お題:くしゃみ くしゅっ、と小さな音がした。
誰かのくしゃみの音か、とその場にいた全員が目を一点に向ける。
視線を受けた佐藤は、きょとんとしてから手をパタパタと横に振った。
「違う違う。違います。私じゃないわよ、今のくしゃみ」
「佐藤さんじゃないんですか?」
白鳥が意外そうに目を見張る。今、この場には佐藤しか女性がいないのに、と。
「じゃあ、今の可愛らしいくしゃみ、誰だったんですか?」
高木が不思議に思いながら周囲を見回した時、鼻をぐすっと鳴らす音がした。
今度はその音を立てた人物に目が集まる。
「………失礼」
鼻を押さえながら言った風見を見て、全員が意外な結果に茫然としたのだった。
*
車に乗り込みながら、風見は憮然として今日の捜査会議のことを思い返す。
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