供養①「あ……ま、まって、まってくださぃ」
「いーや、待たない」
「つなしさんっ!」
「だーめ」
「やっ、あっ! 痛っ!」
「ここが痛い?」
「い、痛いですっ」
「じゃあ、優しくしようか」
「んん、んっ……ちょっと、よくなって、きたかも」
「そう? よかった」
十さんの笑顔に、痛みで歪んだであろう顔から力が抜けた。
「ちょっとちょっとお二人さんっ」
ホッと息を抜いた時、横から大和さんが口を挟む。
「声だけ聞いてたらいかがわしいんですけど! 子供たち聞いてますけど!」
ビール片手に指をさされ、周りから注目されてることに気づいた。
「あれ? なんかダメだったかな?」
「なんでみんな見てるんですか?」
今日はTRIGGERの皆さんを招いて、小鳥遊寮で夕飯をご一緒している。
大和さんが八乙女さんに「うちのご飯自慢」をしたのがきっかけだとか。
三月さんと十さんが腕を奮ってくれたおいしいご飯を食べて、本格的に飲み始める前に足裏マッサージの話になり、十さんが僕に実践でレクチャーしてくれてたんだけど。
「な、なんか、聞いてていいのか困っちゃいました」
陸くんが恥ずかしそうに笑った。
「龍、陸にいかがわしい声聞かせないで」
九条さんが十さんを睨んでいる。
「ご、ごめん!そんなつもりはなかったんだけどなぁ」
「僕がいかがわしい声を出してしまったから……陸くんごめんね」