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    すいか

    @vIf1EyQiVhXy11t

    類司(🎈🌟)が主の倉庫。
    すいげつ/きんか、あわせてすいかです。

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    R-18作品については現在フォロワーさんのみの18高卒↑の方の「リスト」申請で公開しています。

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    すいか

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    ワンドロ演目「祭り」+5時間

    デートで夏祭りに行く🎈🌟

    ※🧜‍♀️イベの🍬星2サイスト後編の内容にちょっとだけ触れてる。
    カタヌキについてきんかがエアプなため、表現がおかしいかもしれないです。

    #文

    もう散歩じゃない トン、トン、トン。
    ピンクのプレートを中にえがかれた模様にそって彫っていく。つまようじで線をなぞって、そこから内側のラムネを壊してしまわないよう気を付けながら。
    背面にはごった返した人々と夏の暑さとは違う明るい熱気が流れている。
     そう、オレは今類と夏祭りにふたりで来てカタヌキをしている。





    「やあ司くん。日が落ちた後の散歩に興味はあるかな?神社で数日間お祭りがあるそうだから、良ければ一緒に見まわり運動ついでにどうだい」

     そんな台詞を一週間前くらいに校内で言われた。要は類のいつもの若干遠回しな夏祭りへのお誘いだった。

     それならばえむと寧々も呼ぼうと提案をすれば「初回の一回は散歩ルートや屋台、イベントの下見ということでふたりで行きたいんだだからえむくんと寧々に話すのはその後にしよう。そうすればはぐれてもスムーズに合流できるしいきたい場所への道のりに迷って困ることもなくていいだろう」といつもの強い笑顔だがしかし圧の強い態度で早口に捲し立てられた。
     類にしては演出の話や興味のあること、または嫌いな野菜への言い訳以外でこうなるのは珍しく、あまりにも迫真だったためにオレは気を押されて一言同意するだけの返事をした。

     あいつが二人のことを誘わない。そのあまりの口振りに何かあるのかと身構えていたのだが、当日蓋を開けてみると類はただ本当に祭りの中を目的もなく楽しそうにぶらつき始めただけだった。それを見たオレはこれがようやくデートの誘いだったのだと気づいたのだ。

     類のあの時の口の回りようが、オレだけと夏祭りへ行きたいがために必死だった故の行動だと。そう思うと可愛くて仕方ないのと、そのことに気づけなかった自身への鈍感さに情けなくなり顔に熱が集まる。

    「どうしたんだい?暑いのかい」
     
     かき氷でも買いに行こうか。善意からの提案を大丈夫だと流して、オレはこの上下別に高ぶった気持ちを鎮めながら類の隣へとならんで歩いた。





    「こうやって祭りにくるのは、子供のころ以来だ」

     ウサギの形をしたカタを慎重に抜きながら話す。そうなんだ。と相づちをうつ類は鼻歌でも歌い出しそうな機嫌で、オレよりも早い手つきでおそらく飛行機?のカタをテキパキと抜いている。

    「そういえばお前は海は全くだったらしいが、祭りはそうでもなかったのか?」
    「うーん、親とは同じく来たことないかなあ。でも中
    学の時とかひとりでぶらつくことはあったよ。演出で扱う空気感を掴むためにね」

     それにここは眺めているだけで楽しいから。そう言う類の横顔は懐かしそうだった。
     オレには祭りは家族のように誰かとくるものだったから、その楽しさがあまり想像がつかない。眺めて楽しいという類の好きなものといえば他人の笑顔なので、それが溢れているのが良い。というところなのだろうか。

     パッと昔の記憶にある咲希の顔が浮かぶ。オレの隣でわたあめを買ってもらって嬉しそうに食べている笑顔が今でもくっきりと思い出せて、ひどく懐かしくなるのと同時に胸が暖かくなった。
     なるほど、類らしいな。こういうことなら楽しいというのなら確かにそうだ。それならばここは人が笑顔になれる大きなショー会場みたいなものだろう。

