すれ違い午後3時「お義兄ちゃーーん!!ナギサさーーん!!」
ナギサとティーチャバが、リムサ·ロミンサのエーテライトプラザで話をしていると、マーケットの向こうからコドウが走ってきた。勢いが良すぎたのか、止まりきれずティーチャバへ突っ込んでしまう。転ばないように踏ん張った際、ティーチャバの頭に乗っていたカーバンクルは振り落とされ、カーバンクルをナギサが受け止めた。
「…………コドウ、何事?」
顔をしかめながら、ティーチャバはしがみつく義妹に視線を落とした。
「私、私、ウルシくんにフラれるかもしれない。」
「は?」
今にも泣きそうなコドウに、ティーチャバは疑問符しか浮かばない。
ティーチャバ自身、ウルシとはある程度交流があり、ナギサ含め3人で会話をすることがある。その会話の中で、ウルシが相当コドウを好いていることは知っており、一応義妹の恋路を応援している状態だ。
それがいきなり別れ話になるとしたら、大喧嘩をしたか、どちらかの逆鱗に振れてしまったか。
「お義兄ちゃーーーん!」
「なに、喧嘩でもした?」
「してない、でも、私はウルシくんが好む女の子じゃないかもしれない。」
「余計わかんないんだけど?」
ティーチャバが助けを求めるように、ナギサへ視線を向けた。目を丸くして聞いていたナギサは、カーバンクルを抱えたまま、肩をすくめてから膝をつく。
「コドウちゃん、俺にわかるように、ウルシと何があったか教えて?」
「ウルシくんのこと?」
「そ。あいつアホみたいな行動する時あっから、状況を俺に教えて欲しいなぁ。」
人懐っこい笑いをしたナギサを見て、コドウは少し考え込む。ティーチャバの体に角を押し当てた状態なので、しがみつかれてる本人がすごい顔をしているが、ナギサはスルーすることにした。あの角をゴリゴリされるのは、痛い。
「……あのね、ウルシくんが、綺麗なお姉さんをじっと見てた。背高くて、大人っぽくて、おっぱい大きいお姉さんだった。ウルシくん、あんな感じの、美人でナイスバディお姉さんが好きなのかなって。」
「なんて?」
コドウの言葉に、ナギサとカーバンクルは同じ表情をした。腕から逃れようとするカーバンクルを押さえ、どうしてそうなったと思考を回す。そう、つい先日、ウルシが言った言葉を思い出していた。
-コドウの太ももって、エッチだよなぁ……-
こいつは足尻派だと確信したのは置いておく。
完全に取り乱し、ティーチャバを揺らしはじめたコドウ。もうどうにでもなれ、の気持ちで、ナギサはリンクパールに触れた。
「もしもし、俺ナギサ!座標送るからすぐ来いウルシぃ!」
十数分後、コドウに似合いそうな服を着ている人を見ていた、と、ウルシの口から明かされるのだった。
すれ違い午後3時