虹色の箱庭⑤ あの日から、一ヶ月経った。
ライナーはただ鳴らないスマートフォンの画面を毎日眺める、あの日からジャンの家への定期配送も止まり配達することすら無くなった。間違えました、なんて言って部屋を訪ねようかインターフォンを押してしまおうか。そう何度も思っては止め、思っては止めてを繰り返した。
画面を横へとスライドさせるとあの日カメラを構えたジャンの写真が映る、やっぱりあの日共に朝を迎えていたなら。あの日からライナーは後悔ばかりだ、そして自分の不甲斐なさに落ち込むばかりだった。
やっぱり待ってばかりの自分は性に合わない、とライナーは休日のとある日ジャンのマンションへとやって来る、あの日暗闇から見上げた淡い光は当然昼間のベランダには無くて休日だからかどの部屋も陽気な笑い声が漏れ、それに合わせて踊る様に色とりどりの洗濯物が風に揺れていた。
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