     類の言った言葉に頭を回して手を止めている間、当の本人はカタを綺麗に抜きおわっていた。立派な飛行機のようなものが板の上に鎮座していて見事だ。

     流石だな類。だがオレも負けてられない。
     思考から戻り再びカタヌキへと神経を戻してオレはウサギの耳の付け根につまようじを差し込む。細かく回りのカタを処理してから、ぐ、と力をいれて外側へと引っ張り枠を取り外そうとした。

    「あ」

     するとぱき!と音をたてて、一気にウサギの耳まで巻き込んでカタは割れてしまった。しまった、力みすぎて外さなくていいところまで巻き込んでしまったか。

    「ぬおぉ……!やってしまった……!」
    「兄ちゃん、やっちまったなあ」

     屋台の親父さんが覗き込んできて、ドンマイと肩を叩いて慰めてくれる。類は「見事に耳を折ってしまったね」なんて、膝に肘をついて眺めながらも悲しそうな声を作って悲惨な空気を出している。
     ううすまない、カタヌキのウサギよ。オレの手先が不甲斐ないばかりにお前の立派な耳の片方を無惨にも破壊してしまった。

     せめてもう片方の耳と身体をしっかりと無事に抜いてやり親父さんへと提出する。オレは参加賞のガムだったが、類には見事に抜けた景品として大きなお菓子の詰め合わせが贈られていた。
     一時作業中の間食には困らないとニコニコして大事そうに抱え込んだアイツはオレへと向き合うと、じっと見つめてきた後ふんわりと笑いなおして目を細める。

    「楽しいね、司くん」

     オレをわざわざ見つめてくるその様子からこの言葉が指すことがデートのことだと、今度はさすがに理解ができた。祭りを照らすライトと人の密集したことで発生した熱気で染まったわけではなさそうな薄桃色の頬の笑顔が、心を熱く満たす。

    「ああ、そうだな」

     つられて自然と微笑みが出てきて合わせて肯定の言葉を返す。周りからは楽しそうな子供の声や他の学生の笑い声、それから老夫婦が穏やかに会話する様子も聞こえているのに、今このときだけは目の前の類の笑顔が何よりも目が離せなくて、周りの様子がぼやけて分からないくらいに見つめた。

     オレは他の客には見えないように類を屋台側に追いやってから、景品を持っていない手の小指とオレ自身の小指を絡めて繋ぐ。突然の行為に驚いた類がいいのかと小声で問うてきたので、身体を人の邪魔にならないように避けるふりをしてわざと類へと寄せてから耳元で話した。

    「この人混みの中なら多分、分からん。それにどうせ殆どの者は屋台や来た相手に夢中だろう」

     だからいい。そう意思を強く伝えると類の方の小指にも力が入った。大胆な自分自身の行動に上昇した体温に汗が滲んできたのがわかる。自分より高い正面を顔を見つめれば先程よりも赤みが増していて、相手も同じだと分かればドクドクとした心音も心地がどこか良いものになった。

    「そう。じゃあ……今度はどこへ行こうか」

     類が顔を逸らさないまま小指をくいっと優しく引っ張り、それを合図に共に並んで歩きだす。
     せっかくのデートへのお誘いなのだ。えむや寧々がいる前では流石に気恥ずかしいし憚られるが、今はふたりきりなんだからこのくらい大胆にしたって構わない。オレだってこうした場で類と恋人として戯れたい気持ちはちゃんとあるのだ。

     金魚すくいで親子かカップルか分からないふたりがはしゃいでいる。今のオレたちだってそんなもんだろうきっと。そう思いながらふたりで人混みの中へ流れるようにして紛れた。
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    すずめ

