星が輝いておる。掴みたくとも全て取りこぼしてしまった星々の中で、ひとつ、眩いばかりに星が輝いておる。暗闇で提灯の如く足元を照らしてくれるわけでもなし、ただひたすらにひとつ、遥か遠い場所で眼を刺すほどに輝いておる。何も見えぬ中で手探りでも己が手にと渇望したそれが、わしを嘲笑うのだ。
嗚呼、まっこと恨めしい。
何も無い己の両の手を見る。僅かに引っ掛かっておる戯作ですらこの瞳は映さず、右にも左にもゆけぬ。わしには戯作しか残らず、意地を張り通さねばそれすらも取りこぼしてしまうのだ。絶望の淵、誰の姿も見えぬ。ただ、手を伸ばせども届かぬ星が輝いておるだけなのだ。
嗚呼、まっこと恨めしい。
星が輝いておる。わしを突き刺す真剣の如くぎらぎらとこちらを見ておる。何にも揺さぶられることなく一本芯の通った姿が脳裏に浮かぶ。されどその眼は如何様であったか。輝く星はひどく忌々しく、わしはいつも眉根を寄せてその輝きから逃げておった。おぬしの顔は如何様であったか。もう見えぬのだ。ただひたすらに、恨めしいほど夢見たその輝きしか思い出せぬのだ。
嗚呼、まっこと。
わしはおぬしが羨ましかったのだ。