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    nmhm_genboku

    @nmhm_genboku

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    nmhm_genboku

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    呪術の美醜逆転

    ##美醜逆転シリーズ

    美醜逆転シリーズわーにんわーにん!!!

    このお話は女性の割合が少ない世界で虎視眈々と自分の知っている原作の地獄を回避したい夢主:九条瑞樹が織り成す逆ハー物語である(簡潔)

    今回直哉くん中心ですね。
    ちなみにこのお話に出てくる直哉くんは
    木こりの泉の妖精から貰った優しい直哉くんをあの手この手でこき使う瑞樹ちゃんがいます。
    ざまぁ(作者渾身のプギャー)

    ひと目でわかる心の距離(一人称)
    悠仁相手:俺
    他:私

    ちなみにこの世界での主要キャラは全員男です。

    内心:次はエロ書くかな
    総評:そろそろ心の距離に気付かされる

    あの日、家の人間から逃げまわる少女をみて、不覚にも恋に落ちた自分が、この想いを諦めなくてもいいと思えたのは、あの少女が吐き出した言葉の羅列が、今の自分の状況を打破できる可能性でもあった。

    「あの時連れてきた女、お前のような男にしか興味をもたんらしいぞ」
    「なんや親父、もう知っとんのか」
    「ふん、お前のその顔のせいで跡取りの心配をしておった女中がうるさいぐらいに騒ぎ立てておったぞ」
    「いややわぁ·····。まだ婚姻もしとらんのになんでそうやって言うん?」
    「明日、こちらへと足を運んでくるらしいからな。その際に婚約でも婚姻でもすればいい」
    「は?」

    親父のその言葉に思わず聞き返せば、ニヤリと悪い顔を見せながら、明日この屋敷に来ると再度告られ、もてなす準備も何もしてないのになんで!!なんて言葉を飲み込んだ。

    「ッ!!!あほちゃうん!?」

    この世界の女は信用ならん。自分は顔など興味無いと言ってこちらの顔を見るなり悲鳴をあげたり暴言を吐いたりする。
    だから自分は種だけ提供するつもりで生きていたのに、たった数分会ったばかりのあの少女に恋をしたのだ。一目惚れなんて情けないと思いながらも、顔だけでももう一度みたいと思ってコッソリと京都の奴らについて行った時、浅ましい自分の印象しか植えつけられなくて。あの悪い印象のみの自分と、さらに言えばこの不細工な顔。マジでろくな事しかしてねぇと脳内で悪態をつきながら、それでも自分と会ってくれるのか、という期待。

    「あかん·····ほんまなんやねんお前ら·····」

    もう少し距離を縮めてなら分かるけれど、そんないきなり連れてくるみたいなやつ、どっちの得にもならないなんて。


    ★★★

    「こんにちはー!直哉サンいますかー?」
    「そんな近所の友達の家に来たみたいな挨拶やめてください!!私が怒られるんですよ!?」
    「え、だって直哉サンに会いに来たって言っても絶対信じて貰えないだろうし」
    「ちゃんと!!話は!!通してます!!!」

    うっそだぁーなんて呑気に言ってる現特級呪術師の九条瑞樹さん。実際モテモテ()の自分から見てもめちゃくちゃ美人と思える人だが、言動が一般人じゃないことはこの界隈では有名だ。希少種とでも言える。あの五条悟と夏油傑に挟まれても悲鳴を上げない稀な女。あ、いや、この間集中してJUJUTUBE見てた時に背後から抱きつかれて悲鳴あげてたわ。あの時のショックを受けたような最強2人の顔は爆笑もの。必死になだめてた九条さんは可愛かった。なんだろ、風邪かな、一瞬寒気がした。
    たくさんの女の人を見てきた自分が言うのもなんだが、綺麗な人だと思う。裏表も無い普通の高校生。特級だけれど、それをまるで褒めるように言われたところで歯牙にもかけない。
    我が道を行くひと。凄いなぁ…、なんて憧れるなぁ、なんて。まぁ、こんなこと言ったら多方面からめちゃくちゃ言われるから言わないけれど。主に虎杖悠仁筆頭に五条とか夏油とか。

    ★★★

    「ほう、お前が·····。どうだ?直哉(あのゴミ)よりも俺にした方がいいと思うが?」
    「寝言は寝て言え???」

    不細工な顔立ち持ってくんなよ、なんて言った彼女を、補助監督が嘘でしょ!?と驚愕の声と共に2度見する。

    「こ、こんなにイケメンなのに!?えっ!?アンタの美的センス悪いんじゃないんですか!?」
    「失礼すぎんかこの補助監督·····」

    私の事、実は嫌いだろ、なんて言ったあと、こちらへと目線を送り、お久しぶりですとうっすら笑ったその顔に、思わずゴクリと喉がなった。

    「お、ひさしゅう……」
    「はい、おひさしゅうです。ところで今日はお時間ありますか?」
    「まぁ、少しは……」

    なら良かった。なんてゆったりと笑うその顔に、思わず大きく息を吐いた。なんやねんその顔!!!ギッ、と奥歯を噛んで、なんやねんと小さく声を出した。

    「実は京都の観光したくて」
    「別に俺やなくても他の人に頼めばええやん」
    「京都で知ってるの直哉サン以外いないんですけど」

    京都の学校の人たちとは関わりたくないですしおすしなんて言いながらぶーたれる顔を見る。動きやすいカッコしてバリバリ遊びに来ましたなんて言うようにこちらを当たり前のように誘うこいつを見て、はぁ、と小さくため息をはいた。

    「俺外出るんあんま好きやないんよ」
    「なんと」
    「ついでに言うと今外出るとお前ナンパされまくるで」
    「あ、それはさっき体験してきました」
    「めちゃくちゃ暴言吐いてましたね、そういえば…」
    「いやぁ…イケメン()に興味ねぇので」

    イケメン()は死んでくれとも思いますね、なんて言った彼女の言葉に誰しもが2度見する。お前価値観合うヤツおらんやろ、なんて言えばそんなバンドの解散理由みたいな…なんて言ってきたので補助監督意外全員首を傾げた。

    「バンド…?」
    「正式にはスリーピースとか、そういう〝音楽を演奏する集団〟ですね。なんでバンドって言うのかわかんないんですけどね。まぁ、そういう集団は、価値観の違いとかが理由でよく解散するので」
    「へぇ、物知りやな」
    「興味があるのだけですね」

    実際バンドのメンバーには興味無いです。なんて言って曲をすすめてくるあたり好感が持てた。

    「そういえば、ココ最近京都の生八つ橋にハマってるんですけど、美味しいお店知ってますか?」
    「うちにあるで…八つ橋ぐらいなら」
    「なんと」

    お茶持ってくるからそこに座って待っときぃ、なんて言って縁側から中へと戻ってしまった直哉サンに、お茶はぬるめでお願いしまーす、なんて言ってのける根性、見習いたいな、なんて補助監督は思った。
    見れば見るほど彼女が規格外であることは確かだった。
    禪院家の次期当主だとしても、あの顔では子供は見込めないとか言われているのに、彼女は特に気にとめない。正しく自由に生きている。

    ☆☆☆

    「…ほんで?なんでこんな所になんの護衛もなしにきたん?」
    「おや、気づかれてしまいましたか」
    「あほ。俺かてそない馬鹿やないわ」

    それはそれは。
    ゆったりとそう口にして、実はですねぇ、と声を出した。

    「京都の学校にダリアの花がないかなぁと思いまして。けれど、私京都の人間じゃないじゃないですか。楽巌寺学長さんに言ってもいいんですけれど、あちらさんとは喧嘩したばっかりなので、直哉サンが見に行って貰えたらなぁ、と」
    「ほー?」
    「個人的な話ですからねぇ…。なにせ五条センセ達にいうとめんどくさ…げふん、厄介この上なくて」
    「ふっふふふ、そうかぁ」
    「うけてくれます?」
    「んー、俺に何も利益ないやろ、それ」
    「利益…利益ですかぁ」

    これまた面倒なのを出してきますねぇ、なんて呑気に言いながら、そうですねぇ、と声を出した。

    「そういえば私ついこの間犬鳴任務と田原坂任務おわらせたんですけれど」
    「は?」
    「その両方の任務で実は省いたところがありまして」

    それと交換というのはいかがでしょうか?なんてうっすら笑っていえば、長考し始めたので、呑気に茶をシバく事にする。

    「あー…瑞樹ちゃん言うてええ?」
    「ちゃん付けはゾッとするので瑞樹でいいですよ」
    「ほなら、瑞樹、で。瑞樹が出した任務の概要は実はしっかり読んでんねん。それを踏まえて、何隠してんの?」
    「まず受ける受けないのお返事を貰っても?」
    「チッ…あー、まぁ、せやなぁ。京都の学校に花見に行くんもええか…。ええで。受けたる」
    「〝反故にしないでくださいね〟」
    「〝分かった〟」

    にっこり。その言葉を聞いてなるべく自分では可愛いと思う笑い方で納得して実はですねぇ、と言葉を吐いた。

    「犬鳴任務で幻覚を使う呪霊がいまして」
    「…は?」
    「トリガー…幻覚を作用させる引き金ですね。それがなんなのかちょーっと気になって五条センセ達には内緒で調べたんですけど」
    「ちょい待って」
    「はい?」

    なんでそない任務受けたん、なんて聞かれたので、生まれが九州でしたから、と答える。

    「私熊本のド田舎産まれなんですよ」
    「ほぉ?」
    「閉鎖的でして。まぁ、今で言う部落ですね。小さい頃の記憶って案外今以上に鮮明なんですよ。よく知らないおっさんにここにいたら幸せになれないよ、なんて言われてましたけど、そのおっさん幼児誘拐事件の犯人でしたね。まぁ、それはどうでもいいんですけど」
    「良くない話やぞ!!?」
    「私には被害がなかったので」
    「そりゃッ…そりゃあそうやろ…」

