雪童子は薄暗い部屋の中で体を縮こまらせて座っていた。かれこれ長い間どこにも行かずにこうして待っているが、何もない。
『式神欠片契約書』という、必要な数集めるとその妖怪を確実に召喚でき契約を結ぶことができる紙切れがある。これは平安京の町中で開催される百鬼夜行に参加した妖怪が、券を使って百鬼夜行に参加した陰陽師を認めた際に渡すものだ。雪童子はこれを集めたある陰陽師の契約書の召喚に応え、契約を結び式神となった。
『式神欠片契約書』は集めるのが非常に困難で、希少度によって必要な数が違い、希少度が高いものほど必要な数が多く、手に入りにくい。あまりに手に入りにくいため、希少度が高いものは他の陰陽師に譲ってもらったりと協力してもらわないと集めきることはできない。希少度は百鬼夜行の参加率で決まっているらしい。希少度は低い順からN、R、SR、SSR、SPとあり、雪童子はSSRに分類されている。
集めるのにはとても苦労しただろう。契約書で召喚してくれたのが嬉しくて、雪童子は式神たちの部屋が集まる結界の中の与えられた部屋で指示が来るのを嬉々として待っていた。
しかし、季節が変わるほどの月日が経っても、何もなかった。
雪童子は忘れられてしまったのだろうか、と不安になった。