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    ant_sub_borw

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    ant_sub_borw

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    テスデイ前提の転生パロのような話の冒頭
    こんな風に始まる話がいつか書きたいなというメモ
    テスカは恐らく殆ど出てこないけどテスデイ製造ライン
    ※伝承科のことよくわからないのでかなり妄想で補ってる

    その扉は、さながら現実と虚構を線引きする境界のようだった。
    建築物の構造と魔術を組み合わせた人払いというのは、時計塔と総称される学術都市の区域内ではごく当たり前のものである。
    なかでもこの区画は、そういった隔離措置が他に比べかなり重点的に行われていた。
    それもそのはずで、ここは一般の目に触れることがない魔術協会の深奥、そのなかでも特に秘匿性が高いとされる、伝承科のカレッジだ。
    ここに関わる必要がない、関わるべきでないと望まれるなら、同じ魔術師でさえ立ち入りを歓迎はされない禁足の地。そしてここに出入りをする魔術師は、生涯をかけてその禁足の守りを貫き続ける。
    幾重にも張られた結界と、心理的に排他の意図を想像させる重厚な障壁の数々は、内側の禁忌を漏らさないのと同時に、外側の恒常的な普遍を保障するための境界だった。

    「以上が、『内側』と出入りする際の基本的注意事項です。研究室が割り当てられるまでの間は特に気を付けてください」
    前を歩く講師の説明を聞きながら、底冷えするような廊下を歩いている。
    伝承科に配属が決まって、実際にカレッジに足を踏み入れた最初の日だ。
    時計塔に入学した当初から希望していた進路は、生家の領分とはなるべく遠い分野だった。魔術師の社会ではよくある話だが、所詮自分は恵まれた嫡出子のためのスペアである。数代前に枝分かれした分家のうち、後継者の望めない親戚の養子になった三番目の子供。長子ほど期待はされていないが、せっかく素養はあるのだからとこの道に進むことを許された程度の存在だ。
    刻印に刻まれているのは干渉魔術に関わるもので、一族としては代々『完全なる精神支配・制御』を目指した研鑽を積んできた。これは他者に対するものもそうだが、自身の精神についても対象として含まれる。
    一族出身の魔術師が時計塔に進んだ場合、大抵は個体基礎科や呪詛科などに所属し、各々根源への到達にアプローチをする。故にそれ以外で、これを活かすことのできる進路ならばどこでもいいというのが、飾らない本音であった。
    とはいえ、あまりに不向きな分野を研究する意欲もない。そういう基準で吟味を続けた結果、残った二つの選択肢のうちの一つが、伝承科という進路だった。
    もちろん、この科にまつわる様々な噂は全て聞き及んでいる。ここを目指すというのが魔術師にとってどういうことかも。だが、伝承科に興味がある旨を聞き付けコンタクトを取ってきた人物、まさに今自分の目の前を歩く講師との軽い面談によって、思ったよりもあっさり伝承科への所属を勧められた。
    「初日に覚えておくべき事項はここまで。詳しくは『教授』に申し送りしてあるので、そちらからも説明があるでしょう。その他で何か質問があったら、私を見付けて声をかけてください。最初に通った部屋が、私の個人オフィスも兼ねてますから」
    講師はそう言って、説明を一度区切った。彼女は講師と肩書がつくが、実務のほとんどは学科付きの事務員という側面が強いと自らを紹介した。院長直属の少数精鋭学科と名高い伝承科は、他の学科に比べ圧倒的に交流の門戸が閉ざされがちである。それでも後進の徒がいないと困るには困るため、窓口的な存在が必要とされるのだと。
    話が区切られるのとほぼ同時に、一つの扉の前に到達する。金庫の扉もかくやというデザインのそれを開くと、中に入るよう促された。
    中は他のカレッジの講義室ほど広くはないが、折り畳み式の机や椅子がいくつか端に寄せてあり、そういう目的でも使う部屋だろうかと想像する。それよりも気になったのが、部屋の奥側の特殊な作りだ。
    一面ガラス張りで仕切られた奥の空間。そこにはパイプ椅子に座る一人の青年がいた。その向かいには木製の台に乗せられた、一台のブラウン管テレビが置いてある。
    仕切りの向こう、青年はずっとそのテレビに向かって何ごとか喋っているようだった。口が動いているのは見えるが、音は聞こえない。恐らく防音が施され、こちらに音が漏れないように作られているのだろう。
    「丁度、彼の実験の予定が入っていたので、了解を取って見学させてもらうことにしました。伝承科では日々どういった研究が行われているのか、その理解が速まるかと思って」
    講師がそう語る。
    「実験というと?」
    「現在、あのブースで行われている実験です。伝承科では、一般的な語録としての『伝承』のいずれにも分類できない、この惑星のものならざる未知の事象・物質を取り扱っています。現在、うちの科で保管しているオーパーツのうちの一つが、彼の目の前にあるものです」
    そう言われて、にわかには信じ難かった。なにせはた目には、それはあまりにもただの家電製品に見えたからだ。
    講師はなおも説明を続ける。
    「あの電化製品のように見えるものは、とある民家から提供されました。住人が全員原因不明の昏睡状態で発見された後、現場の処理を行っていた数名の関係者の中からも不可解な症状を訴える者が相次ぎ、調査の末超常現象の発生を確認、更なる調査依頼が伝承科に回ってきたのです。現在判明していることとしては、『あれ』は不定期になんらかのメッセージを発しており、周囲にいる一定レベルの知能を持つ生命体とのコミュニケーションを希望しているということです」
    「……つまり、彼は今、そのコミュニケーションを行っているのですか?」
    「はい。対話を試みることが、長期にわたる研究目的の一つになります」
    講師はおもむろに、ガラスの側へと近づく。向こう側の青年がこちらを向き、その存在に気が付いたようだった。
    短いアイコンタクトを互いに交わしたあと、講師は手近な壁の側に移動し、機器類を操作した。その直後、静かだった室内に急に異音が流れ出す。
    それはまるで、受信不可状態のテレビのチャンネルが発するノイズのような音だった。しかし、本来なら抑揚などのないはずのその音が、まるで何かの旋律を奏でるが如く、絶えず変化している。音程、音圧の変動は複雑で、ラジオの周波数を細かく調整しているようにも聞こえた。ただそれ以上に、まるで脳が勝手に『なんらかのセンテンスに聞こえる音』として、このノイズを処理しようとしてしまう。そして聞けば聞くほど、異なる言語で話しかけられているような錯覚に陥るようだった。音としては一環して、耳障りなノイズでしかないというのに。
