内緒の話 02 夕陽が差し込む教室に、授業の終わりを告げる鐘が鳴り響く。トレインが今日はここまで、とルチウスを抱きかかえ退出すると同時に、静謐は喧騒に塗りつぶされていった。
「リドルさん、本日もお疲れさまでした」
「ん? お疲れさま」
ノートと向き合い要点を整理していると、隣に座っていたジェイドが声をかけてきた。
「あの、お時間いいですか?」
「手短になら」
いつものように分からなかった部分でも聞かれるのだろうか、と特に疑問を抱くこともなく承諾する。ところが、ジェイドはノートを差し出すわけでも、教科書を指差すわけでもなく、声を落として囁いた。
「昨日から、フロイドが体調を崩しているんです。理由を聞いても、気分が上がらないの一点張り。でも、どう見ても嘘なんです。僕もアズールも、こんなことは初めてで、少し……困っています」
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