婚儀の朝 石の寝台に敷いた布が湿っている。ヒュンケルよりも先に目覚めたラーハルトは、起き上がり、白い器の水を飲み干した。老いた神官に案内された古い神殿。その部屋は、床より数段高く作られており、東側の壁には明り取りの大きな窓があった。二人は小さな灯火のもと、どちらが言うでもなく、互いの熱を確かめ合いながら夜を過ごした。
あとは、部屋に点した燭台の焼け焦げた芯を、日が昇る前に二人で湖の祠に備えればよい。婚礼の儀そのものは思っていた以上に簡単だった。半日前、日が暮れかける頃に、湖畔に出向き儀式は始まった。伴侶となることを示す言葉を竜の神に告げる。二人で摘んだ香草を燃やし、供物の酒を湖に注ぎ、残りを一口ずつ飲んだ。
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