    女に危害を加えたら死罪。今の世の中、女性の割合が少ないせいでそういう法になってしまったこの日本で、そのおっさんはよく思いとどまったと言える。昔ならほんとに無差別に誘拐していただろう。

    「私小さい頃田原坂に居た呪霊にもあってるんですよねぇ…。」
    「はぁ!?」
    「私が、なんの情報もなく任務に赴くわけないじゃないですかァ」

    調べましたよ、結構真剣に。ゆったりとそう言ってお茶を飲む。口の中がよほど乾いていたらしく、一気に飲んだせいで空になったので、湯のみにお茶を汲み、直哉サンの湯のみにもついでに入れる。

    「私の産まれた地域にはそこそこに伝承が残ってたんですよ。人の口にとは立てられない。実際びっくりしましたね。何人もの術師の報告書を読みましたけれど、全て聞いた内容と同じでした。私の生まれた地域は、特段呪力持ちが多かったんだと思います」

    だから小さい頃、母と一緒にあの坂に行った時に急ぎ足でそこを通り抜けたことを思い出せた。

    「タイムトライアル。言わば、時間制限付きの坂です。一の坂は17分、二の坂は13分、三の坂は4分。過ぎたら背後から鎧の呪霊が襲ってきます」
    「えらい詳しいな…」
    「知ってましたから」
    「それは、どこで?」
    「それは秘密です」

    なんやそれ、なんて言われたけれど、小さい頃、優しかった父がいきなり豹変した際に言った言葉だ。その数日後に母と共に死んだ。だから、何故それを知っていたのか、分からずじまいである。

    「私は今回、この〝お願い〟に賭けに来ているんですよ。私が知ってるのは、田原坂、犬鳴、そして、ついこの間犬神信仰に持っていかれた赤橋。ねぇ、直哉サン」

    取り返したら箔が付くと思いませんか?なんてうっすらと笑っていえば、彼はゆっくりと声を上げて笑ってみせた。

    「あー、あかん…」
    「えっ!?断られた!?うそ!!!?」
    「あー、ちゃう。そういう意味やない。箔が付くとか、そういう事あっさり言うてまう瑞樹の言葉にわろただけや」
    「なんで!?」

    おっかしいなぁ、なんて言いながら、友人の言葉を思い出す。クズでカスだから利益のあるもの出したら大丈夫とか絶対うそじゃん。これ以上のものなんて出せないんだけど。なんて思いながらウンウン唸ってたら不意に髪を持ち上げられる。
    ふわふわやなぁ、なんて言いながらスリスリと撫ぜるそれを見ながら、五条センセと同じことしますねぇ、と言葉を投げた。

    「は?」
    「五条センセもたまにしてきますよ。触り心地確かめるとか言って」
    「セクハラか?」
    「なんでそうなった!?」

    そんなわけないじゃないですか、なんて。確かにちょっと所じゃないぐらいには触ってくるけど、まぁ、触る時っていつも野薔薇君に髪の毛のセットしてもらえてない時だからな。あぁ、そう考えると夏油センセもそうだし、今日もか。

    「野薔薇くん…あぁ、学友なんですけれど、彼によく髪の毛のセット頼んでるんですけれど、その子が任務とかでいない時だけなので、特に問題ないですよ」
    「いや、問題ありまくりやで???」

    えー、なんでですかァ?なんて面倒くさくなって八つ橋食べながら聞けば危機管理って働いとる?って聞かれたので毒は無いと思いましたと答えた。違う、そうじゃないってすぐに言われたけれど。

    「ほんま何も知らんで呑気に幸せに暮らしとったんが分かるわ」
    「失礼では???」

    ☆☆☆

    「ほんで?話戻すけど、赤橋含めて教えてくれるん?」
    「もちろん。ただまぁ、誰が聞いているか分からないので、独り占めって訳にはいかないんじゃないですか?」
    「それはどうでもええ。どうせ俺に勝てる人間なんて限られとる」
    「ふぅん?なら補助監督サンだけは帰しますわ」
    「あー、せやな。あの五条のボンボンに聞かれて横取りされたらたまったもんやないし」
    「嫌ってますねぇ」
    「呪術界なんてそんなもんや。自分の力以外信用出来るもんはおらん」
    「なるほど」

    そういう考え嫌いじゃないですね、なんて言いながら、補助監督サンに帰っていいですよっていうメールを送る。こちらをありえないというような顔で見る直哉サンには笑えるけれど、実際この世界で五条センセも夏油センセも自分の力以外はあまり信用しないようにしているフシがある。まぁ、2人で最強とか言っている時点でお察し。

    「自論ですよ。自分の力を過信する人間にろくな奴はいませんから」
    「えらいはっきり言うなぁ…」
    「上の人間がそうでしょ?」

    なんていえば、キョトンとした顔の後、盛大に笑ってせやなぁ、と賛同された。うーん、イケメン。目の保養だわ。

    「なぁ、聞いてええ?」
    「答えられる範囲でしたら」
    「瑞樹は、好きな人おるん?」
    「恋でおさまる言い方での好きな人ならいませんねぇ…。友愛で言うならいますけど」
    「誰か聞いても?」
    「悠仁ですね。軽蔑しました?」
    「いーや。知っとるから。幼馴染っちゅーやつやろ?」
    「おや、耳が早い」

    まぁ、死んじゃいましたがね、なんてなんともないように言ってのけた私の頭を撫でながら、ごめんなぁ、なんて言う彼に、なるほど、と変に納得する。こんなことを言うのもなんだが、彼はあの友達がクズと言わしめた人間だ。恐らく革新派ではなく保守派であり、悠仁の強制死刑に賛成の人間か。

    「えー、信じたかったわァ…」
    「そらすんまへん。でもそんな言う割にはあんまり落ち込んでへんなぁ」
    「まぁ、上の人間にブチ切れしましたからね」

    直哉サンが気に止める必要のない話です。なんて。ちょっと意地悪な言い方すればしょぼんとされたので謝ってしまった。くっ、顔がいい…。

    「は〜…顔がいい…」
    「あまり言わん方がええよ、それ」
    「知ってますよ。生きづらい世の中ですよねぇ…」

    人と違う感性というのは時として自身を追い詰める。私が私であるために必要な価値や考え、感性を殺さないための措置としてここまで登ったのだ。今更変える気も、それを覆す気もない。ただ、この世界で私の感覚を、共有するつもりがないだけ。

    「まぁ、別にいいんですよ。目の保養を独り占めする権利ぐらい、持っててもバチは当たらんでしょうし」
    「面白い考え方やなぁ…ほんま」

    ★★★

    「で?僕や傑に黙ってどこ行ってたの?」
    「えっ、なんでこれ怒られてんの!?」
    「アンタ、自分の立場理解しとけよ。面倒な人間から気に入られてるって分かってんの?」
    「野薔薇くんめっちゃ辛辣じゃん」
    「話しそらさないでくれる?」

    ごめんなさーい、なんて軽く謝る彼女にグッと眉間に皺を寄せてそれで?と尋ねれば、そうですねぇ、なんて困ったように声を上げられた。

    「直哉サンの所にいってたんですけど」
    「あ?」
    「真希くんこっわ」
    「お前あいつがゴミだって知ってんの?」
    「酷い言い様で草」

    ちょっと話聞いてくださいよ、なんて言ってそうですねぇ、とまた、困ったように言葉を吐いた彼女に、全員がじっと言葉の続きを待つ。だいたいなんで休みの日にわざわざ補助監督まで連れて京都に行ったのか。ほんとに気に入らない。ここに縛り付けてやろうか、なんて軽く思ったと後に野薔薇は語る。

    「ちょっと京都の高校で気になることがありまして」
    「気になること?」
    「うーん…誰か聞いているか分からないので詳しくは言えないのですが…そうですねぇ、遠回しに言うと、京都の高校にダリアがないか、直哉サンに尋ねたんですよ」
    「花なんてどこでも植えてあるだろ」
    「真希さん、多分そこじゃないと思います」
    「伏黒クンは理解が早いねぇ」

    まぁ、そういうことですよ、とのんびり言って、裏切り者(ダリア)の目星は着いているんですが、しっかりとした動機(場所)が分からないんですよねぇ、なんて言う。目星が着いている時点でなんで僕たちに相談しないの、なんて聞けば、センセ達だと追い返される可能性がありますから、なんて当たり前のように言われた。否定できなくて泣きそう。

    「個人的な話、外部の人間じゃないと無理なんですよねぇ…。内部の人間だとあっても無いことにされますから」
    「見せたくないってこと?」
    「まぁ、それが一番でしょうね」

    めんどうだと呟くその顔を見ながら、目星はついてんのかと真希は尋ねた。その問いにゆったりと笑う事で返答とする。

    「裏切る人間(ダリアの存在)は分かってる。でもはぐらかされたら終わりなんだよね」
    「あぁ、だから外堀埋めるためにあいつ?」
    「あとは五条センセたちより直哉サンの方が楽巌寺サンも回答しっかりするでしょ」
    「否定できないなぁ〜」

    否定してよ、なんて言いながらため息をはいた瑞樹をみて、僕と傑以外は首を傾げた。

    「目星着いてんのになんで聞かねぇんだ?」
    「…聞けないんですよねぇ。と、いうより、保守派も革新派もダリアには優しいですからねぇ…」

    特に保守派は。なんて言えば、眉間に皺を寄せて、は?と五条は声を上げた。

    「瑞樹って悠仁と一緒で一般から入ったのになんでそこまで知ってんの?」
    「知らないということは罪なんですよ、センセ」

    特級になって得したことと言えばそこだろうか。そういった資料は上に行けば行くほど明確に見れる。京都に行ったのだって、それを明確にするためだったし、実際確認して厄介だな、と感じたのも事実。

    「上にとって、自分たちに刃を向けなければダリアなんて些細なこと。だからこそ、私は私があの場で信用出来る人に頼んだんです」

    それを咎めますか?なんて意地悪く聞けば、そうか、と言う言葉だけ帰ってきた。

    「否定も、肯定もしない。私たちでは教えて貰えない、という可能性がある以上、君の判断はきっと正しい」

    けれど、それでも一言言って欲しかった、かな、と言って困ったように笑ったのを見ながら、それがですねぇ、とこちらも困ったように声を出した。

    「センセ達に言う前にダリアくんから呼び出されちゃいまして」
    「はぁ!?」
    「明日会うことになっているんですけれど、センセ達来ます?」

    ちなみに京都の歌姫センセと楽巌寺学長は来ますよ、なんて言えば五条センセと夏油センセは行くって言ってきたので恐らく襲撃事件にも対策持てると思いました!





