穏やかな夜に祈りを「ネロ!聞いてください!!」
リケは憤慨していた。これはもう、誰かに聞いてもらわねばと思ったところで、頭に浮かんだのはネロの顔だった。
まだ少し朝食には早いけれど、この時間ならネロはもうとっくに起きて朝食の準備をしてくれている。手伝うついでに、話を聞いてもらおう。そう思い立ったリケは、一直線に、冒頭の台詞と共に、キッチンに突撃したのだった。
「お、おはようリケ。今日も早いな」
「おはようございます」
迎えてくれたのは、想像通りの優しく目を細めた、柔らかい微笑みで。小麦の焼けるいい匂いもあって、リケの怒りはすーっと引いていく。
「僕も手伝います!」
「はは。ありがとな。じゃあ、手洗って、野菜を頼もうかね」
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