ないしょのおでかけ「のいまんくん、つぎはあっちにおねがいします」
「わかりました」
ノイマンの腕に抱かれて、アーサーは高くなった視界を楽しむように忙しなく頭を動かす。あちこちを向きつつ時には体を乗り出して先を見ようとするので、落としそうになったのは一度や二度ではない。その度に抱き直し、背中を叩いて落ち着くように促した。
そのうちに落ちないように、と上着をしっかり握り締めるアーサーの様子に、内心可愛いと思いながら共に歩みを進める。
「ここは…」
そうして辿り着いた場所には、小さなお店があった。テイクアウト専門の店舗らしく、ショーケースが一台と、こちらに背を向けて作業をしている店員のみである。
「のいまんくんは、メロンパンとクリームパンはどっちがすきですか?ボクのおすすめは、ほいっぷかすたーどクリームパンです」
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