    MEMOちょっとしょんぼりしてらくがきなんもできなかったけどなんかアウトプットしないとそれはそれで妄想消化不良で自家中毒してくたばるから文字発散でしのいでる

    ◆たつまよで夏のはなし(未完)
    いつぞやのらくがきの、ひまわり畑の前で先輩呼んでるマヨチヤンのあれのつもり
    ひろくん自転車のれなくて特訓したとか
    たつまよラムネのますとか入れたいとこまで届いてないていたらく…
    無駄に長くなるのなおしてえ
    いかにも夏らしい、高い空のひろがる午後だった。
    ひまわり畑のそば。
    麦藁帽の下の顔はぼんやりと、道の向こうに視線を向けて佇んでいる。
    髪色が濃いせいか、白い肌が殊更浮いて見えた。
    頬だけ、外気に当てられて常より赤い。
    咲いたような彩りの造形がやたら眼について、慌てて首を振る。
    胸の内、雑念を追いやるように戒めて、表情を作った。


    「お待たせしました」


    声をかければ、かの人がゆっくりと振り向く。
    大口の袖から覗く華奢な腕が持ち上がり、数度やわらかく手を振って、笑う。


    「暑いですねえ、巽さん」


    ええほんとうに。
    返事は、滞りなく相手に届いたようだ。
    手のひらには、買ったばかりのラムネの瓶が二つ。
    結露はとうにはじまって、瓶を握りこんだこぶしの先からほたほたと水滴が零れていく。
    足を踏み出せばその振動に、硝子のぶつかる硬質な音がからんと鳴った。



    ・夏の話



    結成から二度目の夏。
    ALKALOIDは四人そろって県を越え、とある海浜公園に出向いていた。
    来たる秋に向けて、参加型イベントの公募を盛り立ててほしいという依頼が入ったからだ。
    先行体験する姿を撮影し、感想を残し、 6309

    すずめ

    MEMOへーテキスト機能でござるかーってなったので、テストがわりに手元から適当に引っ張ってみました。

    現代びゃくしょーのつもりのやつ。
    詰め込んだ願望
    ・ジェッソトップ2の共闘
    ・戦場で役立つ入江様(大盛)
    ・薔薇の女王呼ばわりされる入江様(特盛)
    ・もうどうにかこじつけて入江様を盛りたい、という産物



    ◆白蘭を選ぶ正一くんの話
    (※ 一部、HEL/LSINGのオマージュみたいなところあります)


    鈍い鈍いと言われたこの頭でも、一度は“それ”を考えたことがある。
    もし彼が《もう一度》を願ったら。
    そのために力を惜しまぬと言い放ったら、と。


    唐突な呼び出しだった。
    指定場所は、見慣れた並中の校舎。
    その屋上へ君臨するように降り立った天使を、綱吉は食い入るように見上げた。

    「どうして! 白蘭!!」
    「だって、ああも見事な完敗って僕、初めてだったんだもの」

    にこりと、現代に戻ってから見てきたような邪気のない笑顔が綱吉へ返される。
    そう、邪気は、悪意は、感じないのに。

    「失敗したら、反省するでしょう? 反省したら、どうすればよかったか考えるでしょう?
    んでね?」
    「…………」
    「どうすればよかったかの算段がついたら、ほら、試したくなるじゃない?」

    両手を広げて、大仰な演者のように、白蘭は笑う。
    けれどきっと、 9612

    すずめ

    MEMOこれもなんとなく晒しちゃう
    いつぞやのスレミク(https://poipiku.com/150116/2641897.html)を漫画にしようとしてくじけて文章で……ってなってこれだけ進めて忙しくてやはりやさぐれてしまった、冒頭も冒頭の冒頭
    ◆スレイを探す、とある天族の話。




    目覚めた。


    そう、目覚めた。それだけがはじめの意識だった。ここがどこかはわからない。少し視線を動かすと、あちこち崩れた天井のむこうで、澄んだ青が高く見下ろしている。空だ。しかも昼の、晴れた空。なんだかそれにひどくほっとして、ほう、と息をつく。数回瞬いた。見える。問題ない。自分の意志で視界を動かせる。途方もないことだった。――――? そうかな。途方もないことだったかな。だって、見えるってそういうものではなかったろうか。青空があって、それを見ることができて、そんなのって、珍しかったっけ? わからないなあ。でも。でも。でも。



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    右を向く。
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    寝そべっているのは地面だ。
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