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    おおもりのもち

    @omorinomochi

    刀さに(創作女審神者/夢含む)好きのただのおたくです
    落書きの他、ツイで載せていたお話を掲載しています

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    おおもりのもち

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    千代さにの現パロ

    現パロ千代ちゃんってしれっとバイトの子とか食ってそうだなという酷い妄想からこうなった

    千代ちゃんのいる居酒屋行って酒を浴びるように呑みたい今日この頃

    #千代さに
    forever
    #刀さに
    swordBlade

    就活女と男士っぽい男が呑んでるだけ「なーにが”お祈りします”ですか!そんなこと微塵も思ってないくせにい!!」
     すっかり出来上がった彼女は管をまく。これで何社目だったかのお祈りメールこと就職 活動の不合格通知メール画面を見てはずっとこの調子だ。
    「荒れているな…まあ嫌な事は忘れることだ」
     彼は飲めー飲めーと彼女のグラスに酒を注ぐ。店の酒だが店長の彼が許すのだから良いのだ。
    「私そんなに駄目ですかねー魅力ゼロなこんな人生かなしい。しにたい」
    「そんなこと言わないでくれ。お前は十分魅力があるさー。腹が減ると暗くなるからな、うほーくかめー」
     この沖縄料理店、店長の千代は「うり、かめーかめー」と言いながら店の残り物達を彼女の皿に乗せていく。
    「店長優しい…でもいいんですよ。無理にお世辞なんて」
     皿に山になったゴーヤチャンプルーを眺める彼女はこの店のバイト店員であり近所の女子大に通う就活生だ。
    「世辞ではないんだが。えーもし就職が決まらなかったら…故郷へ帰るのか?」
    「そんなの嫌ですよ。地元―あのど田舎に帰ったら就職もしないでお見合いさせられますよ!」
    「!!見合い?!結婚するのか?」 
    「女は早く嫁いで子供産めっておじいえっと祖父がいっつも言ってるので、帰ったらすぐお見合いという名の強制結婚ですよ。お金持ちの中年駄目息子勧めるとかありえなくないですか?時代錯誤なあんな家帰りたくないです」
     うぅ…と涙目の彼女によしよしと頭を撫でる。
    「こちらで世話をしてくれる相手はいないのか?その…恋人は」
    「いませんよ!いたらバイト先で愚痴ってないで彼氏に話してますよ」
     それもそうかと彼はうなずいた。
    「そもそも生まれてこの方彼氏いた事ないです!!二十過ぎてて誰にも選ばれない駄目女は就職も恋愛も無理なんですよ」
     今度は涙目ではなく本当に泣き出した。「せめて一度くらい恋愛したかったし彼氏も欲しかった。愛されたい」とメソメソと泣いている。
    「行く先がないならここにいたら良い」
    「ありがとうございます。でもそこまでお世話になれませんので」
    「気にするな。ここで暮らせばいい」
    「え?…ここって店長住んでますよね?」
     一階は店で二階は自宅として使っているはずだ。流石に恋人でもない異性との二人きりの同居がよろしくないのは酔っ払いでのわかる。
    「空いている部屋があるから使ってくれ」
    「いやいや、恋人でもないのに一緒に暮らすのはちょっと…」
    「だからよー。わったーとぅじ…俺の妻になれば問題ないだろう」
    「え?!そもそも付き合ってもいないのに夫婦って、何言ってるんですか。店長酔ってますか?」
     茶化すように言ったものの内心穏やかではなかった。バイトを始めて二年ほど密かに想っていたいた気持ちをもし知られたら気まずくてもうここで働けなくなる。
    「いきなり夫婦は早かったか?ああ、グラスが空いてるな飲め飲め~」
    「こんなに飲ませないでくださいよ」
     普段冗談など言わない店長に言われ驚きながらも勧められるまま酒を飲む。恋する相手にたとえ酒の場の冗談でも夫婦になって言って貰えたのは嬉しかった。今夜の事は一生の思い出にしようと思いながら海ブドウをつまむ。
     旨い沖縄料理と泡盛に癒されてなんだか楽しくなってきた彼女は店長の言うように今夜は飲んで嫌な事を忘れて、また明日から就活を頑張ろう!と少し前向きな気持ちになりながら酒を呷る。
    「お酒もお料理も美味しいれす」
     呂律の回らなくなっていることも気づかずに更に酒を飲んでいく。

