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    ant_sub_borw

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    ant_sub_borw

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    テ神の伝承保菌者デイビットシリーズ
    伝承科でSCPっぽい何かの研究をしている短編のシリーズです
    テスデイ製造ラインで出力しています
    魔術や宇宙的なものの論理はふんわり読み流してください

    輪廻回蒐-Pangenesis-以前資料で読んで驚いたこと。
    日本という国の便宜上の首都、東京の地下に張り巡らされた鉄道の構内というのは、アリの巣のようの入り組んでいて、その通りのいずれにも様々な店舗が軒を連ねている。
    東京における駅、特にターミナルクラスとされるものになればなるほど、そこには駅という機能以外の様々なものが付加されていく。
    飲食店やコンビニエンスストアに留まらず、衣服や雑貨を売る店、家具家電のようなものを取り扱う専門店まで開かれている所がある。区画によっては、大型商業施設と併設している駅も珍しくはないらしい。
    今自分が歩いているのは、まさにその場所だろうという推測があった。
    綺麗に舗装された道を歩く者は、他にはいない。コンコースと呼ぶべき空間に出たと思っても、人影は全くなかった。
    ふと目についた細い道に入っても、似たような店構えだけがひたすらに続いていく。
    明らかに異常な区画だ。
    それをわかって、今ここを歩いている。
    手元には片腕で抱えられるくらいの紙袋と、四つ折りの紙切れがある。
    紙切れは一言で言えば買い物リストのようなもので、紙袋の中にはこの地下通路にある店舗でかき集めた、リストアップされた品物が入っていた。
    量り売りのキャンディー、良質なコーヒー豆、髪留め用のアクセサリー、シンプルなデザインのカトラリーセット、袋詰めされたアソートチョコレート。
    関連性があるようにもないようにも見えるそれらをかかえ、リストアップされているものは残りあとひとつとなった。
    紙切れのメモには至って率直に必要なものとその個数が記されていたというのに、その一文だけが奇妙だ。
    『あなたが最も■■■■と思うもの』
    リストの最後、そんな文字列が急に書き加えられていた。
    今、それを探してひたすらに歩き続けている。
    惰性で手がポケットに伸びそうになって、うんざりしたため息と共に手をひっこめる。
    この辺りに喫煙所のようなものはないし、記憶によれば東京の公共施設は大半が禁煙のはずだ。
    法令を破ってまで、近道をして解決しなければならない問題とも思えないだろう。
    己にそう言い聞かせていると、ふいに目の端に止まる店舗があった。
    そこは眼鏡の専門店のようで、本当にどんな店舗でもあるのだな、と関心しながら、無人の店内に入る。
    陳列の間を颯爽と抜けて、目当ての種類の品物が並べられているコーナーの前に来た。
    視力補正用でないもの、いわゆる度の入っていないタイプで、グラスは特殊な加工により染色されていて、主に暗めの配色ばかり揃っている。
    その中から一つ、一際目を引くものを見つけて手に取る。
    黒縁で、グラスは薄いオレンジ色で、やや大きめにも関わらず洒落て見える絶妙なデザイン。
    何度か角度を変えてじっくり検分したのち、納得が思わず口から零れ出た。
    「これにしよう」
    ついでのように頷いて、レジカウンターに目をやる。
    そこにも誰もいないのだが、握らされていたカードを近くにある端末にかざせば、決済は一応完了しているらしい通知音やらが鳴る。
    会計を済ませ店を出る頃、今度は明確に言葉にして出した。
    「そろそろ『還ろう』」
    その一言がいわゆるオープンセサミ、魔法の言葉であるとは、事前に調べていたことだった。
    そしてこの場所で定められたタスクをこなした後でないと、効力を発揮しない暗証キーであることも。
    完全に店外に出て周囲を見回すと、延々と続いていたように見えた通路の奥に、それまでは見えなかった光明を見つけた。
    まるでそこが出口だと言わんばかりだ。
    改めて紙袋を抱えなおし、そこへ向かって歩き出す。
    これで今回の調査は、90%ほど終えたことになるだろう。
    そして『彼』の手を借りずして達成した、最初の依頼にもなる。





