ちき+颯麗麗麗一郎「……というのが僕から提案するプランだね。どうだろう、気に入って貰えたかな?美しい絵画を揃えてみたのだけれど」
神慢勅独人「フン、こちらのコンセプトも汲んである、悪くは無いな」
麗麗一郎「そうかい、嬉しいよ!」
神慢勅独人「だが……この絵画は結構だ。我が展にはいらん」
麗麗一郎「おや?どうしてだね?」
神慢勅独人「どうして?見るからに品がないだろう。初期フランドル派をリスペクトしようとしているのはわかるが、技法も全く追いついていない!こんなもの美しいとは言えん」
神慢勅独人「どうだ?麗……麗一郎」
麗麗一郎「ふむ、そうだね」
麗麗一郎「すばらしいよ!」
神慢勅独人「……は?」
麗麗一郎「より厳選された美で世界を埋め展をより美たらしめんとするこだわり!それを助け研ぎ澄まされた審美眼!実に美しい、君は良い館長だね。」
麗麗一郎「では代わりにこの絵はどうだろう?同じ画家が描いたものだけれど、ずっと重たい……」
神慢勅独人「ま、まて!」
麗麗一郎「うん?」
神慢勅独人「……わ、私は、貴様が美しいと言った絵画を、貶したのだぞ」
麗麗一郎「うむ?そうだね」
神慢勅独人「な、なぜ……なぜ私を賞賛した!貴様の美を!否定する私を!」
麗麗一郎「どうしたのだね?落ち着きたまえ、独人くん」
神慢勅独人「どうしたもこうしたもないだろう!貴様!美を愛しているのでは無いのか!!」
麗麗一郎「もちろん!僕はこの世のあらゆる美を、美しいものを愛しているよ!」
神慢勅独人「ならば!なぜ!私を……ッ!」
麗麗一郎「……言った通りだよ、君のこだわり、審美眼をとぎすまそうとする心意気が美しいと思ったんだ。」
神慢勅独人「……貴様の、美を否定する審美眼を、こだわりをか」
麗麗一郎「そうだよ。だって、」
麗麗一郎「僕が美しいと思うことに、君の美意識は関係ないだろう?」
神慢勅独人「……!」
神慢勅独人「貴様……貴様の!美への愛は!!そんなものだったのか!失望した!もういい!今回の商談はなしだ!出ていけ!」
麗麗一郎「ええ!本当かね?こんなに美しい作品達があるのに、どれも本当に選ばないのかね?」
神慢勅独人「……ッ!、クソ、クソ!」
麗麗一郎「……仕方ないね、では本日は出直させていただくよ。また連絡をくれたまえ。私はついでだから君の美術館を見て帰るよ」
神慢勅独人「……ッ」
麗麗一郎「美しい君の感性が作り上げた美しい美術館だ、堪能させてもらうよ、それでは、ごきげんよう」
神慢勅独人「……勝手に、しろ……ッ」
武相颯真「……あ」
神慢勅独人「貴様……麗の、つれだな」
武相颯真「ども」
神慢勅独人「……麗、麗一郎はいつもあんな感じなのか」
武相颯真「?まあ、態度の変わりやすい人じゃないスね」
神慢勅独人「……貴様、……つらく、ないのか、近くで仕事をして」
武相颯真「……?ないスね」
神慢勅独人「……ッ!」
武相颯真「麗一郎さんとなにかあったんスか」
神慢勅独人「ああそうだ!あの男……ッ理解できん!あんな、……ッ!」
武相颯真「……麗一郎さんにもそういう風に言ったんスか」
神慢勅独人「な、は?」
武相颯真「言ったんスか」
神慢勅独人「な、なんだ……い、言った、が……」
武相颯真「……良くないスよ、そういうの。麗一郎さんに失礼スよね」
神慢勅独人「な、先に失礼をしたのはあっちの方だ!」
武相颯真「違いますよ」
神慢勅独人「貴様になにがわかる!」
武相颯真「わかります」
武相颯真「麗一郎さんが思った通りの人じゃなかったからって、八つ当たりすんな」
武相颯真「……ちゃんと謝るんスよ、麗一郎さんに。じゃあ、俺はこれで」
神慢勅独人「……………」
神慢勅独人「……、あんなの、期待、してしまうだろう、……クソっ」