     彼女が目を覚ますと朝だった。いつもの学生向けアパートではなく見慣れない部屋。身体がだるいと思いながら横を向くと店長が寝ていた。裸で。恐る恐る自分の身体を見ると同じく全裸で、これはまさかと考えていると彼の目が開きこちらを見て柔らかく「おはよう」笑うと彼女にキスをした。
    「これからもよろしくな。俺のとぅじ…奥さん、だな」
     かすれた声で悲鳴を上げた。

    店長と私と雨

    「んーどうした?」
    「あ、すみません。あの軒下…お邪魔して、そのすみませんでした」
     予報になかった突然のにわか雨に近くのお店の軒下に慌てて避難した。夕方の中途半端な時間で暖簾も出ていなかったので雨が弱まるまで少しだけのつもりの雨宿りだったが弱まるどころか激しさを増していく。これはゲリラ豪雨なのでは?
     困っていた所で店の戸が開いた。暖簾を持った男―おそらく店の者だろう―が彼女を見下ろしていた。
    「ごめんなさい、あの」
    「アッタブイかー」
    「あったぶ?」
    「んーにわか雨、だな」
    「…どちらかというとゲリラ豪雨ですね」
    「そうかー。ひどい雨だな」
     暖簾を掛けると「んー」と店内に向けて手を広げた。入れ、という仕草だ。
    「え、でもお客さんじゃないので」
     彼女の今月の残高は少ない。大学に通いつつ頑張って勤務していたバイト先が先日倒産し、先月の給料未払いの末逃げられてしまいカツカツの生活の彼女に外食する余裕はない。
    失礼します、と急いで立ち去ろうとしたが焦ったあまり盛大に転んで水たまりに落下した。
    「うう…」
    「女が一人でその恰好で日暮れの道を歩くのは良くない」
     濁った水で濡れた安物の薄い白いシャツはすっかり透けて下着が模様までわかる状態だった。慌てて腕で胸を隠す。
     二階は男・この店主の自宅になっていてそこで風呂と着替えを借りた。店主の物では大きすぎるので彼の弟の服を借りたが男所帯に女物の下着はなく下着が乾くまで待たせてもらうことになった。幸い乾燥機があり下着だけならそう長い時間はかからないだろう。

     二人並んでテレビを見ている。
    「あの、店長さん…お店に行かなくていいんですか?」
    「今日は休みだった」
    「え?!」
    「先週の定休日に店を開けた代わりに今日休みだったんだがうっかりしていたさー」
     そんなことがあって良いのかと思いながらも学生の彼女はまあそういう事もあるのかなと納得した。『臨時休業』と書かれた紙が貼られていることを彼女は知らない。
    「そういう訳で下拵えしてしまった食材を片付けないといけないんだが、腹は減っていないか?」
     結局食事をご馳走になり乾燥機がとまる頃には雨はすっかり止んでいた。礼を言って帰宅した。泊っても良いと言われたがそこまで世話になるわけにはいかない。学生向けの安いアパートに帰るとすぐに借りた服を洗濯した。