    「現在、すでに『あれ』はこちらの言語をある程度学習しおえているようです。最も、それも彼が数回にわけて試みた対話による影響ですが。また、『あれ』の発する音、研究資料上では一種の言語と認定しているもに関して、人によって聞こえ方は個人差が出ます。聞くことによって、どの程度で異常が出るか、というのも」
    講師はそう説明しながら、再び壁の機器を操作する。それによって音は遮られ、部屋はまた静かになった。
    そして自分が、いつの間にか心拍も呼吸もそこそこあがっていることに気が付く。心理的なプレッシャーによるものだとすぐに知れるが、まがりなりにも精神防衛に通ずる研究をしてきた身で、こうも容易く揺さぶりをかけられるものか、と恐怖した。それと同時に、己に声がかかった理由にも察しがつく。
    「ちなみに、今は『あれ』と彼とで、口頭によるチェス・プロブレムを解いている最中とのことです」
    さらりと講師が言ってのけた言葉にも驚きつつ、改めてガラスの向こうの青年を見た。
    彼は全く怯む様子もなく、淡々と口を動かしている。先ほど少しだけ聞いたあの雑音と、彼は会話が成立しているらしい。まるで信じられない。
    じっと目の前の対象を見据える目。その色はとても珍しい、アメジストに似た色味だ。色素に普通は見られない異常があると発生するらしいが、そういう類の人種にも見えない。くっきりとした金髪も、少し日に焼けたような肌の色も、そこだけ取ってみればごくありふれた白人の特徴に見える。
    改めて見ると、青年は下手をすれば自分と同じ、または自分より若いのではないか、とさえ思えた。掘りが深めの顔だちは整っていて、顔のバランスに対し目が少し大きく、それが若く見える要因の一つのようだ。
    それに反するように、重厚そうな黒いコートの下は同じく黒いシャツをしっかりと着込み、ネクタイまでつけている。ボトムやブーツまで重そうなデザインで、とても若者が趣味で選ぶような服装には見えなかった。魔術師の若者が必ずしも、ごく普通の若者のようなファッションを楽しむとは限らないものの。
    だが、彼は間違いなく只者ではない。今も目の前で、常人には理解の及ばぬ存在に対する実験を試みている。言語習得の話からしても、イニシアチブが彼のほうにあるのは明確だ。それをこの若さで、たった一人でこなしているのだとしたら、それは紛れもなく『天才』の所業ではないか。素直にそう思えた。
    これが伝承科か。ここまでといかずとも、自分もこのような現象に果敢に挑んでいかねばならないのだ。一生涯をかけて。
    ふと、観察していた青年がおもむろにコートのポケットに手を入れる。そこから取り出されたのは、手のひらほどの大きさの箱とライターだった。ごく一般に流通している煙草だ。
    彼は一本それを取り出すと、洗練された動きで口に咥え、ためらうことなく火をつける。たちまち白い煙が立ち上り、彼の口からも流麗な軌跡を描きつつ吐き出された。
    「彼は何故、煙草を」
    振って湧いた疑問をそのまま口にすると、講師がすかさず答えをかえした。
    「彼独特の行為ですね。彼がここ、伝承科の中でも特に優れた学生であり、ああいった未知の脅威への対処を行う最前線の人員として、現状右に出る者がいないとされる所以です」
    煙草を嗜む教員として、現代魔術科のロードがいたな、と脳裏に過ぎる。講義をとったことはないが、その評判は決して低くはないとだけ聞き及んでいた。
    だが彼は、立場としては自分と同じ学生だ。もちろん、喫煙が許された年齢に達しているのであればわざわざ咎めることではないし、そうでないとしても、首を突っ込んであれこれ口出しする気もない。
    そんな疑問を解くように、講師の言葉が続いた。
    「彼はあの行為を通じて、独自の魔術を行使しています。彼の中にある虚孔のオンオフを切り替える、魔術師であれば魔術回路の開閉と同義の行いでしょう。その虚孔について、彼はアーカイブを参照するようなものだと証言していますが、教授はそれを限定的な根源、それに接続する行為に匹敵する、と考えているようですね」
    その言葉にはまた素直に驚かされた。魔術師にとって根源がなんたるものであるかなど、今更確認するまでもない。
    「ま、まさか彼は、根源に到達してるんですか?」
    「いえ。あくまでも概念的表現とのことです。ですが彼がその存在の内側になんらかの源を内包し、自在につながる術を持っているのは確かです。それによって彼は、『あれ』との対話を可能としている。その他、彼の能力によって解明が進んだ未知の遺物は沢山あります」
    煙草を吸い始めた彼は、先ほどまでと少し体勢が変わっていた。肩幅ほどに足を開き指を組んでいたのに対し、今は足を組み、肩ひじを背もたれに引っかけるよう背後に突き出している。座り方が変わり、煙草を咥えているという変更があったのみだが、先ほどまでとの印象がガラっと変わったようにも見受けられた。
    煙を吸い込むときにじっくりと伏せられる目は、吐く動作と共にゆっくりと開き、その奥のアメジストはどこか妖しく光る。その様子を目の当たりにして、何故かどきりとさせられ、その事実の不可解さに肝が冷えるようだった。
    「彼はいったい何者なんですか」
    そう問いかけながら、内心では膨らむ恐怖心を抑えきれずにいる。恐怖というより、畏怖に近い感情だ。根本的に、目の前の存在は自分とは違うのだと思い知らされる畏れ、理解の及ばぬ現象から目を背けたいという本能的な衝動、それでいて、その禁忌はつい手を伸ばしたくなる程度には魅力的に見えるという背徳感。ある意味魔術師は、背徳のシンプルな魅力を熟知している。根源に至るということは摂理に逆らうのと殆ど同意で、それを理解していてもなお目指さずにはいられない生き物なのだから。
    「彼は伝承科在籍の学生。デイビット・ゼム・ヴォイドです。魔術師としては一代目の新参ですが、同年代の学生とは一線を画す天才であると認めざるをえないでしょう」
    講師の声音は特に変わった様子はなかったが、ちらりと見たその表情は、それまでの無表情から一変していた。まるで小さい子供がアニメのカートゥーンに釘付けになっているかのように、純粋に目の前の光景に没頭している。そんな印象を抱かせた。
    ただ、その気持ちはいくらかは理解できる。目の前の事象に恐れを抱くと同時に、同じくらい強く惹きつけられてしまう。まるで彼を中心に、引力が発生しているかのごとく。
    「彼はシンプルな魔術の技量でいえば、さほど秀でているとは言い難い。ですが、彼だけが操ることのできる特殊な技能がある。彼自身が自覚し、学院長が承認し、第三者に開示しても問題ないと公開されたプロフィールによれば、彼は南米の神話にまつわる伝承の保菌者であり、その継承に伴い副次的に魔術回路を獲得したとのことです」



