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    Aym(エイム)

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    Aym(エイム)

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    勝手にタイトルつけちゃってるのスマネェ…()
    Curseと花咲くんが雪うさぎBFにあった話。
    (続きは書く予定だけどまだまだ先になる)

    悪魔と花と雪うさぎ1

    いつも通りの変わらぬ日常で、2人会話を楽しみながら街中を歩く姿があった。あれ以来Curseに心を許してゆき共に行動していた花咲。以前は周りの人間に怯えていたが、最近はCurseとよく外へ出歩くようになった。片目の花はフードを被り、極力見えないようにしている。
    「あ、そういやさ、最近あそこのドーナツ屋で新作出たんだってよ!」
    「そうなんだ、じゃあ近い内に食べに行かないとね。」
    「なんなら今から食べに行くのも…」
    ドーナツにはしゃぐ無邪気なCurseに、花咲は可愛いなと心の中で思って微笑んでいた。このちょっとした会話が日常で何事も無くできる事が、花咲にとって小さな幸せとなっていた。
    その後もCurseと話しながら歩いていると、何か甲高い鳴き声が一瞬聞こえた。ふっと振り向き、鳴き声が聞こえた時丁度すれ違った男に視線を向けじっと見つめた。急に立ち止まって後ろを見つめているようなので、Curseが流石に心配になって花咲に話しかける。
    「…どうしたんだ?ずっと後ろを見て。」
    「いや、何か鳴き声がさっき聞こえて…多分、今の…うさぎの鳴き声だ。」
    「うさぎ?」
    首を傾けるが、花咲が急に冗談を言う訳が無い。そう思ったCurseは一緒に声の元を探る事にした。花咲曰く、先程すれ違った男の方から鳴き声が強く聞こえたらしい。来た道を引き返し、鳴き声が聞こえないか耳をそばだてる。すると僅かに鳴き声を聞き取り、すぐに声の元へ辿っていくと、やはりあの時すれ違っていた男の所からだった。よく見ると男は大きな鞄を持っており、そこから鳴き声が聞こえる。間違いない、そう思った2人は顔を見合せ頷き、男の後をついて行く。

    やがて男はそこそこ大きな家の前で立ち止まり、鍵を開けて入っていった。中流階級かそれより上といった所か、庭はかなり広く、積もった雪の隙間から見える花や植物はどれもこの辺りではあまり見ないものばかりだ。家自体も他の家とは少々造りが異なり、周りから目立つ形となっている。窓がいくつかあり、その内の1つからCurseと花咲が覗き込むと、どうやらそこはリビング辺りのようで男が部屋の奥の方を見ながら物凄い剣幕になっている。そしてその奥から例の鳴き声が聞こえていたのだった。
    「いい加減うるさいぞ!!!」
    もっとしっかり見ようと窓のすぐ近くまで顔を近付けたタイミングで、男が部屋の奥に向かって怒鳴り声をあげる。花咲は一瞬ビクッとして後ろに転けそうになったが、咄嗟にCurseが支えた。大丈夫かと聞くCurseに花咲は小さく頷き、再び部屋の奥に目をやる。部屋の隅、少し暗くなっている所に蹲る姿が見えたが、容姿は普通のうさぎとは全く違った。確かにうさぎらしい長い耳を持ってはいたが、それを隠せば外見は小さな子供にしか見えないのだ。空色より淡く白さが目立つふわふわな髪に、薄茶のケープの様なものを羽織っている。その下の服は柔らかな生地で暖かそうな物を着ていた。子供にしては小さく、うさぎにしては大きいといったサイズ感でかなり小柄だ。そんな小さな生き物が、自分よりも遥かに大きな男の人間に怒鳴り散らされて怯え縮こまっている。目を凝らすと男は何か紐のようなものを握っており、それがうさぎの首に繋がっている。恐らくリードだろう、逃げたくても逃げられない状態のようだった。
    「お前、そのまま鳴き続けて周りに怪しまれたらどうするんだ!俺に迷惑ばかりかけやがって…」
    そう言って男は淹れたばかりであろう紅茶の入ったティーカップを持った。湯気がこちらからでも見えるくらいに出ており、相当熱いのが目で分かる。
    「この野郎!!」
    男はうさぎに向かってティーカップを投げつける。1度うさぎに当たったからか、ティーカップは割れる事は無かったが、熱々の紅茶はうさぎの全身にバシャリとかかる。
    「────!!!!!」
    キーといったうさぎの絶叫が窓を越えてこちらまで響き渡り、2人の体へと振動して伝わる。うさぎはその場で暴れ、悶えた。体から何かが焼けるような音が若干聞こえる。よく見るとうさぎの体から煙が出ており、火傷を負っていた。うさぎは未だキーキーと鳴き声を小さく上げて蹲っていた。その声は先程より掠れて聞こえる。
    「…チッ、言う事を聞かないからこうなるんだ。」
    男はうさぎを見下しながら吐き捨てる。その様子を見た花咲は絶句し全く動けなくなっていた。目を見開き傷だらけになったうさぎを見つめる。Curseに助けられる前の光景が脳裏に浮かび、過呼吸になりそうになる。怖くて仕方が無く、窓に触れている手が震えていた。