     翌日、大学の帰りに借りた服を返しに店に寄ると丁度開店したばかりで客もいなかった。
    「これ、ありがとうございました」
    「あしがちゃーだな。ゆっくりでよかったんだが」
     服の入った紙袋の他に大学近くのカフェで買ったケーキを渡すと甘い物か、ありがたいと受け取った。
    「いえ、そちらは弟さんと召し上がってください」
    「んー?弟はここにはいないぞ」
     普段は故郷の沖縄暮らしで時々泊りに来た時のために服は置いたままにしていると説明をされた。
    「二つは食べ過ぎになるからなー食べられるが健康にはよくないからな。手伝ってもらえると助かる」
     それじゃあ。とお茶を入れて二人でケーキをつつく。ケーキを食べながら世間話をしてのんびりとした時間が流れた。学業とバイトで慌ただしい生活を送っていた彼女にはこういう時間は久しぶりだった。彼との時間は楽しい。
     ケーキを食べ終わったので片づけを終えたら帰ろうとしていると客が入って来た。団体で。
    「いらっしゃ・・・今日は何名様だ?予約はしていたか?」
    「わりぃ、15人なんだけどいけるか?」
     常連と思われる男性は予約忘れてた、とすまなそうにしているが予約はちゃんとしてと、元飲食店バイトの彼女は思った。
    「あきさびよー!!まいったな、急に団体では」
     席数は足りるが一人で接客と調理では手が回らない。今こそ恩を返す時では、と思い切って声をかけた。
    「あ、あのお手伝いします!」

    彼女と俺と酒

     それ以降、店でアルバイトをすることになり今日も彼女は通ってくる。今日は天気のせいか客が少なく早々に店を閉め二人でまかないをとっていた。
    「お前は美味しそうに食べるなー」
    「店長のご飯美味しいので!!」
    口をもぐもぐとさせて「らいしゅきれす」とモゴモゴとする話し方に笑ってしまう。
    「身体は食べたもので出来てるっていうじゃないですか。それで言うと、もう私の半分は店長でできてますね」
     屈託ない笑顔でこちらを見ている。ああ、これはダメだ。煽らないでくれ。彼の気持ちも知らずにおいしいおいしいと、皿を空けていく彼女をどうにかしたいと思ってしまった。


     あの頃も彼女は美味しそうに食べていた。いわゆる前世というやつで、昔の彼は刀の付喪神で審神者なるものに仕えていたが二人は主従を超えたいわゆるそういう仲であった。
     今世で人間として生まれた彼は審神者を探していてやっと出会えた彼女こそが前世の主であったが、残念ながら彼女には前世の記憶がなかった。今世では見守るだけのつもりだったが日々想いが募っていく。

     どうにか一緒になりたいものだがどうしようかと思っている間に早二年。時は流れて彼女が就職活動を始めてしまった。近場なら良いが県外に行かれたら関係を続けるのは難しいくなる。いい加減行動をおこそうかと思っていた頃だった。
     就活に行き詰った彼女は今日も閉店後ぐずぐずと愚痴を言いだしたので、彼女の憂さ晴らしになればと一杯付き合ってみたら酔った彼女から色々と情報がでてきたのだが――
    まて。見合いの話はしらない…好いている恋人ならともかく厭々の嫁入りなどさせる訳にはいかない。そこは元恋人としてだけでなく元臣下としても許しがたい。よんなーよんなーしている場合ではない。今夜、強行手段に出ることにした。

    「ああ、グラスが空いてるな飲め飲め~」






    おまけ

    勘当覚悟で田舎に挨拶に言ったら普通に歓迎されてポカンとなる千代さに
    おじいちゃん「ありゃ冗談だ可愛い孫娘をあんな奴の所にやるわけがないだろう」
    男っ気なさすぎるさにを焦らせるために言っただけでした

    めでたしめでたし
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    「あなたもいつか……帰るのでしょうね」
     水平線に降る雪のような瞳は、ずっと遠くを見続けていた。
    「あの空の向こうへ──」




     ねえ。あの子、今日お山を降りたんだって。まだ四つなのに。昨日、あの子と遊んだんだ。何だか、変なこと言ってたな。白い布をかぶったお兄ちゃんが、こっちを見てるって──。
     ……忘れる?
     そうかなあ。忘れちゃうのかな、私。
     ──江雪兄様が言うなら、本当かもしれないね。


     お山を降りたら、働くんでしょう?
     あの子、四つなのにもう働くの?
     私はまだ働かなくていいの?
     いつ働きに行くの?
     江雪兄様にも、分からないことがあるんだね──
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