卵を産むキアラと死神の話「あー‥カリ?」
「ん?どうしたのクソ鳥」
パソコンに向かって歌の編集をしていた私は回転椅子を回して声のしたほうへ体を向ける。
声の主のキアラはおずおずと何故だかぎこちない。
「えっと‥今日お風呂先入っていい?」
「え」
突然キアラから言われたその言葉に一瞬私は戸惑う。
というのもキアラはよく私が先に入っていると遅れて入ってくるのだ。
(カリー!私も入るー!!)だの
(カリの背中、私が流してあげる!)だの
何かと理由をつけて一緒に入ろうとするのだ。(ただでさえ風呂場が狭いのでやめてほしい)
だからこそ、こんなこと言われるのは初めてだった。
「あの‥カリ?」
停止した思考がキアラの声で再び動き出す。
「あ‥もちろんよ。どうぞ」
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