「僕に?あまり適役ではないと思いますが……」
ジェットが男性陣の部屋にてひとり読書をしていたクライヴに家族割のことを話すと、そんな気乗りしていなさげな答えが返って来た。
「家族のフリをするとして、兄役です?父役です?どちらも僕とあなたでは見た目的に少々適していないように思いますけど」
「それは俺も分かってる。でも、残り二人をあてにしてみたところで、うんざりな結果は目に見えてるだろ。あいつらがマイスターにうまく隠し通せるとは到底思えねえ」
「それは。……そうかもしれないですね」
クライヴはジェットの言葉に苦笑した。きっと、イマイチ隠し事がうまくないリーダーとムードメーカーがマイスターの前で盛大に失敗する図を想像したのだろう。
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