    「おーい、こっちやで~」
    「おっ!直哉くん、やぁっほ~」

    ひらひら~っと手をふって、京都の学校へと足を踏み入れる。偏見を入れるなら休み時間お香とか焚いてそう。うわ、はんなりマウント取られるやつやん(はんなりマウント ♯とは)

    「なんでお前がここにいるんだよ」
    「は~、なぁんも知らんとか可哀想やなァ」

    俺は頼まれたんやで?なんて言いながら、ここ数日の与幸吉の動きを記載された報告書を見る。二日ぐらいしか期間を入れてないのに流石ァ~!

    「ん?この情報の根拠は?」
    「あぁ、そこは…」

    身長差えぐい。待ってなんでそんなに身長あんの?縮めよ(呪詛)なんて思いながら、ちゃんと説明は聞く。てかこの報告書誰が作ったの?え?直哉クンが作ったのやっべぇね!

    「おっけ。そんじゃ、ダリアちゃんを見に行きましょうかね」
    「俺もついて行ってええ?」
    「モーマンタイ!」

    ふぅ、と息を吐いて、地下へと向かう。今回勝負服的な感覚で軍服で来たけど、私だけ高専の制服5種類ぐらいあるからな?ちょっと多すぎない?やっぱりしっかり断っときゃよかった。でも軍服は気に入ってるので制服とこれだけで十分かと思う節があるからもうどっちもどっちだわ…。

    「おい。東京の人間が何の用だよ」
    「あれ?真衣くんやん。おひさしゅう」
    「お久しぶりです」
    「上下関係出来てて草」

    ウケるwなんて言って、今日は君らに構ってあげられなんよ、なんて。コキ、と首を鳴らして歌姫先生は?と聞けば、お前が来訪者かよ、なんて嫌そうに言ってきたので全力で煽ってやろうか、コイツ。なんてちょっと思ったけれど、まぁ、私の方がね!大人なんでね!!!(交流会の時覚悟しとけよクソガキ)

    「真衣ー。メカ丸知らないですか?」
    「三輪、出てくんなって言っただろ」
    「でもメカ丸がいないか、ら…」

    ぱちり、とこちらを見た少年が、目を大きく見開き、私の名前を呼ぶ。うるっさ、なんて呟きながら耳を覆えば、焦ったようにこちらに謝ってくるその姿をみながら、眉間にしわを寄せる。

    「うるさい。まず黙って」
    「は、はい」
    「で、なんで私の名前呼んだの」
    「と、東堂君が」
    「あ?筋肉だるまがどうしたん」

    俺らを見ても悲鳴上げない珍しい人間だっていってて…。小さくそう言った彼を見て、そういえばここの世界って美醜逆転だったな!?と再度現実を理解する。めちゃくちゃ忘れてた。だって私の価値観ではここはイケメンしかいないじゃん。それにここ最近は任務に出るとき目的地までずっと車だしなァ…

    「うーん…まず価値観が違うんだよなぁ…個人的に五条センセはヤンデレ美人さんだし夏油センセはメンヘライケメンじゃん?」
    「顔面云々は置いといても、的確過ぎて逆に怖いわ」
    「因みに直哉クンはツンデレのべっぴんさんだよね!」

    ちょっと何言ってんのかわかんない。なんて該当の三人から言われたけれど絶対あってると思うわ。

    「で?歌姫先生は?」
    「こっちだ」

    あ、どーも。にっこりと笑いながら、歌姫先生の方へと向かおうとすれば、ちょい待ち、と直哉クンから待ったを言われ、さっきからなんなんよ、なんてちょっと不機嫌になれば、ほんまにそこにいるん?と尋ねた彼に、嫌そうな顔をしてきた歌姫先生が舌打ちをした。

    「おぉ…まさかの裏切り…こわ…」
    「うるせぇ」

    確信もねぇのに来た可能性があるだろ、なんて言ってくる歌姫先生に、面倒くせぇ人間だな、と思いながら息を吐いた。

    「ちゃんと拘束してんの?」
    「…ここには、居ない」
    「は?」
    「…逃げたんだ。アイツは。だからここには、居ない」
    「チッ、どないす…瑞樹、顔怖いで?」
    「…嘘つくんだ。へぇ?」
    「瑞樹、どうする?」
    「強行突破します」

    トトト、とステップを踏んでそう宣言する。隠すならこちらも強行突破させてもらうわ。そう言ってぐぅ、と前かがみになって歌姫先生の目の前に飛び出す。刀を一瞬で抜き取るその動作を捉え、ズザッ、と急ブレーキをかけて、更に身をかがめ、鳩尾に正拳突き下からぶっぱなし、飛んで行った彼を無視して高校の中に入る。

    「時間稼ぎしてんじゃねぇよ!!てめぇらこのまま裏切り者野放しにするつもりかよ!!!」
    「その裏切りは、しっかりとした根拠はあるのか?」
    「ハァん!?こちとら呼び出されて来たんですぅ~!舐めないでくれますぅ?」

    舌打ちをぶち込みながら、そういえば、ふむ、と考える筋肉(東堂)が、こちらの思い違いのようだ、と言葉を出してきたせいで眉間にしわを寄せる羽目になる。

    「お前ら呪肉体(悠仁)については1%でも可能性がある場合は殺すって選択してくるくせに仲間の裏切りは隠すんだ?滑稽だわぁ。よかったよ。お前らに人間のカスの血が流れててくれて。罪悪感無く殺せるわ」
    「はぁい、瑞樹ストップ。これ絶対ここに居るおじいちゃんのせいだから一線越しちゃだめだよ」
    「ほらほら、落ち着いてゆっくり息を吸って、吐いて」

    ぎゅ、と抱き着いてきた夏油センセの重さに耐えきれず、ぐぇ、と声を出してしまったけれど、キレた感情を落ち着かせるにはちょうど良かった。

    「沸点低いであんさんwwww」
    「まっじすんません…」

    はぁ~…と深く息を吐いて首をコキリと鳴らした。そんな私を見て直哉クンはめちゃくちゃ爆笑しててむかついたけれどまぁ、落ち着かせてくれたので良しとしよう。

    「もうさぁ私はそいつに呼ばれて来てんの。会わせて」
    「ま、これはホント。奴さんも逃げられないってわかったから呼んだんだと思うんだよね~」

    だから通してよ。なんて。歌姫先生はちょっと真剣にそう言った五条センセを見て、私を見た後に深く息を吐いて、女は信用しないなんて言われたので中指立ててこちとらここでは直哉クンと東京のセンセ達以外全員信用してねぇよって言ったのであっさり通してもらいましたわ。やったね!目力強いよ!

    先にきていた夜蛾学長と、相手をしていたらしい楽巌寺学長と合流し、地下へと足を踏み入れる。じめじめした室内に嫌悪しながらも、浴槽の中で静かにしている術師を思いながら、目の前にいるメカ丸に向けて声を上げた。

    「どーも初めまして。君がダリアであっているかな?」
    「まずそのダリアって何」
    「ちょっと歌姫~。ダリアの花言葉ぐらい知ってたら?」
    「仕方ないよ。まさか学生に裏切り者が出るなんて誰も予想していないんだから」
    「あぁン!?」
    「喧嘩するならセンセ達ここで待機してもらいますからね」

    はー、めんどくせぇ。なんて言いながらため息を吐けば、目の前のメカ丸こと与幸吉クンは、なゼ、と言葉をついた。

    「何故、俺がダリアだとわかっタ」
    「あぁ、怪しくないのは君だけで、欲望が人一倍あるのも君だけだからね。実際甚爾センセか君かって悩んで私は君が一番怪しいと思った理由の一つはこれかな」
    「まるでいくつもあるみたいな言い方だナ…」
    「そりゃぁ…。君の傀儡躁術の話を聞いた瞬間、悪いけれど、私は君が犯人だと確信したし、天与呪縛の話を聞いて君が今住んでいる場所から離れたところにいるっていうのも想像できた(原作知識だけれど)。人目につかない所にいるって言うのはそれだけで有利だからね」

    そう言ってガシガシと頭を掻きながら。確かにさぁ、と言葉を吐く。ここは生徒同士で、なんて事前に言っていたが、九条がここまで調べをしているなんて誰が想像できただろうか。

    「確かにさぁ、健康な体で会いたいっていうのはわかるんだけどさぁ、それとこれとはまた別じゃね?敵がさ、お前の約束をしっかり守ってくれるとでも思ってんの?」
    「は…」
    「約束した内容は?(原作の内容だったら)京都の人間には手をだすなって感じ?でもそれって守るのは約束したヤツだけじゃない?」
    「なにが言いたイ」
    「君のやり方は甘いって話。君さぁ、言葉を介する呪霊で、意思疎通が出来るってことは悪知恵が働くって言ってるのと一緒なんだよ」

    トン、とこ中指でこめかみを叩く。自分が思っている以上にややこしいことにならないと良いけれど、なんて思いながら、メカ丸を見る。

    「お前はさぁ、自分が五体満足になった瞬間、その呪霊と闘うことを前提に策を練ってるの?それとも逃げることを前提に策を練ってんの?あー、まって。逃げることはしないけれど、救援要請を送れれば勝ち、みたいな?あほかよ」

    ぼそっと呟いたその言葉を聞いた瞬間、メカ丸はどういう意味だとか言って胸倉をつかんできたけれど、私からしてみれば、そんなことも分からないただのガキという事で。いや、確かに私は原作の知識があるからどうとでも言えると思う。言えると思うけれど、それとこれとは別じゃん?

