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    アズロロ小説……ですがロロくん出てきません💦すみません……!
    本編に入れようかと思ってカットした場面。ジェイド時点です。

    #アズロロ

    貴方の世界を 夜。
     ラウンジの方で作業しているとやや乱暴気味にドアが開けられた。僕とフロイドが同時に振り向く。案の定、彼がため息を吐きながら入ってきた。
    「まだ残っていたんですか」
    「えぇ。例のマルシェで出すメニューの考案を」
    「あぁ……期限までまだ時間があるから、あまり焦らなくて良い。僕も案出したいし」
    「かしこまりました」
     僕は頷き、ノートを閉じた。もとよりそんな気がしていたので、さほど真剣には考えていない。
    「てかアズールまだ起きてたの?明日早いんでしょ」
    「荷物の準備をしていたんだ。忘れ物でもあったら困るだろう」
     ラウンジのソファに倒れ込み、またため息。どうやら今回の相手には少々手を焼いているらしい。

     文字通り———この堅物な友人の、胸の、奥底を焼くような人間がいるようなのだ。

    「あ〜、そっかぁ。気になる子とのデートだもんねぇ。浮かれちゃうとか、アズールも可愛いとこあんじゃん」
     フロイドはそう言って、くるりと一回転して見せた。ちなみにこの僕の片割れは、掃除当番をサボって絶賛水槽での遊泳を満喫中である。
    「はぁ?馬鹿言え、そんなんじゃない。ロロさんはあくまでクライアント。海に行くのだって、彼の要望だからです」
     不機嫌そうな答えに、フロイドは何も言わずただクスクスと笑って、向こう側へと泳いで行ってしまった。首を捻る彼の隣に、僕も腰掛ける。
    「北の方の海に行くんでしょう。断っても良かったのでは?」
     思っていた事を素直に聞いてみると、彼はちょっと目を開いて、それからきゅっと口を結ぶ。これは照れている時などに見られる、昔からの彼の癖だ。

    「いや……断ろうとしたんだ、最初は。でも、花の街のマルシェなんて中々出店出来ないだろうし……その、うん」
     口をもごもごとさせ、慣れた手付きで眼鏡を直す。これで隠せていると思っているのだから、いつまで見てても面白い。
    「ふふ。無事に仲良くなれるといいですね」
    「……お前まで揶揄って」
    「揶揄うなんて、とんでもない。本心ですよ。彼の事が気になるんでしょう?」
    「だから違うって。……逆に、どうしてそう思うんです?学園は違えど彼も客の一人に過ぎないんですよ」

     そう問いかけられて、確かにと目を瞑る。
     少々思案して、心当たりを探してみる。

    「目が、違うと思って」
    「はい?」
    「貴方が、彼を見る時の目です。……正確には、彼の事を話す時の表情ですかね」
     夜の水槽を眺めながら、言葉を紡ぐ。今日は晴れていて月明かりも強い。薄明かりの中、泳ぐ兄弟達は日常の喧騒も忘れさせてくれる。

    「お客様や取引先と話してる時の貴方って、目がギラッギラなんですけど。まぁそれはそれで見ていて面白くて」
    「おい。人の真剣な表情を面白がるんじゃない」
    「でも、彼の事を話す時はどちらかと言うと……キラキラしている、というか。どす黒さが若干薄れると言いますか」
    「人を普段どす黒いみたいに言うな。まるで僕が性悪な守銭奴みたいじゃないか」
    「え、自己紹介してます?」
    「締めるぞ」
    「失礼いたしました」
     少し笑って、口元を手で隠す。けれど、この言葉には嘘は無かった。
     ずっとずっと、物心ついた時からそばにいたのだ。そのくらいすぐに分かるのが、僕達だ。

     子供の時と何も変わらない。新しい魔法や、難しい問題が解けた時の———何か綺麗なものに憧れる、ワクワクする。そんな瞳。

    「ま、そんなところです」
    「まったく……僕はな、本当に真剣にやっているんだぞ。全ては僕の、野望の為だ」
    「存じておりますとも」

     その『野望』に燃える様も。ぎらついた眼差しも、見た事のない世界に目を輝かせている姿も。
     あの暗い、狭い海の底では僕達だって見る事も出来なかった。

    「何を笑っているんだ、ジェイド」
    「いえ、別に。やはり貴方を引き摺り出してきたのは正解だったなと」

     これまでも、これからも。

    「もっと、もっと———僕達に面白いものを見せて下さいね。”アズール”」
     水槽の中の、光が揺らめく。相変わらず口を結び、頬をほんの少し染めた友人は隠すように瞼を伏せた。
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