黒猫・白猫どこを歩いていても
誰と話していても
視界隅々まで映え、耳は万人を追う。
立っているだけで仕事になる。
この技術と情報が金に変えられることを、猿飛あやめは知っている。
人と話す時、揺れる目線に気がつくのは同業だけだ。
「疲れてんじゃない?職業病、ばれちゃうわよ?」
幼馴染は視線をくれもせずに笑う。
「あんたは忙殺されてると落ち着くタイプなのかしら」
殺されるほど、忙しい
ということはない。
手足も頭も癖で動いてしまうので日々無駄な感情に独占されることがない。しかしポーカーフェイスで武装しているわけではない。
どこまでも忍なので
感情が優先しようが手足は動く。
「あんたは場合によっては頭より無慈悲かもね」
「あいつと私はタイプが違うの」
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