    「“帳”の特徴言ってみろよ」
    「あ?」
    「お前さぁ、護られて生きてるから知んねぇんだろ?いつ死ぬかわかんない恐怖も、目の前で呪霊が襲ってくる脅威もさぁ!!!そりゃァそうだよなァ!だってお前は機械だもん!そんな恐怖も体験した事ねぇから仲間ァ裏切ることも出来るんだろ!!月の光でさえ痛い?それ以上の痛みをお前の仲間は任務に行くたびに受けてんのに?死にゆくまでに自分が仲間と会えないのがつらい?その姿をみて誰が軽蔑すんだよ、あ˝ぁ!?言ってみろや!誰が!!軽蔑すんだよ!!」

    ゴンッとメカ丸の腹をければ、ふいうちだったのか、あっさりとしりもちをついたので、その上にまたがって、彼の胸倉をつかんで見下ろす。

    「お前が殺すんだよ!!お前の仲間も!お前の教師も!!これから先出来る後輩も!お前が殺すんだよッ!!よくぬくぬくといられるね。私尊敬しちゃーう」
    「九条。そこまで言っていいと許可していないぞ」
    「あ、別に許可を求めていたわけじゃないんで。私が思っただけですね。はっきり言って、もうお前の術式に信用すら出来ないわ。私だけは、お前がこれから死ぬまで敵だって言う心で見ているからな。良かったわぁ。信用する前で。おめぇから信用を取り戻す云々言われる前に発覚してよかったわ。先輩にも同期にも黙っててやるからオラ、お前今どこにいるのか教えろや。言っとくけど、お前が“真人”とかいう呪霊と契約したんなら、素直に居場所言った方がいいぞ」

    死にたくねぇだろ。なんて舌を打ちながらそう言えば、お前に何が分かる、なんて怒られた。別に分かろうなんてしていない。自分が悪だと思ったから、私は彼を責めただけだ。

    「お前に何が分かる!太陽の下を走ることも!同期と生身の身体で任務に行くことも叶わず!!望んでもいないのにこの肉体を与えられたこの俺の苦しみも、悔しさも、辛さも!!お前にはわからんのに出てくるナ!!」
    「おめぇの苦しさなんざしらねぇよ!私が言ってんのはてめぇのその他人を使ってでも自分の願いを叶えようとしている根性が気に入らねぇッつッてんだよ!!!」

    ゴチンッ!とお互いの額を当てて、お前のそういうところが気に入らないっていう暴露大会していたらお互いの教師から落ち着けって言われながらお互い距離と取らされた。まじで遺憾の意!!!!ってめぇ!中指立ててんじゃねぇぞ!!!

    「あぁン!?おいコラてめぇスクラップにすっぞ!!!」
    「やれるものならやってみロ!!」
    「やめなさい!!!!」

    ゴチンッ!と頭に拳骨を堕としてきた歌姫先生と、落ち着けと言いながら、メカ丸の頭を杖でポコポコ殴るおじいちゃん()の姿が視界の隅で見れた。

    「熱くなってんじゃねぇよ」
    「別にぃ?熱くなってませぇん!」

    嘘をつくな。なんて私には足を狙って杖を叩いてきたジジイに舌打ちをかます。めっちゃ痛いんだよ!?脛とか!!当たったらどうすんの!いってぇな!!クソジジィ!!

    「瑞樹、落ち着いて」
    「これでも落ち着いてまぁす。スクラップにしなかっただけでもほめてくださぁい」
    「やっばぁwww」
    「直哉マジで笑ってねぇで止めろよ!」

    ☆☆☆

    「(やっちまったなァ…)…なんすか」
    「瑞樹がここまで感情的になるのは出会ってから短い期間だけれど、悠仁以外で初めてだなぁって」
    「…まぁ、そうですね」

    こんなこと言うのもなんですけれど気に入らないんですよね、なんて言葉を吐く。気に入らない。あぁ、そうだ。気に入らないのだ。

    「人を信じていない。自分が全人類の不幸を背負っていると思っている。まじでああいう女々しいやつがいっちゃんきらいじゃ」
    「落ちついて」
    「うーん…あ!良いこと思いついた!」
    「五条センセ、まって」
    「九州のとある山に二人で行ってもらおうかな!」

    京都でも東京でも、結局チームワークが大事だからね!にっこりと笑ってそういった五条センセにショックが隠せない。なんで!?センセ毎回私の味方だったじゃん!?

    「や、やだーーーー!!!アイツと!?一緒に!?無理無理無理!!!」
    「織姫~、そのメカ丸君と一緒に任務組んで~」
    「チッ…わかった」
    「ちょ!?なんでそうなるんダ!?」
    「ほらぁ~!メカ丸だって困惑してんじゃん!ねぇ!センセやめよ?私無理だって!!」
    「傑~。連れて行って」
    「まぁ、今回は瑞樹もメカ丸もお相子だからね」
    「「なんで!!?」」

    ☆☆☆

    「まァジない」
    「それはこちらの台詞ダ」
    「はぁン!?そっちが裏切らなかったらここまで大事になってねぇよ!」
    「じゃァどうしろというんダ!!」

    ダンッ、と近くの木を殴るメカ丸を見て、まずさぁ、と声を上げた。

    「なんで呪霊に契約持ちかけたのさ」
    「…人間になりたかったんダ」
    「あ?」
    「太陽の光を浴びたい。青空の下で仲間と話したい。一緒の任務に行きたい。みんなと、同じものを食べてみたかったんダ…」
    「…ふぅん?」

    ザク、と木の葉を踏む音を出して、ため息を吐いた。まぁ、そうだよなぁ、なんて。頭に血が上っていたから、彼の葛藤も、何もかも私は否定した。

    「ハァ…ごめん。意地の悪いこと言ったわ」
    「…俺も自分のことを棚に上げていたから問題なイ」
    「これからのことはセンセ達と話しなよ。私は手伝わねぇから」
    「それは悲しいなァ。先輩のお願いぐらいは聞いてもいいんじゃないカ?」
    「図々しいわwww」

    ケタケタと笑いながら、メカ丸のナビをもとに歩く。まぁ、おかげで冷静にはなれたかなぁ、なんて思いながら歩くが、違和感が襲う。さっきここ通らなかったか?

    「…メカ丸センパァイ?」
    「チッ、干渉系の呪霊カ」
    「ここに来るまでに祠や地蔵関係はありませんでした。個人的見解ですが、狐憑きの可能性は?」
    「地形や条件によって発動する可能性もある。九条、離れるなヨ」

    ぐ、とお互いの背中を合わせ、あたりを警戒する。彼は確か準一級と言っていた。この任務は一級任務で、特級の私がいるから、問題ないだろうとも言われたが、こういう干渉型との相性が悪いんだよなぁ。

    「お互いに情報を整理させていきましょう。一つ。ここに来るまでに夏油センセから教えてもらったことは三つ。一つ。窓数名が行方不明になっているという事」
    「ひとつ。補助監督が行方不明になっているこト」
    「一つ。補助監督の最後の言葉」
    「「空が異常に赤かった」」

    上!!そういって二人でその場から離れれば、上から赤い鳥居が一気に落ちてくる。縦横無尽に降り注ぐ鳥居を全て躱して再度お互いの近くにとどまる。目の間の砂ぼこりが晴れるころ、よく神社にいるような白い毛並みの、赤い前掛けをした狐がそこにいた。

    「ッ!?」
    「何故きつねガ!?」

    その声を出した後、ぐわりと大きな口を開いてメカ丸を襲う狐に、予想外の行動すぎて思わず笑ってしまったが、何故彼が襲われているのかはわかるのでパンパンと柏手を二回たたく。

    「ボロボロじゃんw狐つっよwww」
    「なんでお前は無事なんダ!!!」
    「ヤダなァ。私の出身は九州だよ?それだけでここの土地からは守られる存在なんだよ~?いやでもまぁちょっとやりすぎかなぁ」

    ケンケンいってる狐の頭を撫ぜながら、襲っちゃだめだよ~。なんて。なんか焦ったようにケンケン鳴いている狐に首を傾げながら、どうした、なんて言おうとすれば目の前で嫌な顔をしていたメカ丸が吹っ飛んだ。

    「メカ丸センパイ!!」
    「問題なイ!」

    元凶から距離を取り、相手の顔を見ようとすれば、犬の面をかぶった人間が、こちらを見ていた。その顔を見た瞬間ゾッと鳥肌が浮きでる。

    「貴様はそちらではない」
    「は、」
    「貴様はこちら側の人間になるはずだったのだ。狐が懐くのがその証拠。貴様はなぜ“そちら側”にいる」
    「よくわかんねぇなァ…日本語喋ってくんない?」
    「挑発をするな!何をしてくるかわからんのだゾ!!」

