見栄っ張りと意地っ張り【全年齢】プルルルル、プルルルル
「……」
「おい、出ないのか?」
「……あぁ、きっと大したことじゃない。」
ほぼ毎日のように入り浸っているヴォックスの家で夕食を済ませ、酒を軽く開けて、ソファでお互いにだらだらと過ごしていたその時、
突如机の上でスマホの震える音と着信音が鳴り響き、それをヴォックスはただ眺めている。
ヴォックスの様子がおかしいと気づいたのは1週間ぐらい前からだった。
普段自分からポストなんて確認しないはずなのに、早起きして見に行くようになったり、
近くのコンビニやスーパーに行くのにも帽子やメガネをしていくようになったり、と明らかに挙動不信で、スマホの着信を無視するのもそのひとつだった。
「大したことじゃなくてもせめて出なきゃ失礼だろう。」
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