月がとっても青いから「篠原ぁ、隊長、今日出てこれそうな感じだったか?」
「隊長でしたらもう出てきてましたよ」
「お、本当か山崎。じゃあ判子を貰いに行けるな」
太田がそんな確認をしたのは、昨日締めの書類を持っているからだろう。上司が休むとあっという間に提出する書類がたまるのは、官民問わず、人員も仕事も期限もぎりぎりで回している部署ではよくあることだ。
「言葉は悪いんですが、あの後藤隊長が風邪で休みと聞いたときは、隊長も人間だったとなんか安心しちゃったんです。いやあ治ってよかったですよね」
進士がさらりと失礼ながら隊の全員が同意する意見を述べると、山崎がにこにこしながら、
「でも、隊長って意外と純情ですし、とても人間らしい方だなあって僕なんか思ってしまうんですよ」
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