    己の役割すら理解できていないとは、なんて面倒なことを言い始めたのでその場から大きく後ろに飛躍して距離を取った。

    「センパイ。センセ達に連絡は?」
    「後10分ほどで来る予定だが、おそらく無理だナ…」
    「でしょうねぇ。と、言うよりこの山の一連の騒動はあんたのせいかな?」
    「ここは我らが育んできた大事な土地だ。汚れた血を入れるわけにはいかん」
    「…勝手に追い出しゃよかったじゃんよ」
    「九条」
    「センパイ、動かんでくださいね」

    じり…、と足幅を少し広げて、深い息を吐く。電波は良好だった。帳の外には五条センセ達がいるから、ここまで来るのに凡そ10分。もし、相手の“領域内”じゃなかったら、すぐに来てくれる。

    「はは…呪術師のお手付きかと思ったが、そうでもないようだ。お前は厄介なのが来る前に攫ってインガミ様にささげてやろうなぁ」
    「断るよ、外道が」

    その言葉の後、砂ぼこりが舞った。一瞬の隙が命取りだと感じたのは、九条でも、見知らぬ人間でもなく、メカ丸こと与幸吉だった。目球ギリギリの突きを裏拳で弾き、九条の心臓を狙う名も知らぬ人間のその姿に、ゾッとしながらも、その相手の攻撃をいとも簡単にはじき返し、避けてしまう九条の、なんと異質なことか。ここで彼女のデータが取れたことは京都の人間にとっては有益だろう。その情報を共有する前に“生きて帰る”という前提が必要になるが、それでもメカ丸は二人の戦闘から目を離すことが出来なかった。風も、影も操る九条のその姿が恐ろしく、されど美しいと感じた。

    「インガミってことはお前、沖縄の出身だな?それなのになんでここにいんのさ」
    「ほぅ?呼び名に詳しいな。よいよい。知識がある女子は嫌いではない」
    「私ちゃんと会話できないお前のこと嫌いだわ」
    「そう身構えるな。お前は我が一族の胎として迎えられることを誇りに思うがいい」
    「あ〜…この会話しようとしてもできないこの感じ、あのクソ上層部のジジィ共と同じ匂いがするわ〜」

    Fuck you!なんて言いながら中指立てる彼女を見て、だから挑発はやめろと言っているだろウ!なんて言えば、凄まじい程の熱を帯びた呪力を感知し、飛び退く。

    「術式順転“蒼”」
    「おっと」
    「瑞樹!メカ丸!」
    「無事です!」

    一瞬の視界の変換。こちらを捉えていた視線を、呪霊へとシフトチェンジした敵の姿を確認して身をかがめる。バチィ!と弾いた呪霊の死角からぬるりと這い出て、相手の首めがけて手を伸ばせば、横から出てきた犬の牙が私の首に喰い込む

    「あぁ˝ッ…(マジかよクソッ!)」
    「瑞樹!!」

    ブシュッ、と血が噴き出すのを視界にとらえながら、相手に風を圧縮した球(螺旋丸もどき)を相手にぶっ放す。

    「瑞稀!!」
    「このッ!里の面汚しが!!」
    「あぁン!?九州地方に産まれた人間全員が犬神信仰者だと思うなよ!!?」

    体勢を崩しながらも手印を組み、呪力を練る。肩口あたりに喰いついている犬神の首をシカトして、領域を展開させる。

    「領域展開:暗黒狂飆由良由良羅!!」

    バヅンッ!と目の前の男を真っ黒の箱に閉じ込める。箱はどんどんと小さくなり、首に噛みついていた犬がボトリと地面に落ち四散していく。
    ボタボタと栓を失った首から血が溢れるのを感じながら、喉奥に溜まった血を吐き捨てて、小さくなった黒い箱を回収する。

    「瑞樹」
    「殺してないですよ。閉じ込めただけです」

    なんで京都にきてダリアと喧嘩しただけで九州のちょっと曰く付きの山に置いて行かれるだけでも面倒なのに、犬神の人間捕まえなきゃいけねぇんだよ!!マジで!!死ね!

    「はぁ…マジでクソ」
    「お前あの二人と一緒にいて大丈夫カ?」
    「京都の生徒に心配されるって事はあの二人よっぽどのクズなんだな、ウケるwww」
    「笑って終わらせられるってどんな神経してんだよ」

    はぁ、とため息を吐いたメカ丸と歌姫先生は置いておいて、こちらを心配そうな顔で見る五条センセに、ひらっと手を振って座り込んだ。

    「はー…やっば…」

    反転術式ってどうするんだっけ?なんて思いながら、マイナスとマイナスでプラスにするっていうのを思い出す。家入センセがひゅーっとしてひょい、なんて言うからややこしく感じているけど、実際はマイナスの感情に、マイナスの感情を当てて、怪我を治すってことでしょ?
    現在怪我をしていることをひとつのマイナスとして、痛いとか、傷跡残らないといいなーっていう些細な感情を持ちながらやったら出来るんじゃね?えっ、天才?

    「………」
    「瑞樹?どうしたの?」
    「反転術式ムズいなぁ、って」
    「お前、これ以上強くなってどうするつもりダ…?」
    「んー、呪力の巡りが気になるんだよなぁ…」
    「聞いてないな?お前…」

    なんだっけ、こう、練った呪力をさらに練るって感じだっけ?でもそれだと出来ないからなぁ。媒体が欲しいな。

    「うーん…」
    「瑞樹、もうすぐ硝子くるから無理しないようにね?」
    「はぁい」

    生返事を返しながら、自分の理想を考える。ひとつは、自分自身の怪我を治すこと。もうひとつは、それを五条センセのようにオートにすること。

    「自分の、術式の限界を〝超える〟」

    キンッ、と自分の首に青緑色の円環が発動した。パチパチと発光する電磁波のような呪力を、自分のプラスと感知するなら、私の怪我は、多分治るはず。

    「んー…、んん???治ってないな?止まってる感じか?んー、呪力の変換が上手く出来てない感じか?えー、ちゃうねん。理想は治癒だぞ?予想以上に難しいぞ、コレ…?んんんん????」
    「はーい、そこまで」
    「んぁ?家入センセ。早かったね」
    「どっかの誰かさんが怪我したって聞いてな。急いで来たのに何してんの」

    反転術式の練習ですねぇ、なんて言いながら呪力を練るのをやめる。カラン、と首に残った青緑色の首輪を指で弄びながら、あとはよろしくお願いします、と言葉を吐いた。無茶すんなって言われて綺麗に治された首を触って、うーん、と悩む。いけると思ったんだけどなぁ…。

    「…瑞樹、首」
    「なんか残っちゃいました」
    「構築術式と似た感じか?」
    「いや、恐らく瑞稀の術式の解釈が起因していると思うんだけど、何しようとしたの?」
    「反転術式をしようとしてました」

    難しくて泣きそうですけど、なんて言っているが、それ以前の問題だな、と五条は当たりをつけ、他に考えたことは?と尋ねる。その問に対して、オートで使えるようになれば、と思って。と答えたのを聞いて、なるほど、と声を上げた。

    「瑞樹、痛いの我慢出来る?」
    「まぁ、それなりに」

    そういうが早いか、バギャッ、とこちらの腕を弾くっていうか折る前提で蹴りを入れた五条センセに爆笑する。

    「なんでwww」
    「その首のやつがしっかり発動するかの確認かな。また凄いの作ったねぇ」
    「おっ、褒められたってことはやべぇの作っちゃった感じっすか?」
    「そうだなぁ…詳しく話すなら、その首輪が代替わりしてくれているけれど、壊れたらその分の負債か一気に降り掛かってくるって感じかな」
    「なァる」

    じゃぁ、ある意味成功ではありますね、なんて言って首輪を弄ぶ。さっきの蹴りでヒビ入れるってやべぇな、なんて思いながら立ち上がる。

    「ん?じゃぁなんて私の怪我治んなかったんですか?」
    「だって瑞稀まだ反転術式習得してないじゃん」
    「嘘でしょ!?」

    じゃぁ首輪どうやって直すの!?なんて焦っていれば、そこら辺の呪霊に壊されるほどヤワじゃないってさ!!!そういうことじゃないの!!まじクソ!!!

    「ま、ちょっとぐらい欠点あった方が可愛いってよく言うでしょ?」
    「それは幻想だって言いたい」






    「疲れた…」

    はぁ、と息を吐いてカラカラと青緑色の首輪をもてあそぶ。反転術式しようとしたら、まさかの失敗でちょっとしんどい。もう少し私に優しい世界が欲しい。(充分優しいことは置いておいて)

    「ところで、瑞樹のこれってどうやって開くの?」
    「開けていいなら今からでも開けられますよ?」
    「あ、自在なんだ?でもこれ見るからに結構な呪力持っていかれてるけど、大丈夫?」
    「結構死にそう」
    「ウケんね」

    ふ、と軽く笑う家入センセの顔を見ながら、その気怠い感じめっちゃえっち~~~!!なんて思った。いや、だってえっちじゃない?え?私だけ?うっそだァ~!!