    『転生』とは、宗教的概念にして教義の核にもなる文言だ。
    地球上に存在する生命体の中で、今現在宗教的、あるいは哲学的にも完全で完璧な『転生』を行う生物は存在しないとされている。
    これにまつわる研究は多々あるが、問題の本質ではないので触れないでおく。
    レポートをパソコンに打ち込み、個人的なノートブックにも筆を走らせつつ、傍らに置かれた多きめのガラスケースを見やる。
    それは生物標本を入れておくようなものに形状が似ているが、中には一見何も入っていないように見えた。
    しかしよく見ると、うっすら半透明で不定形の何かが、まるで空間そのものに張り付いているかのように浮かんでいる様子が見える。
    顕微鏡で拡大して見るアメーバ。最も近い形を述べるなら、そうなるだろうか。
    これは所感として、いずれの記録にも記しておいた。
    その『物体』は様々な検査の結果、地球外の生命体であることが判明している。
    近代になって地球に衝突した隕石に付着していたが、付近の環境のせいで地中にしばらく埋もれ、数年ほど前に発掘された。
    見た目はただの微生物のようだが、その『物体』の体内構造は、人間の脳によく似ている。
    元からそういう構造だったのか、地球に漂着したことをきっかけとし、何らかの思惑でこの構造を取ったのかそ、それはまだ解明されていない。
    しかし、当時隕石が埋まっていた地域で起こっていた不可解な現象について、この『物体』が引き起こしたものであるということ。
    そしてそれが何故、何のために行われるかまでは解明できた。
    それゆえのレポートである。
    特定地域Aにて起きていた怪奇現象。
    ある鉱山へと通ずる山道にて、通行人が突然意識を失い昏倒、そのまま原因不明の脳死状態を引き起こすケースが複数報告された。
    鉱山は火山でもあり、なんらかの有毒ガスが噴出しているのでは、と当初は推察されていた。
    しかしそう仮定づけたうえでの調査は一行に進展せず、あらゆる特殊機関をたらい回しにされた後、伝承科に持ち込まれた。
    たった一つ、それまでの調査の間に得られた有効な手がかり。
    それは昏睡状態から回復した者の唯一の証言だった。
    当時八歳だった、現地に住む少年。山道近くにて遊んでいる最中に現象へ巻き込まれた彼は、数日間昏睡した後、『奇跡的に』回復した。
    彼は昏倒当時の状況や、意識を失っている間のことも当然殆ど覚えてはいなかったが、唯一証言したことがある。
    『おつかいをして、終わったら帰っていいよって言われた』
    その証言は無意味なもの、と大多数の研究者に切り捨てられた。当時はまだ、単なる有毒ガスなどによる自然災害等の事象と考えられていたせいもある。
    しかしこれをなんらかの超常現象、伝承科としていうなら「宇宙からの脅威」と見做した調査の手が入る頃には、ただ唯一の手がかりとして重宝されることとなった。
    そして現に、自分もその証言に従い、『生還』を果たすことができた。
    隕石に付着してきた地球外生命体。『転生』する謎の生物。
    それは自らの生まれ変わりに知的生命体の脳神経を借用し、遺伝情報を意図的に選別して進化する、一個体として完結した新種の生命体。
    レポートに書き記す結論は、その形で落ち着いた。
    一通り文章を書き終え、推敲は時間をおいて行おうと決め、一度席を立つ。
    そこは伝承科の生徒に割り当てられた学生寮のような建物、その一室だったが、自分が普段寝起きしている自室とは別だ。
    部屋を出て廊下を歩き、階段を下って玄関を出れば、すぐに魔術による秘匿が解かれた、現実世界に繋がっている。
    ここでレポートを書くことを許されているのは、伝承科の中でも特に学院長から指名されたわずかのメンバーのみだ。端的にいえば信頼が厚い、という意味と捉えられるが、その指名には必ず『担当ケース』も不随する。
    ようするに、適切に管理されていれば一般人に害をなさない、と解明できたものに関しては、ここまで持ち出していいという暗黙の規則だった。
    そしてこの新種の生命体は、晴れてそのカテゴリに入ると証明された。
    この生物が生物として行う生理的活動、それを人類に理解できる最も近い概念に落とし込んだ言葉でいうところの『転生』を終えたことによって。
    玄関から出るとそこはすぐに管理された庭園が続き、市民が自由に出入りして散策やなんらかの野外活動を楽しむための区画となる。
    ひとまず一番近場のベンチに座ると、見計らっていたかのように、一匹の野良猫が近づいてきた。
    野良猫、というには、非常に珍しい毛色だ。在来種としてはベンガル、という種に近いだろうか。全体的に黄土色に近い毛並みに、黒い斑点のような模様が全身を覆っている。
    その猫は迷わずこちらに近づいてくると、ベンチに腰かける自分の足に頭や体を擦り付けてきた。
    やや大きなその体を撫でてやると、猫は膝に飛び乗ってくる。
    なおも構ってやっていると、それまで喉を鳴らしていたはずの猫は唐突に牙をむき、体毛を撫でる手に噛みついてきた。
    とはいえ皮膚を貫いて血が出る程のものではなく、甘噛み程度の加減だ。しかし噛みつき方や頻度には、やや執念めいたものを感じる。
    つい口の端を歪めて苦笑してしまう。
    「悪かったよ。そんなに拗ねると思っていなかった」
    その猫は、ただの猫だとわかっていた。だが、なんらかのメッセージを明確に届けるため、自分の元に遣わされている使い魔のようなものでもある。似たようなことが以前にも何度かあり、今では完全にその思惑を確信していた。
    一応の謝罪の言葉を聞いたからか、猫は手に対する攻撃をやめ、ほどなくして膝から飛び降りた。そして何度かこちらを振り返りつつも、歩みを止めることはなくどこかへと消えていった。役目は終えたということだろう。
    自分の心臓に絡みついているという、とある神体の一部。それを通じて、実体はなくとも常に側にその存在を感じてきた『彼』。
    伝承科で行う調査には、『彼』が地球に到来して以降ため込んできた、あらゆる知識を借りることが常態化している。
    ただ、今回はその力を借りずとも解決できそうだと踏んだため、そうしたまでにすぎない。
    別に、『彼』が特別に力を貸してくれているとは考えていない。ある程度親しみを覚えていてくれて、自分も同等かそれ以上のものは感じているものの。
    あくまでその力は偶発的に授かっただけのもので、なんらかの理由で自由に触れることが出来ているだけで、自分が神という存在に近しいものになったような自覚も自惚れも抱いてはいない。
    ただ、先ほどのメッセンジャーの様子を鑑みると、頼られることはむしろ望まれていることなのだろうか、という考えも浮かぶ。
    はっきりしているのは、残念ながら今の自分には、その明確な答えを確かめる術がない、ということのみだ。

