ハジメテ窓から差し込む光が眩しくて目を覚ます。時間が気になってスマホを探すが、頭を動かした瞬間衝撃が走った。
ソレが二日酔いだと気付くのにそれ程時間は掛からなかった。同じ学科のメンバーで飲みに行った所までは覚えているが、途中から記憶が曖昧で殆ど覚えていない。更には今の自分の格好に気付き、美奈子は一気に血の気が引いた。
「待って……?!私…何で肌着……?しかもここ…私の部屋じゃない…?!」
ほぼパニック状態だった。殆ど覚えていない記憶を辿ろうとすればする程頭は痛み、眩暈もしてきた。二日酔いを経験した者は誰もが思うであろう「もう絶対に記憶飛ぶまで飲むもんか」というほぼ意味を成さない誓いを自分に立てた時、視界の端に何かが動いた。
どうやら美奈子の他に誰か居るらしい。学科の子が介抱してくれたのかも!重い体をどうにか動かし声を掛けようとした瞬間、二日酔いの頭痛に更に追い討ちを掛けるような光景が目に映った。
「えっ…?!」
―なんで空也さんが半裸で寝てるの?!
もう訳が分からなかった。確かに美奈子は空也とお付き合いをしている。でも2人はまだ可愛らしいお付き合いしかしていなかった。手も繋いだし、キスもした。でも、それ以上の関係はまだ築いていなかったのだ。肌着の自分に、半裸の彼氏。カップルがこんな格好でベッドに居たら、予想される出来事は一つしかない。
「ん………おはよ…身体は大丈夫……?」
「エッ?!?!はははい!だい…じょぶです…」
恥ずかしくて顔を上げられなかった。空也の上裸はプールや海のデートで見たことはあるが、今彼から出ている色気は桁違いだった。それに加えて、初夜を迎えた後となるとどんな顔をすれば良いのか分からなかった。
「ごめんね?君ハジメテだって言ってたから、出来るだけ優しくしたつもりだったんだけど……本当に痛くない?」
「はっっっはじめてって…!!」
「でも昨日あんなだったから身体辛いよね…今日はゆっくり休もう?」
―あんなだったってナニ?!ハジメテだったから優しくしたつもりって?!どうして私なにも覚えてないの?!せっかくの初体験なのに酔って記憶ないって…もう!バカバカバカ!最悪だよ〜!
折角彼との初夜を迎えたというのに、美奈子はひどく落ち込んだ。どんなキスをして、どんな手順で、どんな優しい言葉を掛けられたのか。それを何一つ覚えていない自分が悲しくて、悔しくて、いつの間にか溜まっていた涙が表面張力を破って溢れ出した。