――存在しない筈の宇宙が、なぜひとつの世界として存在しているのか。
酩酊したようにぐらつく意識を絞り出し、夢中で、問いを投げ掛ける。回答。それを論駁し、新たな真理を打ち立てんとするように叫ぶ。
――■■■■■■■■■■■■■。
――其がそれを善しとされたから。
気がつくと、目の前には絶えず水の涌き出る白銀の盃があった。槍のように降り注がれる赤い光。新たな運命が、僕の目の前で手招きをしているようだ。僕はその道に足を踏み入れるため、瞬く間に黒ずみ、ボロボロと崩れ続ける盃を手に取り、ゆっくりと慎重に傾けた。滑らかに動く喉。呑み込んだ毒のような運命は、凡人の一生のように苦い。自らの運命が確定するその日を、僕はずっと待っていたのかもしれない。
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