馬鹿げている クロウリーにとって最悪の日となった。アジラフェルが天国へと行ってしまったからだ。
もし人間がこう聞いたなら、気の毒そうな表情を浮かべて、そっと肩に温かな手を置いて励まそうとするだろう。気を落とさないで、とか何とか言いながら。
だがアジラフェルは天使であるから、それも追放された天使だから、天国へと帰れることを喜んでいた。それはもう、ここ千年間どころか一億年でも見たことがないくらいの喜びようだった。そしてその喜びをクロウリーと分かち合えると信じきっていた。
あの天使はクロウリーが天使に戻りたいのだと、本気で思い込んでいるのだ。それはもう心から、本気で、信じきっている。そこにクロウリーの言葉は届かないのだ。
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