【爆切】追いかけっこ「…ここか」
ナビの通りに新幹線から電車に乗り変えしばらく船を漕げば、小さな駅に着いた。
追いかけっこ
別に、何かあった訳じゃない。いつも通り。むしろ今日は平和なもんだった。ただ、帰り道、ふと茜に藍が滲む空を見上げれば、透ける白い月が浮かんでいて。
(まだ太陽は沈んですらいねぇのに、何を焦って追いかけてるんだか)
そんなくだらないことを考えていたら何
故か、唐突に、あのバカみたいに明るい笑顔を思い出したのだ。
——会いたいと、思った。
あいつが関西に引っ越してすぐ、聞いてもないのに勝手に送ってきた新居の場所をアプリのトーク履歴を遡って探す。ここから一番早く辿り着ける手段を調べて、衝動に駆られるまま新幹線に飛び乗った。
1899