    「それで、それ。どうします?」
    「んー、ちょっと疑問もいろいろあるから、ちょーっとお話しようかなって」
    「ふぅン?」

    にっこりと笑ってんのに空気がめっちゃ気持ち悪いってすごいな、なんて思いながら立ち上がる。つい最近犬神信仰から“件の家”について調査許可もらったって言ってたなァ。あ、言っとくけど行くのは私です。呪ってやろうか。

    「とりあえず疲れた…」
    「お疲れ。とりあえずホテルに戻ろうか」
    「ぁい」
    「九条瑞樹」
    「…なんっすか、メカ丸先輩」

    まさかこんなボロボロになるなんて誰も思わなかったから着替えも何もないせいで、先生に服を借りることになるのだが、まぁそれは家入先生のを借りれば言ってことで自分の中では完結しているのだが、呪力の使い過ぎで眠たい私の不機嫌な姿を見ながら、また明日、話せるだろうか。なんて言ってきたので、あ~、と息を深く吐きながら声を上げ、そうだなぁ、と言葉を吐く。

    「話す内容は?決まってるんスか?」
    「…まだ、自分の中で納得できていない」
    「あぁ、そういう。なら任務しながらでもいいです?九州に来たんならある程度終わらせたいんで」
    「まるで時間がないみたいなこと言うんやなァ」
    「直哉クン忘れてません?私学生なのであと少しで交流会なんですけど…」

    特級なんやから見学やあらへんの!?なんてちょっと驚いた顔で言われたけれど、なんで見学しなきゃならないのかわからないので人数と下級のバランスの関係上参加しますって話しておく。

    「いやぁ~!ここで悠仁がいたら私は見学できたと思うんですけれどねェ~!!どっかの?保守派の?腐ったミカンがぁ??私の唯一の幼馴染を任務のごたごたに乗じて殺しちゃいましたからねぇ~???これだから世襲と権威好きのクソどもは嫌いなんだよ死ね」
    「滅茶苦茶煽るやんwww」
    「いやぁ、だってどっかの誰かさんが睨んでくるからさぁ」

    まぁ、そこは特に気にしてないんですがね、なんて嘲笑いながら言えば、小さい声でこっわ、なんて言われたのでにっこりと笑って直哉クンの耳に手を当て、ひっそりと言葉を送る。

    「直哉クンは保守派に見えて革新派だよね。五条センセが筆頭だからあまり大きい声で言わないけどさ」
    「…へぇ。なんでわかったん?」
    「勘かな」

    にっこりと笑ってそういえば、侮れへん勘やなぁ、なんて優しく笑われた。まぁ、実際、革新派だろうと保守派だろうと関係ないのだ。私が悠仁を守るために手を貸してくれる人だったら、どちらについていようがどうでもいいのだ。

    「私は私が信頼に足る存在だと判断出来れはそれでいいんですよ」
    「ふぅん?ほなら明日の“件の家”の任務は?本来ならそこまできにせぇへん案件やろ?」
    「嫌ですねぇ。ちょぉっとだけ嫌な予感がするんですよ」
    「そういえば犬神信仰からこっち(呪術師)側に管理降ろしても問題ない言われた所やっけ?」
    「“禁后”の方に人を流すって言っていたんで、たぶんそのせいで“件の家”を管理する人間がいなくなっちゃうんじゃないですかね?あの一族は私らみたいに全国を中心に動いているわけじゃなくて西日本の“妖”の封印を中心に動いている一族デショ。今回“件の家”をこちら側に渡したという事は、恐らく“件”が妖から呪霊に堕ちたから、こっちに渡したんじゃないかな、っていうのが私の意見…何ですか」
    「なんであの一族の行動理念しっとんの?」
    「ついこの間お茶会したからですかね?」

    なに危険なことしとんねん!!?なんてめっちゃ怒られたけれど、そこまで危険じゃなかったし、言われるまで一般人って思ってたんだもの。仕方ないでしょ。

    「ついでに言うとあの時助けを誰かに求めたら店内の人間全員殺すって言われたので大人しくしてました。褒めて」
    「よぉ頑張りましたなァ!!!!」

    もう…なんでこんなにもアグレッシブなんよ、って言われたので普通の女の子と一緒にしないでもらっていいっすか、なんて何度目になるかもわからない言葉を吐けば、普通の女の子みたいな扱いはしていないつもりだけれど、そういう態度を取られてしまうのは仕方ないことだと思え(意訳)と歌姫センセから言われたので私今直哉クンと話してたのになぜ割り込んできた?なんてちょっとガン飛ばしていたら、不機嫌極まりないあの二人をどうにかしろ、と言われたので歌姫センセの後ろに隠れて見えなかった五条センセと夏油センセを見れば、めっちゃ不機嫌なのに笑顔の二人がいて思わずひぇ、なんて声が出た。

    「帰るって言っているのに、まだ長居するつもりかい?」
    「帰りまーす!!」

    ☆☆☆

    「そういえばこの首輪、怪我の肩代わりって言いましたよね?」
    「うん。僕が“視た”限りだと、そうなるね」
    「その肩代わりする対象は、私限定ですか?」
    「いや?瑞樹のその首輪に誰かのみ使用可能、なんて言うのは書いていないよ。と、言うよりもそういう類いのものは自分でコントロール出来るまであまりわからないっていうのが主かな。僕の反転術式も、僕限定っていうのは会得してから分かったようなものだし」
    「んー、つまり?」
    「瑞樹の解釈次第ではたくさんの人を助けられる術になると思うって話かな!」

    へぇ、なんて。その教えられた内容が嬉しくてうっすらと笑えば、家入センセからとりあえず頑張ろうな、なんて言ってくれたので最強の家庭教師が増えました。最高。

    「俺は一級以上の人間と一緒じゃないと買い物にも行けない人間だけれど、瑞樹が俺の生徒でいるなら特に問題もなく買い物にも遊びにも行けるな」
    「わぁい!」

    自由な生活って大事だと思う!なんて思いながら血濡れの状態で元気に帰ってきた私を見て伊知地サンが悲鳴を上げた。正直すまんかったと思ってる。

    車内に乗り込んだ後に後でチクりますからなんて言った彼のつぶやきに五条センセと夏油センセが伊知地サンに滅茶苦茶慌てたような顔でわざとじゃないとか、一回は見逃してもいいだろとか言っているけれど何が何だかわからない私はとりあえず悠仁に今日あったことをメールで報告した。
    翌朝センセ達が幼馴染怖いって言って頭抱えていたのを発見してしまってよくわからないまま元気出してくださいって言う事しかできなかった。ごめんよ、先生。

    ☆☆☆

    「んで、ここが“件の家”か」
    「結構ザンエ残ってますね。と、言うより今回の任務珍しいやつだから夏油センセのコレクションにします?」
    「窓の証言によると現在は“仮想怨霊”となっているみたいだから、出来れば取り込みたいかな」

    そう夏油が言った瞬間、ユラリとナニカが現れて、ゆったりと口角を上げた後、“あしたはぁ”と言葉を紡いだ瞬間、柏手を九条は打った。

    「チッ…!!逃がした!」
    「な、なんやアレ!?」
    「半人半牛の妖怪もどきですよ!!多分妖怪伝説よりも都市伝説の方が有名になってきたんでしょうね…」

    チッ、と舌を打ってキョロっと姿勢を低くしながら視線を動かす。件の姿を象った仮想怨霊のあの姿を思い出して、面倒くせぇなぁなんて思いながら、はぁ、と息を吐いた。

    「今回の任務滅茶苦茶神経使いそうですね…」
    「こんなん言うのもなんやけど九州まともな呪霊すらおらんの?」
    「ハハッ」

    正直すまんと思っている。きぃきぃと音を立てながら廊下を歩いていく。そんなに広くもない家のおかげで、問題の大広間の近くへとたどり着く。ふぅ、と小さく息を吐いて、そういえばと声を出した。

    「夏油センセ、直哉クン、中入っても絶対座っちゃダメですよ」
    「は?」
    「流石にそういう事は無いと思うんだけど…」
    「それがあるんですよねぇ。まぁ、意識をしっかり持ってもらえればいいっすよ」

    危なくなったら助けますからなんて言った彼女の言葉をもっとしっかり聞いておけばよかったと今更ながらに後悔する。

    「くっ…そがぁ…」
    「禪院!!」
    「だから!気をしっかり持ってくださいって言ったじゃないっすかぁ!!」

    パァンッ!と柏手を打って大広間から二人を連れ飛び出す。もー!!二人とも頑張ってよ!!

    「ほんまなんやねん!!九州の呪霊アホちゃうか!?」
    「きょ、強制的、に、座らせようとしてきたッ…」

    夏油センセめっちゃ笑ってんじゃんやめたげてよーwwなんて私も笑いながら直哉クンの背中を擦る。怖かったねー!

    「相性悪い無理アホや。この屋敷におる呪霊全部祓ったろか!!?」
    「まぁ、まぁ、助かったんだからいいじゃないか。瑞樹に感謝するんだよ」
    「どーも、あんがとさん!!!」
    「いーえー!」

    いやぁ、警告してて良かった〜なんて思いながら大広間に蠢く呪霊を見る。多分あのムカデみたいなやつが座らせてきた張本人だな???キッモww

    「ん?そういえば本体、は…」

    ゆらり。視界の端で何かが蠢く。耳元で、あしたはぁ、と粘つけ声で囁かれ、はくりと息が詰まった。

    「あしたはぁ…あめがふるよォ…!」
    「ッ!!!」

    その言葉を全部聞いた瞬間、首輪がキィイインッ!と硬質な音を立てて光り、バチィッ!と件モドキに攻撃を仕掛ける。

    「瑞樹!!」
    「無事です!!」

    首元が先程の攻撃のせいで焼かれたのに瞬時に完治する。五条センセの言葉を疑う訳じゃなかったけど、マジで首輪が代替わりしてくれたけど、ヒビすら入っていないのを見て、五条センセのあの蹴りの強さに恐怖を怯える。

    「あぁぁぁあづいぃぃああ!!!」
    「うっわ、黒焦げ…」

    ウケる、なんて言いながら柏手を打って、影を使って拘束する。

    「センセ、取り込めそうです?」
    「まぁ、1級だから取り込めるけど…、やば」

    数日牛肉食べれなさそう、なんて言った夏油センセに確かに、と頷く。今日はあっさりとした温かいスープ食べたい。

    「あじだはぁ…!!」
    「おっと、口閉じようね」

    ベチッ、と影で口を塞いで、はぁ、と息を吐く。

    「うっわ…めちゃくちゃ蠢いとる…」
    「きも…」
    「ウケるww」

    ズズッ、と3人でひたすら罵声を浴びせたあと、呪霊玉へと変えて夏油センセの手持ちにしたあと、伊地知サンが待っているところまで行けば、安心した顔で出迎えられた。いやぁ、もう九州の任務はお腹いっぱいだわ

    「そう言えばこういったボス倒したあとはどうなるんです?」
    「あとは呪いが集まるだけかな。実際こういったのは何十年と時が立ってから形になるから、場所を変えてもっと強くなるか、弱くなるかのどっちかなんだよ」
    「へぇ」

    じゃぁ、この後は他の人達に任せて大丈夫そうですね、なんて言って車内の背もたれに体を預ける。
    直哉クンがもう絶対九州には観光以外で行かないなんて言いながら文句を言っているのをBGMに深い眠りについた。

    ☆☆☆

    「……き…。み……。瑞樹!」
    「ハイッ!!」
    「お、生きてるか?」
    「はい?」

    Q,起きたら何故か高専の保健室にいた私の心情を10文字で答えよ。
    A,いつ帰ってきたの?

