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    花林糖

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    花林糖

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    【D4】特別刑務所潜入 ここは中王区特別刑務所。北にある辺境の刑務所を脱獄して調子乗ってるTDDをのしてやろうと東都まで来たが敢えなく失敗し二度と脱獄出来ないようにとここに打ち込まれたのはD4を名乗る四人組。
     
    「また有馬さんと時空院さんが居ませんね」
    「そうだな」
    「谷ケ崎さんは出られる当てもないのに作業をしっかりやるんですね」
    「俺は根が真面目だからな」
    「自分で言うんですか。そんな人はこんなとこには居ないんですよ」
    「そういう燐童だってそこそこちゃんとやってんじゃねえか」
    「僕は与えられた仕事はきっちりこなすのが好きなんですよ」
     谷ケ崎伊吹と阿久根燐童は刑務所内の工場で内勤中。四人一組で班を組んでいるはずが工場内には二人だけだ。有馬正弦と時空院氶武は点呼の時は居るがすぐにどこかに行ってしまう。有馬は理由は言わずに立ち去るから単にサボり、時空院は糖分補給を理由にどこかをほっつき回っている。とはいえここは言わば永久刑務所だ。ほとんどが政治犯の為恩赦があるわけでも脱獄できるわけでもない。それに雁字搦めにすれば反発したがるくせに、ある程度好き勝手やらせておけば大人しくしている奴らがほとんどだ。中には独房から出られない程の厳重措置を敷かれている輩もいるがD4的には前の刑務所より緩く居心地よく過ごしている。とはいえ脱獄は計画中なのだが。
    「燐童、アイツら探して来た方がいいか。作業の進みが悪い」
    「いいですよ。こんな作業進もうが進まなかろうが上はどうだっていいんですよ。所詮暇つぶしなんですから」
     
     時空院氶武は大きな窓の前で溜息を吐いた。
    「なんだよ、まだ神宮寺に殺してもらえなかったのを気にしてんのか」
     それはそうだ。と思ったがそうではない。何故ここに有馬がいるのか。今は内勤作業中のはず。作業場で四人揃って点呼を受けた。しかし作業が始まった瞬間にガムシロップの補充をするのを忘れていた事に気づき三人に空の瓶を見せ「コレ、いただいて来ます」と作業場を後にした。食堂に行き調理のおばちゃんに空の瓶を見せれば勢いよく満たしてくれ上機嫌だったのに外を見たら空が青すぎて虚しくなった。そこに何故か有馬が現れた。
    「何をしているんです、有馬くん。ああ、もしかしてコレが欲しいんですか?」
     といっぱいに満たされたガラス瓶を取り出して有馬の目の前で振る。
    「随分入ってんな」
    「おばちゃん達がサービスしてくれました。」
    「サービスって……何度も来られるのがめんどくせえだけだろ」
     有馬は太陽の光が反射的にする透明な瓶を目障りそうに取り上げ放り投げる。時空院はすぐに察しそれを「危ないじゃないですか」と難なくキャッチしたのを見て有馬はチッと舌打ちして去ろうとする。
    「ill docはなんであんなに腑抜けてしまったんでしょうね」
     有馬の後ろ姿にさっきの答えを投げた。
    「は?」
    「私は戦場で血を見るのが大好きで彼の噂を聞いてその鮮やかだという殺傷風景を見たかったんですよ」
    「趣味悪すぎんだろ。」
    他人ヒトを殺めるのは流石にご迷惑だろうと思ってこの身を差し出したというのにもう殺さないなんて」
    「おーおー大層な事言ってんな。単純に刺されてみたかっただけだろ」
    「そうとも言います」
     話し出したら止まらなくなり、溢れ出す欲望を有馬に曝け出す。
    「身のこなしは華麗だったんですよ。しかも医師としてクスリの知識まで身に付けた。最強じゃないですか」
    「……そんなに死にたいならおれが殺ってやるよ」
    「話聞いてましたか?私は一流の殺し屋に華麗に殺されたいんですよ。チンピラ崩れのチャチな拳銃捌きで殺されるのは御免ですよ」
    「?なんだとゴラ!」
    「幾重にも計算された殺害技術と身のこなし……やっぱりこの身で体験したかった」
    「コテンパンにやられてたじゃねーか」
    「あれはマイクです‼︎」
    「どっちでも一緒だろうが。負けは負けなんだよ」
    「私は殺されたいんですから負けはないんですよ」
    「殺してもらえなかったんだから負けだろ」
    「……」
    「腹減ってきたな。戻るか」
    「はい」
     時空院は有馬の後について満たされたボトルの蓋を開けて糖分を流し込む。イライラしていたわけではない。むしろ神宮寺寂雷に負けた事をはっきり告げられ、負けたのなら褒美はもらえなくて当然と溜飲が下がった事への祝杯のような感覚だ。
     
    「ほら、戻ってきましたよ」
    「点呼の時間きっちりだな」
     谷ケ崎は呆れ顔で二人を見る。
    「どうだ。作業進んだか」
    「もちろん。ノルマはきちんとこなしますよ」
    「さすが中王区の元飼い犬だけあんな」
    「……その言い方やめてもらえます?」
    「おや?燐童くん、イライラしてますか」
    「もうお昼ご飯なので甘い物は結構です」
    「それは残念」
    「氶武、どこに行ってた」
    「食堂ですよ。見て下さい満タン……少し飲んじゃいましたが」
    「ガムシロ入れるだけで三時間か。驚きだな」
    「午後はちゃんと作業しますよ。伊吹は真面目ちゃんですね」
    「そんな事よりメシだ。メシ」
    「ちょっと。労働してない人にご飯はないですよ」
    「はあ?関係ねーだろ。お前が決めんな」
    「午後は僕お昼寝したいんで有馬さんが作業して下さいね」
     こうして午前の作業が終わる。
     
     毎日作業中に自由時間に刑務所内をふらふらと探索する。
     中王区の看守は女ばかり。
     脱獄した奴らがいるとの風の噂
     
     さて計画は……
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    【D4】特別刑務所潜入 ここは中王区特別刑務所。北にある辺境の刑務所を脱獄して調子乗ってるTDDをのしてやろうと東都まで来たが敢えなく失敗し二度と脱獄出来ないようにとここに打ち込まれたのはD4を名乗る四人組。
     
    「また有馬さんと時空院さんが居ませんね」
    「そうだな」
    「谷ケ崎さんは出られる当てもないのに作業をしっかりやるんですね」
    「俺は根が真面目だからな」
    「自分で言うんですか。そんな人はこんなとこには居ないんですよ」
    「そういう燐童だってそこそこちゃんとやってんじゃねえか」
    「僕は与えられた仕事はきっちりこなすのが好きなんですよ」
     谷ケ崎伊吹と阿久根燐童は刑務所内の工場で内勤中。四人一組で班を組んでいるはずが工場内には二人だけだ。有馬正弦と時空院氶武は点呼の時は居るがすぐにどこかに行ってしまう。有馬は理由は言わずに立ち去るから単にサボり、時空院は糖分補給を理由にどこかをほっつき回っている。とはいえここは言わば永久刑務所だ。ほとんどが政治犯の為恩赦があるわけでも脱獄できるわけでもない。それに雁字搦めにすれば反発したがるくせに、ある程度好き勝手やらせておけば大人しくしている奴らがほとんどだ。中には独房から出られない程の厳重措置を敷かれている輩もいるがD4的には前の刑務所より緩く居心地よく過ごしている。とはいえ脱獄は計画中なのだが。
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