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    猫瀬17mEq

    @StillSleepyNECO

    ねこせ17mEq
    日本語 / English( just studying!)
    漫画・イラスト・小説


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    猫瀬17mEq

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    🔮🌌×⚡🐑

    星のはなし
    *色々と設定捏造

    #Psyborg
    psychborg

     静かにガラスの扉を開けて中に入り、ベッドの横にある白いサイドテーブルに、スープとコーヒーの乗ったトレーをそっと置き、閉じていたカーテンを開く。
    「浮奇、」
     と声をかけ、紫色の柔らかな髪を撫でるが起きる気配はない。
     数年に一度、月と惑星、星が何らかの条件を満たした日、星から授かり、灯った光の副作用とでも言うように、彼は星と1つになり、眠り続けるのだ。

     宛ら小さい天文台のような部屋はその影響だろうか、明かりをつけずとも不思議な白い光と暖かさで満たされており、時折どこからともなく、パチパチ、しゃら、と何かが弾けたり擦れるような音が聴こえてくる。
     小さく艶やかな唇から伝わる浅い呼吸と華奢な手首から伝わる仄かな熱が、そこにまだ存在し続けている証として残っているのだった。

     彼の眠っているベッドの縁に腰掛けてサイドテーブルの引き出しからコットンを取りだし、軽くスープに浸して、そっと口許に垂らしてやると、反射的にごくり、と飲み込む。
     以前同じことがあった時に、
    「別にお腹はすいたりしないし、大丈夫だよ」
     と言ってはいたが、何となくただ目覚めるまで何もせずに見守るだけと言うのも申し訳ない気もするし、自分が何かしてやりたいのだ。
    「気にするな。俺がしてやりたいんだ」
     と言うと、
    「優しいんだね」
     と微笑んでいた。

     今回はどうも数100年に1度の天文現象らしく、彼が眠り初めてから既に1ヶ月が経とうとしていた。
     時折少し苦しげに顔をしかめたり、んっ、と声をあげたりしていて、不安になってくる。
     何が起こっているのかは分からないが、そういう時は大抵どこかの大きな星が消えただの、惑星やら太陽で爆発が起こっただとかいうニュースが流れているから、恐らくそれに共鳴しているんだろうな、と思ったりしていた。
     いつか、眠っているだけで痛みを感じたりはしないし、死にもしないから心配しないでね、とも言っていたが、それでもやはり苦しそうな声をあげていたり、ぴくり、と跳ねる身体を見ると不安にならざるを得なかった。

    「もし、このまま浮奇が目覚めなかったら、彼処に未来永劫、彼の名前が残ることになるのだろうか」なんて思いながらも、自分と遥か何光年も離れたところで一人燃え尽きる日はきっと彼には堪えがたいものだろうな、と想像したりもするのだ。

    「一人にしないでくれ、浮奇……」
     彼の手を自分の頬にあて、呟く。
    こんなことを聞かれたら女々しいなんて思われるだろうか、それともこんなにも不安に溺れた俺でも、その宇宙のように広い心で受け止めて、愛してくれるだろうか。

    「俺はずっとふーちゃんの側にいるよ」
     急に聞こえた声にはっとして視線を落とす。
    「……浮奇」
    「おはよう、かな?」
     長いこと眠っていたせいで少し掠れた、どこか嬉しそうな声でそう言った。
    「聞いてたのか」
     気恥ずかしさからうろうろとする目線をなだめ、彼のアメシストのような瞳を見つめる。
    「うん。丁度目が覚めたところだったから」
     ほら、と窓の外に視線をやる彼につられて顔をあげると、いつの間にか夜が朝に溶け始めていた。

    「綺麗だね」
     よいしょ、と上半身を起こして、遠くの方を眺める彼の髪は、少しずつ昇ってきた太陽の光に透け、体に宿す星の光に反射しているかのように微かに輝いて見えた。
     そんな彼が儚く綺麗で、愛おしくなり、思わずぎゅっ、と抱き締めた。

    「どこかに行ったりしないし、消えもしないよ」
     俺の不安を察したのか、背中に腕をまわして距離を縮める。
    近くなった体温にほっとして、首もとにキスをする。
    「そんなこともお見通しなのか」
    「ふーふーちゃんの事ならなんでも分かるよ」
    「全部は分からなくていい」
    どうして?という彼の柔らかな唇にまた優しくキスをして、それは内緒だ、と笑った。

     全部知られてしまったら、もしかしたら隣にいるのが自分でなくてもよくなってしまうかもしれないから。なんて独占欲じみた思考と、君への思いの全てでなくても、俺の口から形にしたいんだよ。という少し甘すぎるような言葉を冷めたコーヒーと一緒に飲みこんだ。

    「さ、朝食にでもしようか。浮奇の食べたいものを何でも作ってやるぞ」
    恥ずかしさを隠すようにいつもより少し大きな声で言うと、顔をぱっと輝かせてさっそくベッドから降りて、早く早く、と言わんばかりに手をとって駆けていく。
     寝起きから元気だな、なんて笑いながら部屋を出る。

     閉まりかけた扉の隙間から、明けの明星が二人に祝福を送るかようにひときわ輝いているのが見えた。
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    猫瀬17mEq

    PROGRESS👹🦊 曲パロ
    傘村トータさんの 君を好きなことがバレた
    のパロをベースに肉付けした創作物になります
    The love I found is you / 愛が何かと問われれば 無駄にでかい手のひら、温かいベッドと食卓、それから少し弱気なときのお前。俺が誰かに「愛とは何か?」と聞かれたらそう答えると思う。なんて、そんな事を呑気に考えながら、見慣れない車窓の外をぼんやりと眺める。

     遡って数時間。ヴォックスを好きなことがバレた。だからどこか遠くへ行こうと思って、ここ2年程で慣れ親しんだ家から必要最低限のものだけひっつかんで飛び出してきた。まあ、バレたところできっとあいつは大して気にしないだろうけど、俺からしたら大問題だった。絶対に知られちゃいけないことも世の中にはあるってわけだ。探偵の俺はそれを探すのが仕事なわけだけど、そういう話はまた別な話って事で。な?

     お互い“そういう関係”として好きだとか、特別な存在だからとか、そんな事はなく、ただ生まれ故郷は違えど近い所に住んでいるなら一緒に住んだ方が身の回りをサポートしあえるだろう、とかそういった理由で住み始めたんだったな。朝が来たら俺より早く起きていて朝ごはんを作ってくれていて、落ち込んだ夜には俺が落ち着くまで何時間でも大きい手で俺の顔を包んで「大丈夫だから」と言い聞かせて抱きしめてくれてたっけ。2人で朝まで飲んでくっだらない事で手叩いて大笑いした夜もあったよな。これからは俺がいないベッドで1人目覚めて、俺のいない1日を過ごして、そのうちそんな日のも慣れて、俺なんかいなくてもいいんだって、気づけばいいんだ。
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