虹色の箱庭④ 風の柔らかい感触が頬を撫でてジャンは瞼を開く、ソファだと思った場所がいつの間にかに寝室になっていてさっきまでの出来事は白昼夢だろうかと寝室の壁や天井、少し開いた窓から入る夜風で揺れるカーテンにまだ頭はぼんやりする、身体に残る気怠さと何も身にまとっていない事で全てが夢でない事を思い出した。
少しずつ冷静になる頭が罪悪感を連れてはくるもののジャンは少し開いた扉から漏れ入るリビングの光に誘われて体を覆うブランケットを引きずりながら廊下へと出て明るいリビングへと歩いていく。もう夫が自宅に帰ってこないだろう事は分かっていたからか随分と大胆な姿のままでジャンは、扉を開ける。
すっかり開け放たれた窓から入る少しぬるい夜風が時間の経過を感じさせて、そして乱雑なままだったソファ周りが小綺麗になっていた。カーテンが揺れて、ベランダから人影がかかる。さっきとは違う私服姿のライナーがこちらへ目を向けそして、笑った。
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