どうやら凪誠士郎は御影玲王に恋をしているらしい。ということにようやく気が付いた玲王は恐れおののいていた。
この世の終わりとばかりに顔面を白くさせて、薄い唇を震わせながら「それは駄目だろ」と呟いた。その様子に、雪宮をはじめ烏や乙夜、蟻生、時光は目を丸くさせ互いに目配せをする。
凪が玲王に恋をしているというのはブルーロックにおいて周知の事実であった。そして玲王もまた凪に恋をしており、いわゆる両片想い状態にあるのだというのが若き才能の原石たちの総意である。
「本当に気付いていなかったのか? 駆け引きをしていたのだと思っていたが」
蟻生が訊くと、玲王は大きな紫の目を見開きふるふると首を振った。幼いその仕草に彼の動揺が見て取れる。
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