冬の日 眠りながら、雪が降ってきたな、と気付いた。
大雪の日の夜は、いつも静かなこの山王工業のバスケ部寮の周りが、もっと静かになる。
しんしんと降る、というのは間違っていない。
音を吸い込んで世界が静かになるのが好きだ。
目を開けると、深夜なのにぼんやりと窓の外が薄青くなっている。吐く息が白い。カーテンを開けて外を見て、景色に白が積もっているのを確認した。
今年も冬が来たのだと、深津は少し嬉しくなる。
昔から静かな冬の夜が大好きだった。
1人きりになったような、冷たい澄んだ空気の中で、暖かい布団で眠るのが気持ちいい。
明日の朝になれば、練習より何よりもまずは外の雪かきだ。1年の頃は、深津の実家がある県南地域よりも重い雪に苦労したものだ。
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