    ガシャン!!

    大きな音が鳴り、驚いた花咲は我に返る。気が付くと花咲は後ろの方に尻もちをつかされており、目の前では窓を割って中に飛び入るCurseの姿が見えた。その顔には怒りが強く見えた。部屋に入って着地したかと思うと、すぐに男のそばに猛スピードで向かった。男の腕に爪を立たせ、リードを持つ手の方へと力任せに引っ掻いていく。引っ掻き切った後には、腕から手にかけて大きな傷ができて血が吹き出し、リードは床に落とされた。リードを持っていたはずだった手と指はズタズタに切り裂かれており、血が流れ落ちて床のカーペットを真っ赤に染めていく。
    「あああああっ…!!!」
    腕をもう片方の手で押えながらしゃがみ込み悲鳴を上げる男を横目に、Curseはうさぎの方へと駆け寄る。
    「お前、大丈夫か──」
    「…!!」
    Curseが触れようとした瞬間うさぎは声にならない悲鳴を出し、くるまって震える。体中は未だに煙を僅かに出し火傷がはっきり見える。声を出すのも苦しい状態だと目で分かった。怖がっているが、同時に警戒しているようにも見える。
    「触るな!!」
    後ろから張り上げる声が聞こえる。Curseが振り向くと、しゃがみ込んでいたはずだった男は立ち上がってナイフを持っていた。腕の痛みに耐えているのと、急に入ってきてうさぎに勝手に触れようとしている怒りでとんでもない顔になっている。
    「…何だよおっさん。」
    「てめぇ、ソイツに勝手に触ろうとするんじゃねぇよ!」
    「別に触れようとするくらい良いだろ?何をそんなに我が物顔で怒り狂ってんだ。」
    男の顔が真っ赤になる。
    「お前はソイツがどれだけ特別な生き物なのか知らない!ソイツは雪を操る人型のうさぎなんだ!」
    「雪を操る?」
    男は痛みに耐えながら話す。どうやら、この街の近くに雪山があり、出掛けていた男はうさぎが雪を操る様子を目撃したらしい。その後男は従者を連れてもう一度雪山に向かい、うさぎに気付かれないように複数人で囲んで捕まえたという。すばしっこい為、捕まえて檻に入れる前にリードを無理矢理付け、絶対に逃げられないようにしたと話した。あたかも自分が被害者のような、怒りを含んだ話し方だった。
    「苦労して捕まえたんだ、このままお前なんかに触れられた挙句連れ去られたら大問題だ。みすみす見逃す訳にはいかないね。そこのガキも同じだ。」
    ニヤリと笑う男にハッとしたCurseは振り向くと、花咲が4人の従者に囲まれていた。銃を構えているが、その内の1人は縄を持っている。Curseはもう一度男の方を向き睨む。
    「お前、花咲をどうするつもりだ。」
    「当たり前だろう?賠償ってもんだよ。どうやらそこの花咲とやら、片目に花が咲いているなんて珍しいじゃないか。俺は珍しい物が大好きなんだ、そいつを貰おうじゃないか。」
    「…何奴も此奴も花咲を珍しい物扱いしやがって…」
    苛立つCurseに男は花咲の方へ指を指して威張りながら言う。
    「あれを大人しく渡してくれると言うのなら、命だけは勘弁してやる。悪魔風情が、俺達に好き勝手出来ると思うなよ。」
    Curseの肩がピクリと動く。男の方へとゆっくり睨みつけ、一言一言殺意を込めながら低い声を響かせる。
    「それはこっちの台詞だよ、たかが威張り散らしたいだけの人間が、偉そうにするな。」
    男が殺気に圧倒されるも束の間、Curseは尻尾をうねらせ男の手に巻き付き強く引っ張る。不意打ちを食らった男はバランスを大きく崩し、自らの腕から流し作った血溜まりへと倒れていった。拍子に飛び散った血がかかる間も無く、Curseは花咲の元へと飛び、庇うように花咲の前に立つ。1人が驚いて発砲し、Curseの肩に撃ち込まれるが、ものともしない。狼狽える4人になりふり構わず、Curseは花咲に覆い被さるようにしゃがみ込んだかと思うと、尾を大きく円を描かせる様にうねらせ従者4人の腹を大きく掻き切った。大量の血が吹き出しCurseの体にかかる。4人の血が吹き出し切り同時に倒れると、Curseはゆっくりと立ち上がり、再び男の家の中に入っていく。
    「は?い、一瞬…?嘘、だろ…っ!!?」
    男は悲鳴を上げて尻もちをつきながら必死で後ろに逃げていくが、Curseは怯える男を気にもせずゆっくり歩いて近付いていく。花咲からはCurseの顔は見えなかったが、彼からは強い殺気を感じた。
    「く、来るな、来るなああっ!!……っ!」
    「おい、さっきの威勢はどこ行ったんだよ?」
    男の前に立ち低い声で問う。Curseに目の前に立たれ、男は命の危機を感じたのか声が出ない様子だった。黙ったままの男に呆れ、Curseは男の首を掴み持ち上げる。
    「珍しい物好きだとか言って強引に自分の物にした挙句、乱暴に扱う様なお前には、あのうさぎをそばに置く資格は無い。」
    「…っあ、が」
    冷酷に呟くCurseの片手の力は少しずつ強くなっていき、男の首は握られていく。男は息ができず掠れた声を出しているかと思うと、口から血を吐き出し始めた。僅かにCurseの腕を引っ掻いたり足をばたつかせて抵抗していたがそれに構わずCurseはゆっくりと力を込めていき、そして最後に握り潰す。骨の割れるような鈍い音が聞こえたかと思うと、男の首と口から血が溢れ、床へと滴り落ちていく。男の腕はだらりと垂れ、完全に息絶えた。