    「え?」
    「寝てるだけみたいだからって言っても何かあったら大変だからってそこのクズどもがうるさかったからな。気持ち悪いとかないか?」
    「めちゃくちゃスッキリしてます」
    「なら良かった」

    とりあえず飴玉でも食っとけ、なんて言って塩飴渡されたのは多分寝起きだからだろう。今の時期必要だよね、暑いし。

    「それはそうと、お前その首輪の色濃くなってないか?」
    「あー、そう言えば呪霊の攻撃受けたんですよね…でもヒビとか入らなかったんで、大丈夫と思うんですけど…」
    「あんまり蓄積させるなよ?五条が言うには肩代わりしているだけなんだろ?」

    そうなんですよねぇ、なんて頭を掻き、今の課題かな、なんて思う。
    反転術式のなり損ないみたいなものだから、いつ限界が来るか分からないのが余計に怖い。

    「(様子見って訳にも行かないからなぁ)明日から指導お願いします…」
    「ま、手が空いたらな」

    お前はその前に交流会に向けて頑張れ、なんて笑いながら言われたのでそれもうかな、と納得した。

    そう言えば交流会って何か忘れてる気がする。というのは誰にも言えずに喉奥で押さえ込んだ。







    「相席よろしいですか?」
    「はぁ、どうぞ?」

    コトリ、と断れないように先程買ったであろうコーヒーを置いて聞いてきた若い男性に、怪訝な顔を向ける。

    「そう警戒しないでください。怪しいものではありませんから」
    「と、言いつつこちらから逃げられない位置に座ったのを確認してから相席お願いされましたよね?ここ何回かの外出先で感じていた視線はあなたですか?」
    「おや。ばれておりましたか」

    鋭いですねぇ、なんて言って笑っている男に冷ややかな視線を向ける。てめぇバレてもいいような頻度で見てただろーが、ふざけんな。

    「ほかの一般人があなたを不躾な目で見ていたので気づかれないかと思っていたのですが…。なぜバレたか聞いても?」
    「興味と観察は思考が違いますよ」
    「なるほど」

    次からは気をつけますね、なんて言って笑った男には申し訳ないけれど次なんてねぇから!!!そこだけはハッキリしとけよ!?

    「…それで?私になんの御用で?」
    「実は、あなたに我が一族の正式な婚約権利があることをお伝えしそびれておりまして…」
    「あ?」

    今なんて言った?なんてガン飛ばしながらそういえば、おやおや、なんて困ったように言われてイラッとした。おやおやじゃねぇんだよなぁ〜〜!!

    「九条ミツ、という人物はご存知ですか?」
    「うちのひぃひぃばぁちゃんですねぇ」
    「そうです。その方があなたがたで言う御三家の一角である狛犬家の御息女さまでして」
    「うちのひぃひぃばぁちゃん110歳過ぎるまでまで生きてたけど1回もそんな話なかったし、親戚にそういった家系はないって言ってたけど?葬式だって上げたけどあんた達みたいなの居なかったと記憶してるけど?」
    「おや、葬式に呼んでいただけなかったのに酷い言いようですねぇ…」
    「悪いけど盆と正月のお歳暮だったりお中元だったり、年賀状とか手紙とか全部ひっくり返して全部に知らせて盛大にお別れ会したから読んでないってことはテメーらとうちのひぃひぃばぁちゃんと何かあったのは確かデショ」

    悪いけど、そういうことは全部覚えているからもう少しマシな嘘ついてもらっていいですか?なんてココア飲んで言えば実はですねぇ、と困ったような顔で言われた。なんやねん

    「色々と理由があるのですが、聞いていただけますか?」
    「内容によるけど、面白くねぇなってなった時点で帰ってもいいなら聞くよ」
    「それはそれは。多分面白みもないと思いますが、宜しければ1世紀ほど昔の話をお聞きください」

    にっこりとそう笑って言った男の言葉に、耳を傾ける。そういえばお腹すいたな。

    「ご飯食べながらでもいい?」
    「マイペースなのはミツ様譲りですね…」

    すみませーんエビフライ定食ひとつー!ご飯と味噌汁大盛りでー!!!

    ☆☆☆

    「ミツ様は狛犬家の長女として産まれ、約18年の間狛犬家で犬神一族の“結界師”として職務を全うされておりました」
    「ふーん」
    「18の誕生日を過ぎた後、彼女は狛犬家の繁栄のため、さらには別の御三家の繁栄のために、その御身を使いご子孫を作ると言う話の中、フラリと姿を消し、現在に至るまで身を隠して過ごされていた事が最近判明した次第でございます」
    「で?」
    「ミツ様がなぜ我々の前から消えたかは分かりかねてしまうのですが、きっと自由な時間が欲しかったのだと、私は思いました」
    「せやな」

    せやな。言葉では隠してるけどぜってぇ最初の腐ったミカンみたいな感じだろ、絶対。ついでに言えば今私を迎えに来たってことは女が居ねぇって事で色んな家系から女が生まれてないか探ってやってきただろ??おぉん???(ガン飛ばし)

    「……はぁ…くだらない言葉の応酬はやめます。ミツ様が息苦しいと言って一族に喧嘩を売って半ば勘当という形をとり狛犬家を出られました」
    「ヒュー!ミツばぁさっすがー!!」
    「ほんとそういう所話に聞いていたミツ様とそっくりですね!?」

    すまんな!うちの家系は全員これだから。なんて思ってても言わないけど。まぁ、能天気に流される性格じゃないってことはわかって貰えただろう。それで?と言葉を続けさせれば、スッ、と名刺を渡されたので確認のために受け取って見れば、犬神一族代表取締り役って書いてあって思わず2度見した。えっ!?若ッ!?

    「将来が心配になる…大丈夫?ちゃんと休めてる?」
    「私こう見えて36です」
    「んだよ、童顔かよ」
    「ほんっと口悪いですね!?」

    はぁ、と深くため息を吐かれ、誘い込むとか絶対無理だろ、なんて言っている彼を見て、可哀想になぁ、なんて。

    「連れてこーいって言われたんスね。どんまい」
    「分かっているなら一緒に来ていただけると助かるのですが?」
    「まず私にメリットがないからなぁ。ここ(呪術界)よりも楽しくて、自由があって、私の好きなように生きてもいいと言えるなら、着いて行ってもいいよ?」
    「えぇ、我が一族であればそちらよりも安全に、楽に、好きなように生活できますよ」
    「でもそれは“箱庭の中で”っていう主語が着くでしょ?嘘はだめだよぉ、嘘は」
    「嘘も方便と言うではありませんか」

    頬杖を着いてゆったりと笑えば、あちらさんはにっこりと笑う。いやぁ、まぁじでどこでも闇深いわ。

    「生憎と、私の心は今のところ幼馴染と結婚するって決まってんだわ。見ず知らずの人間と結婚して子を産むなんて恐れ多くて恐れ多くて」
    「幼馴染…あぁ、あの両面宿儺を受肉した…」
    「あ?なに、そっちにも情報入ってんの?」
    「えぇ、我々犬神一族とアイツは所謂犬猿の仲、というものですから」
    「ウケるww」

    お待たせしましたー、なんていいタイミングでエビフライ定食が来たのでそれを食べながら、面倒事になる前に誰に連絡しようかなぁ、なんて携帯を触っていれば、こちらを見つめる目がゆっくりと三日月形に弧を描く。

    「…なるほど?脅しですか」
    「脅しだなんてとんでもございません!ですがほかの呪術師に我々一族の顔を見られるわけにはいきませんので、もし誰かしらに助けを求められるのであれば、ここにいる人間全て殺してでも足止めをしないといけなくなりまして…」

    貴女様はそれを望んではいないでしょう?なんて。グルルル、と小さく犬の鳴き声が聞こえて、ため息と共にハンズアップ。全くもって抜かりない。テーブルの下にワンちゃん仕込んどくとかどんだけ芸が細かいんだか。

    「そちら側では幸せになれないかと思われますが…」
    「結婚=女の幸せっていう考えなら吐き気がする。話題にするならノーセンキューって感じ。もっと面白い話して」
    「おや、手厳しい。しかしそういう感性は嫌いではありませんよ」
    「そりゃどーも」

    チッ、と舌を打ち、携帯を裏返して最後のエビフライを食べ終えて、それで?と声を上げた。ちなみにエビフライはしっぽまで食べる派です

    「今日の目標は、なんです?」
    「とりあえず名刺だけでも、と思ったのですが…難しそうですねぇ…」
    「はい。難しいですね」

    次はもっと面白いお話、お待ちしておりますね。そう言って両端をつまんでゆっくりとそれを破いた。

    ☆☆☆

    「レッツ!心霊スポットin京都!!」
    「わーい」
    「…本当にいいのか?」
    「九州の任務で足手まといだったし、こっちの方が気にしなくていいからむしろ楽」
    「おい」
    「歌姫っては昨日から瑞樹に突っかかりすぎ〜」

    ホントのことしか言ってないじゃぁん、なんて挑発する五条センセ。ほんとそういう所!!なんて人のこと言えないけれど、そういう所がクズって言われるせいでは?