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    ant_sub_borw

    DOODLEmhykの各国の魔法使いたちがFate世界のアライメントを持ったらどうなるだろう、という妄想メモを単にまとめたものです(無駄に長い)
    キャラの解釈を深めるためという意味でも考えたものです
    あくまで独断と偏見、未履修のエピソードもある中での選定です
    異論は認めます。
    賢者の魔法使いたちの属性についての考察(妄想)・アライメントとは?
    一言でそのキャラクターの性格、人格、価値観、信念や信条を表す属性と、そのキャラクターが生前どんな偉業を成したか、どんな人生あるいは物語を歩んだかなどを考慮したうえで振り分けられるパラメーターのうちの一つ。
    細かく説明すると非常に長くなるので割愛。
    『善』とつくからいいひと、『悪』とつくから悪人、のような単純な指針ではないことだけは確かです。

    ・アライメントの組み合わせ
    『秩序』『中立』『混沌』/『善』『中庸』『悪』の組み合わせで9パターンあります。
    今回はさらに『天』『地』『人』『星』も加えました。
    おおまかに『天』は神様、それに連なるもの。『地』は各国に根付いた物語に出てくるような英雄。『人』は生前に人でありながらすばらしい才能や功績を認められた人物。『星』は人類が作り上げた歴史の中でその技術や知識といったものに大きな進歩を与えるような功績を持ったもの。
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