ワンドロお題「看病」俺は、外見から解るように魔族の血が濃い。
だから病気の類は一切しなかったし、するわけがないと思っていた。
そう、思って「いた」。
高熱の発熱という前代未聞の感覚。
行動は勿論、思考もままならない。さっさと意識を投げ出したい。
それができないのは何故かというと―
「…早くパプニカなりデルムリン島なり行けというのに…」
魔族に取りつく病気なのだ、人間で半死人のヒュンケルなど罹患すればひとたまりもない。そう何度も急かしているというのに。
「馬鹿。そんな状態を放っておけるわけないだろう。」
俺の心配なぞせんでもいいわと言い放ちたいのだが、流石に説得力がないのはわかっている。
熱のおかげで語彙力が低下しているのもあって、この頑固者にかける言葉がなかなか紡げない。
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