up to fate 闇鍋の始まり突然だった、本当に突然だった
待ち合わせ場所に向かう所だった。気温38.2猛暑、建物からの照り返しがきつい。
飲んだスポドリも体に糖質やミネラルを残して吐き出される。
「あちぃ」
こんな暑かったら黒色の車のボンネットで目玉焼き作れるかも、なんてどうでもいいことを考え始めてしまうくらいにあちぃ。
足が縺れる、めまい?暑くてめまいは初めてだ。
目に見えるもの全てぐにゃぐにゃに見え立っていられない。
その場で腰を下ろそうとしたときアスファルトは細かく割れ、隙間から見たことのない白い実のついた植物。なんだこれと思ったそのとき足元から飛び出た太い何かが見えた。
見たと同時に倒れた。刺さった気がする。避けた気もする。一瞬固まった。
死んだと思った。
自然に見上げたが既になかった、鋭い針のような木の根以外は。
フラッシュバックの様に思い返す。
ギリギリ当たらなかった様な気がする。
また固まる。
固まった頭のまま反射的に体を起こし立ち上がると、ビルから見たことのない草木が生え一部近未来を感じさせる何かが張り付いていたり、電柱がねじれていたり。まるでコラージュやシュールレアリスムを感じさせる世界に自分と同じ様に固まった人達が居た。
また、同じように固まっている人類ではない人も居た。
周辺視野にバタバタ暴れる何かの影で意識が戻る。その陰にピントが合ったときにイメージと理解が瞬時に結びつく。
「人魚的なやつか!」
迷い無く駆け寄る
始めて見る姿、だけどなにが足りないかどうしたらいいか感覚的に分かる。常識の様に入っていた。
駆け寄った人がもう一人、トラの様な人。
何かを話しかけている、口で表現すれば ワウワウ ガフガフ グルグル
そんな感じにしか聞こえない。でも自分は走り出した
「水だ!彼女には水が必要だ」
水を探しに走って最初に目についたのがブルーシート、運がいい。
だが、コンクリートに挟まっている部分が邪魔をする。
クソ、取れねぇと漏らしたときメカニカルな腕が現れた
取れた、その反動のまま走り出す。
背面から「行け!」の意味の音が聞こえた。
使えそうな物を先に渡したくて急いで戻ると、トラの人がタンクの様な物から慎重に水をかけていた。
アイテムがそろった。
トラの人はこちらに気が付く。
「ブルーシートあったああ!」思わず叫んだ。
トラの人は水かけ役を変わり手早くがれきを集め器状の場所を作りガフガフ言っていた。
もう少しだがんばれ。
ブルーシートを敷く
人魚を寝かしてタンクに拳で穴を開ける
水が溜まった。
関わったであろう人たちが人魚を囲む
人魚は笑顔だ
笑顔だが 遅かった
遅かったことが分かったそのとき間髪を容れず鈍い揺れ、見えるもの全てがダブって見え、人魚は幽体離脱したかのように見えた。
悲しい、悔しいなんて感情が起こる暇さえなく、ただ強烈な違和感を残した。
そして人魚を囲んだ5人で目を合わせた。
以上が様々な世界が混ざってしまった世界の初体験の出来事。
そしてこの世界は 「闇鍋」 と呼ばれる事になる。