もふもふに拐われる【世界観とここまでのあらすじ】
普通にポケモンがいる世界でアイドルしてる。
星奏館に帰宅中にけがしたチルットを見つけた藍良は見捨てることも出来ず、手持ちの『きずぐすり』で手当てをすることに……。
空からキュイと鳴き声がしたので、藍良は上を見上げる。そこには三体のチルットがいた。
こちらの様子を伺うように飛び回っている様からこの子の仲間なのだろう。
「きみのお仲間が迎えにきたみたいだよォ」
膝の上にいるチルットにそう声をかけると、藍良の言葉に呼応するようにキュイ♪と一鳴きして羽ばたいた。
群れに戻ったチルットはすぐに飛び去るかと思いきや、キュイキュイと迎えにきた三体に何か話かけている。
それを微笑ましく見守っていると、チルットたちは何かを決めたようにキュキュと鳴く。
一度は飛び立ったチルットが再び戻ってきたと思えば、藍良の両腕と両肩に一体ずつ止まった。
「さすがに重いんからおりてくれない!?」
そう言ってみるもののチルットはキュイ♪と鳴くだけで退く気配はなかった。
「ほんぎゃあ!? えっ『そらをとぶ』!? 何で!?」
キュキュキュイ!とチルットたちが鳴くと同時に羽を羽ばたかせると、藍良の身体は地面から離れていった。
「なんで!? どこに連れてくの!?」
離して! と叫びたくてもここで離されたら地面にまっ逆さまなので、声に出したくても出せなかった。
「おれ餌じゃないよォ!! ヒロくん! マヨさん タッツン先輩! もう誰でもいいから助けてェ~~!」
その叫びも空しくチルットたちに連れられ、藍良はどこかへ運ばれていくのだった。
その後、チルットの巣に巽の昇天ドライブでかけつけた『ALKALOID』ご一行は、巣のオヤブンにあたるチルタリスと交渉し、無事に藍良を助け出すのだった。
「ウム。『わたしたちの仲間を助けてくれたお礼をしたかった』と彼女は言っているよ!」
「悪気がないことはわかったよォ。てか、相変わらずヒロくんの翻訳能力はなんなワケェ……!?」
おわり。