    Curseは男の首から手を離し再びうさぎの元へと行く。うさぎは未だ怯えて震えていたが、Curseはしゃがみ込み、うさぎに少し触れようとする。手が急に近付いて来て驚いたのか、うさぎは目を見開きCurseの指に噛み付く。Curseは気にせず噛み付いてきた手はそのままにし、もう片方の手でゆっくりうさぎの頭に触れて優しく撫でる。うさぎの体はピクリとして震えるが何度も撫でられる内に少しずつ落ち着いていき、涙が流れてきていた。噛み付いていた手から口を離しようやく落ち着いてきた所で、Curseはリードを外しゆっくりうさぎを抱き上げて男の家から出る。
    「その子…大丈夫?」
    花咲は恐る恐る聞くが、Curseはうさぎの様子を見て声を抑え口を開く。
    「元の場所に返しはしたいけど火傷が酷い、それにまた誰かに狙われるかもしれないだろうし、とりあえず俺達で保護する事にしよう。」
    「うん…分かった。」
    歩き出そうとしたCurseだったが、ふと花咲の方を振り向く。
    「そういや花咲お前、怪我は無いか?」
    「大丈夫だよ、Curseが庇ってくれたし。…でもその状態、Curseこそ大丈夫?」
    花咲は血塗れになったCurseの服を見る。従者を尾で切り殺した際、血が大量にかかったものであった。その時Curseは花咲に血がかからないよう、上から覆い被さっていたのだった。
    「あー…大丈夫だよ、これくらい。だってあくまでこの服も、具現化させたものだし。」
    「具現化?」
    「おう。」
    Curse曰く、この姿自体がBFの姿をベースとして作られた姿な為、服に血が付いていても元の服の状態に戻せるという事だった。
    「だからこの血塗れの服も──ほら。」
    「わ、ほんとだ。」
    あっという間に元の状態に戻った服を見て、花咲は目を見開く。Curseは微笑み、花咲の服のフードの端をつまみ被らせる。
    「ほら、長居しすぎるのもあれだし戻るぞ。お前もフードちゃんと被っとけ。」
    「う、うん、分かった…」
    Curseは震えるうさぎを抱え、花咲はCurseの後を付いて行くようにその場を去った。
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