    デイビット
    幼少期色々あって、現代まで残っていたテスカトリポカ神の繊維を体に取り込む
    繊維は心臓に絡みついてるだけなので特にそれだけですごい力があるわけじゃないが、繊維がため込んできた知識にアクセスすることができる(観測できる限りの並行世界のものなども含む)
    この世界のテスカトリポカが繊維の一部を現代まで残していたのは偶然だったものの結果としてミクトランパから出奔して転生したデイビットの魂がまた厄介な因果を引き寄せようとしていたため取りついたのは結果オーライということになってる的な
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    ant_sub_borw

    DOODLEmhykの各国の魔法使いたちがFate世界のアライメントを持ったらどうなるだろう、という妄想メモを単にまとめたものです(無駄に長い)
    キャラの解釈を深めるためという意味でも考えたものです
    あくまで独断と偏見、未履修のエピソードもある中での選定です
    異論は認めます。
    賢者の魔法使いたちの属性についての考察(妄想)・アライメントとは?
    一言でそのキャラクターの性格、人格、価値観、信念や信条を表す属性と、そのキャラクターが生前どんな偉業を成したか、どんな人生あるいは物語を歩んだかなどを考慮したうえで振り分けられるパラメーターのうちの一つ。
    細かく説明すると非常に長くなるので割愛。
    『善』とつくからいいひと、『悪』とつくから悪人、のような単純な指針ではないことだけは確かです。

    ・アライメントの組み合わせ
    『秩序』『中立』『混沌』/『善』『中庸』『悪』の組み合わせで9パターンあります。
    今回はさらに『天』『地』『人』『星』も加えました。
    おおまかに『天』は神様、それに連なるもの。『地』は各国に根付いた物語に出てくるような英雄。『人』は生前に人でありながらすばらしい才能や功績を認められた人物。『星』は人類が作り上げた歴史の中でその技術や知識といったものに大きな進歩を与えるような功績を持ったもの。
    19391

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