    さて、そんなことは置いといて、今回の任務場所は伏見稲荷である。
    壮観だなぁ、なんて思いながら昨日メカ丸サンと一緒に行ったあの場所を思い出す。あそこも鳥居が滅茶苦茶あったよなぁ。あの場所はちょっと物理(上空から鳥居が降ってくる)だったけれどさ。

    「(本物の千本鳥居)…今日の任務内容を」
    「ここ数日連続で騒がれている神隠し事件についての調査と言ったところかな」
    「“また”神隠しですか…この任務にあたるとき、京都のあそこ…あー…ヤバい忘れた…」
    「頭文字はなんダ」
    「頭文字?確か、“か”」
    「神野家か」
    「あぁ、そうそこ。そこの家の人よく“神隠し関連の任務”行ってますけど、そういうのが担当なんですか?」
    「いや、そういうのは確か持ち回り関係なく手の空いた術師が行く決まりになってるはず…。まさか!?」
    「まァただの憶測ってやつですがね」

    面倒だなぁ、なんて思いながら、息を吐く。調査報告書を数枚読んで気が付いた。3代にも渡って伏見稲荷の神隠しや、赤城神社や、八幡の藪知らずと言われる場所、など。神隠しに関する事件を取り扱っていて、事件に巻き込まれた全員が“見つかっていない”

    「調査が終われば、ちょっと探った方がいいですよォ」

    まぁ勘違いならいいんだけどさ。くありと欠伸を出して、メカ丸の方を見る。さぁて、面倒なことにならなきゃいいけどなァ~!

    「あ~…コレあれだわ。面倒なやつ」
    「…確かにこれは面倒事になるやつだナ…」

    二人して目の前で蠢く呪霊を見る。調教済みの呪霊である、見た瞬間子どもを腹の下に今回行方不明となっている女の子を隠しながらグルグルとこちらを警戒する声を上げている。面倒くせぇなぁ

    「ちょっと、乱暴しようか」
    「…その言い方やめた方がいいゾ」

    ゴジョウサトルみたいだったぞ…なんて嫌そうな顔(実際には声)で言われた。いっやぁ、申し訳ねぇな☆

    「ま、今日はアンタの話を聞きながらやる(討伐する)って決めてたからねぇ。ほらほら、昨日一日時間やってんだ。言語化出来てんだろ?」
    「…いろいろと考えた。俺のやり方が間違えていないことを正当化したくて、いろいろと、考えタ」
    「へぇ。聞こうか?」
    「いや、結局は自分自身で自分自身を正当化した言葉の羅列だ。お前に聞いて欲しい内容はそこじゃなイ」

    目の前の呪霊が繰り出す攻撃をかわしながら会話をする。腹の下に隠し持っている子どもを取り戻さないと今回の任務は失敗だろう。面倒くせぇな。

    「んでぇ?答えは見つかったん?」
    「…九条瑞樹」

    俺を、助けてくレ。そう言って子どもに傷さえ出さずに呪霊を倒したメカ丸を見て、ゆったりと笑う。

    「いーよ。助けてあげる」

    そう答えた後、バシュッ、と消えた帳を見て、センセ達聞いてたな??なんて自分で呟いておいてちょっと怖くなった。

    「瑞樹の優しさに感謝しなよ」
    「ハイ…」
    「センセ達マッジで顔怖いからやめーや」

    ☆☆☆

    「生きてること黙ってて…すみませんでした」
    「ングッフwww」

    さぁ、やってきました交流会!え?あの後結局どうなったかって?奴さんの情報全部吐いてもらって、今いるところゲロってもらって、この交流会終わったらレッツ囲い込み漁って感じだけど、おめー、人間になってもちゃんと呪術師になれんだろうな!?なんてことにならない為に、ある程度の戦闘データは撮らせてもらうことになっている。究極メカ丸見たいためだなんてそんな…(目を逸らし)

    つーか黒幕が夏油センセじゃなくなったこの世界じゃ、どうなってんだ?マジで黒幕夏油センセ以外誰が勤まるんだって話。五条センセ封印されない世界戦じゃん勝ち組???これ勝ち組では?

    「瑞樹ぃ…」
    「まぁ、しっかりその罪悪感受け入れて反省しろ」

    ういっす、なんて素直に聞き入れた悠仁をみて、にっこりと笑う。

    「きっさ、まらッ!!」
    「やぁやぁおじいちゃん!死んじゃわないかと思ったよ~びっくりしすぎて」
    「だっせwww騙されてやんのwww」
    「はぁ!?なにお前、生きてること知っててあんなに煽ってたの!?」
    「批難されることはしてませんよー?と、言うより、京都の連中は好き勝手悠仁のこといってくれてましたからねぇ…申し訳ねぇっすけど」

    私結構むかついてるんで、サンドバッグになること覚悟してくださいね、なんて半分脅し文句で言えば、東堂君がこの顔に免じてとか言ってきたので近くの石を投げつけておいた。同じ京都の同級生からナイッスゥー↑!って言われてるの聞いてちょっとかわいそうだなって思った。嫌われてんの??

    ☆☆☆

    「悠仁がいるから俺抜けなきゃ行けないのかなって思ってたけど、参加してもいいって言われて安心したわー」
    「つってもこいつ何ができるんだ?」

    ねぇ、これいじめになんない?なんて言っている悠仁を無視して話を進める。ちなみにあの遺影を思わせる額縁ちゃんと持ってる悠仁は最高に面白いので始まるまでそのままでいて欲しい心でもあるけど、ストレッチとかしなきゃいけないから、適当にいじった後は放置である。

    「んーと、殴る、蹴る」
    「間に合ってんだよなぁそれは」
    「コイツが死んでいる間何してたかは知りませんが、全員呪力なしで戦えば、虎杖は瑞樹を抜いた全員に勝ちます」
    「へぇ…」

    ニィッとそれを聞いて不敵に笑った真希サンは、そういえば、と言葉を着いた。

    「途中編入したアイツは?今回不参加か?」
    「順平はまだ術式が安定してねぇから、今回不参加って言ってました」
    「えっ、なに!?えっ????新しい人!?」

    そういえば瑞樹任務で出払ってたもんな、なんて言って最近入った吉野順平くんの話をされた。ついでにお母さんも一緒に高専に匿ってるんだって。マジかよ!!!

    「えっ、それいつ!?最近!?」
    「えーと、確か瑞樹が俺らに黙って直哉さん?って人のとこに行った時だった気がする」
    「あちゃー。タイミング悪かった…」
    「逆に夏油先生が応援に来てくれたから、大丈夫!あの時も泊まっていいよって言われなかったら順平母ちゃんも危なかったし…」
    「さすが夏油センセ」

    好感度上がるわ。なんて言えばその好感度はマイナスからのスタートだろ?なんて真希サン達に言われたのでほんとセンセ達何したらここまで嫌われてんだろって思うわ。後でどんなことしたのか聞こ。

    「とりあえず負けたくねぇから頑張りましょー!」
    「おう!」
    「当たり前よ!真希さんの為にも圧勝すんだよ!!」
    「そういうのヤメロ」
    「明太子〜!!」
    「そう!真希のためにもな!」

    にっ、とみんな不敵に笑う。悠仁がそんじゃまぁ、なんて言ってかっこよく勝つぞ!と言ったけど、何仕切ってんだよ、って真希サンに蹴飛ばされたのを見て、しまんねぇな、なんて思ってしまったのはまぁ、秘密である。





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    PAST風間トオルがデレないと出れない部屋

    ⚠️アテンション
    ・未来パロ(17歳、高2)
    ・しん風
    ・中学から付き合ってるしん風
    ・以前高1の頃○○しないと出れない部屋にて初体験は終えている。(いつか書くし描く)
    ・部屋は意志を持ってます
    ・部屋目線メイン
    ・ほぼ会話文

    ・過去にTwitterにて投稿済のもの+α
    『風間トオルがデレないと出れない部屋』

    kz「...」
    sn「...oh......寒っ...」
    kz「...お前、ダジャレって思ったろ...」
    sn「ヤレヤレ...ほんとセンスの塊もないですなぁ」
    kz「それを言うなら、センスの欠片もない、だろ!」
    sn「そーともゆーハウアーユ〜」
    kz「はぁ...前の部屋は最悪な課題だったけど、今回のは簡単だな、さっさと出よう...」

    sn「.........え???;」

    kz「なんだよその目は(睨✧︎)」

    sn「風間くんがデレるなんて、ベンチがひっくり返ってもありえないゾ...」
    kz「それを言うなら、天地がひっくり返ってもありえない!...って、そんなわけないだろ!!ボクだってな!やればできるんだよ!」

    sn「えぇ...;」

    kz「(ボクがどれだけアニメで知識を得てると思ってんだ...(ボソッ))」
    kz「...セリフ考える。そこにベッドがあるし座って待ってろよ...、ん?ベッド?」
    sn「ホウホウ、やることはひとつですな」
    kz「やらない」
    sn「オラ何とまでは言ってないゾ?」
    kz「やらない」
    sn「そう言わず〜」
    kz「やら 2442