筆を削って揃えていた。彼はあまり真面目に授業に出る性質ではなく、これらの尖った鉛筆はもっぱら、不良生徒に絡まれた時の飛び道具として活用される――ナワーブの耳にも、はっきりと聞こえてくる程だった。この時期になると、クリスマスや年越しの期間を家族と過ごすために、ほとんどの生徒が各々荷物をまとめて、学園から引き払う。普段は外泊のために届け出が必要な寮も、逆に「寮に残るための申請」を提出する必要がある。
     それほどまでに人数が減り、時に耳鳴りがするほど静まり返っている構内に対して、ナワーブはこれといった感慨を持たなかった――「帝国版図を広く視野に入れた学生を育成するため」というお題目から、毎年ごく少数入学を許可される「保護国からの留学生」である彼には、故郷に戻るための軍資金がなかった。それはナワーブにとっての悲劇でも何でもない。ありふれた事実としての貧乏である。それに、この時期にありがちな孤独というのも、彼にとっては大した問題でもなかった。毎年彼の先輩や、或いは優秀であった同輩、後輩といった留学生が、ここの“風潮”に押し潰され、ある時は素行の悪い生徒に搾取されるなどして、ひとり一人、廃人のようにされて戻されてくる様を目の当たりにしていた彼は、自分が「留学生」の枠としてこの学園に送り込まれることを知ったとき、ここでの「学友」と一定の距離を置くことを、戒律として己に課していたからだ。あらゆる人付き合いをフードを被ってやり過ごしていた彼にとって、学園での孤独はすっかり慣れっこだった。
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    @t_utumiiiii

    DOODLE象牙衣装泥庭二人とも怪我してるみたいで可愛いね🎶という趣旨の象牙衣装学パロ二次妄想(デモリー学院イベントの設定ではない)です
    可哀想な人(泥庭医 ※学パロ) 施設育ちのピアソンが、少なくとも両親の揃った中流階級以上の生徒が多いその学園に入学することになった経緯は、ある種“お恵み”のようなものであった。
     そこには施設へ多額の寄付したとある富豪の意向があり、また、学園側にもその富豪の意向と、「生徒たちの社会学習と寛容さを養う機会として」(露悪的な言い方になるが、要はひとつの「社会的な教材」として)という題目があり、かくして国内でも有数の貧困問題地区に位置するバイシャストリートの孤児院から、何人かの孤児の身柄を「特別給費生」として学園に預けることになったのだ。
     当然、そこには選抜が必須であり、学園側からの要求は「幼児教育の場ではない」のでつまりはハイティーン、少なくとも10代の、ある程度は文章を読み書きできるもの(学園には「アルファベットから教える余裕はない」のだ)であり、その時点で相当対象者が絞れてしまった――自活できる年齢になると、設備の悪い孤児院に子供がわざわざ留まる理由もない。彼らは勝手に出ていくか、そうでなければ大人に目をつけられ、誘惑ないしだまし討ちのようにして屋根の下から連れ出されるものだ。あとに残るのは自分の下の世話もおぼつかないウスノロか、自分の名前のスペルだけようやっと覚えた子供ばかり――兎も角、そういうわけでそもそも数少ない対象者の中で、学園側が課した小論文試験を通ったものの内の一人がピアソンだった。
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    recommended works

    @t_utumiiiii

    DOODLE #不穏なお題30日チャレンジ 1(2).「お肉」(傭オフェ)
    ※あんまり気持ちよくない描写
    (傭オフェ) ウィリアム・ウェッブ・エリスは、同じく試合の招待客であるナワーブと共に、荘園の屋敷で試合開始の案内を待っていた。
     ここ数日の間、窓の外はいかにも12月らしい有様で吹雪いており、「試合が終わるまでの間、ここからは誰も出られない」という制約がなかろうが、とても外に出られる天候ではない。空は雪雲によって分厚く遮られ、薄暗い屋敷の中は昼間から薄暗く、日記を書くには蝋燭を灯かなければいけないほどだった。しかも、室内の空気は、窓を締め切っていても吐く息が白く染まる程に冷やされているため、招待客(サバイバー)自ら薪木を入れることのできるストーブのある台所に集まって寝泊まりをするようになっていた。
     果たして荘園主は、やがて行われるべき「試合」のことを――彼がウィリアムを招待し、ウィリアムが起死回生を掛けて挑む筈の試合のことを、覚えているのだろうか? という不安を、ウィリアムは、敢えてはっきりと口にしたことはない。(言ったところで仕方がない)と彼は鷹揚に振る舞うフリをするが、実のところ、その不安を口に出して、現実を改めて認識することが恐ろしいのだ。野人の“失踪”による欠員は速やかに補填されたにも関わらず、新しく誰かがここを訪れる気配もないどころか、屋敷に招かれたときには(姿は見えないのだが)使用人がやっていたのだろう館内のあらゆること――食事の提供や清掃、各部屋に暖気を行き渡らせる仕事等――の一切が滞り、屋敷からは、人の滞在しているらしい気配がまるで失せていた。
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