運命の人「絶対おめェを離さねェよ。なにがあっても…」

その言葉通りに、そこに印はいつまでもあった。



ぼくのモノ



自分はもうずっと、1人なんだと思っていた。
１人で生きて、１人で死んでいく。
そんな風に思っていたから、まさか世界が色を持つなんてこと、あると思わなかった。

「っ？！テメェ…Ωか？！」

大学の構内で、事は起こった。

義勇には、身体を動かすことが唯一の取り柄だった。だから、小学生から始めた剣道を中・高と続けた結果、推薦でキメツ学園大学に入学した。

見知らぬあなたと街角で　不死川はショーウインドーに映る自分の姿を、上から下までじっくりと見つめた。左右に身体を動かしてみるが、黒のタートルネックに同色のジャケット、チャコールのチノパンにおかしいところはない。最後に乱れた髪を整えれば、準備は万端。硝子の向こうで最新のファッションに身を包むマネキンに背を見せると、雑踏入り乱れる交差点へ眼差しを注ぐ。
　待ち合わせ相手の姿は、まだ辺りにない。腕時計を確かめれば、十時を過ぎたところである。約束は三十分だったので、当然と言えば当然か。街中でぼうっと立っているのも落ち着かず、不死川は近くの店を適当にブラつくことにした。
　美味そうなパン屋の店頭販売が少しだけ気になったが、それは後で一緒に食べながら歩いた方が楽しいだろう。フルーツパーラー、雑貨屋の店先を冷やかした後で、書店へとやって来た。

Fall in LOVELets have a Pizza Party！

「なんでイチイチ俺にかまうんだよォっ！」

　月曜の教室に響き渡るのは、俺の叫び声。そんな声の原因はコイツ、冨岡義勇だ。

　コイツは、俺が通う中高一貫の私立の男子校に、高等部から編入してきた。武道系に力を入れているうちの学校に剣道の特待生として編入してきたのだが、めったにそういうやつはいない。そもそも中高一貫で、他の中学や高校に比べると教育のカリキュラムも複雑で、スポーツ推薦を希望していたとしても編入試験で落ちるのが関の山だからだ。それに、武道系での編入とは、かなり珍しい。そこそこできるやつは、小学校の頃から勉強に力を入れ、中学に行くタイミングで入学試験を受ける。そして、運動部に入ってレギュラーを目指している。いくら何でも無謀だ、と剣道の特待生での編入希望の奴がいる、と聞いたときには学校中がその話題で持ちきりとなった。何の因果か同じクラスになり、顔を見て驚いた。隣の家に引っ越してきた、何を考えているんだか分からないすまし顔のアイツだった。