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    oekaki_nako

    @oekaki_nako

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    oekaki_nako

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    怖がり先輩を慰めてたらえっちなことになるてとちあの書きかけ、もういつ終わるかわからないのでえっちなとこの前まであげます。いつか書き終えるときは、修正するかもしれません。
    先輩をぴゅあぴゅあにしてしまう罪。

    〈文〉てとちあの書きかけ「っ……! ひっ…ぅ……ぅう……」

     複数人の寝息と時計の音が響く、深夜の5人部屋。
     か細い震えた声が聞こえた鉄虎は、腹にかけていた毛布を取り払い、のそりと起き上がる。

     暗闇に慣れた目で見渡すと、深海、忍、翠がそれぞれすやすやと眠りについている。その奥に、毛布でできたお団子が一つ。
     鉄虎は他のメンバーを起こさないようにしながら、そのお団子へと近づき、小さく声をかけた。

    「守沢先輩」
    「っ!!!!」

     びょんっとお団子がベッドの上を跳ねたあと、毛布の隙間から鉄虎の恋人の顔が出てきた。
     暗闇でもわかるくらい、めそめそへなちょこな顔をしている。

    「なう、なう、なぐもぉ」
     縋るように小声で己の名を呼ぶ姿に、鉄虎は失礼ながらも笑ってしまった。

    ***

    「だから、怪談以外の配信にしてもらえって言ったじゃないッスか。」
     ひとまず守沢を団子から取り出して、部屋に備え付けのシャワー室の前にある脱衣所へ連れてきた。トイレは誰かが使うかもしれないので、ユニットバスじゃなかったのは幸運だ。
     壁にもたれつつ、腕の中に収まっている守沢の背中をぽんぽんと叩いてやる。まだ涙目だし、毛布を頭まで被っていたからか頬が赤いけれど、いくぶんか落ち着いたようだ。
    「うう……彼らの配信では一番注目を浴びている企画らしくて」
    「守沢先輩の怖がりを知ってて依頼してきたってことッスよね? そりゃ配信は盛り上がるだろうけど、一回参加したらまた呼ばれるッスよ。そのときあんた、断れるんスか?」
    「……。」
    「まあ、それが分かってても断れなかったんスよね。必死だったもんね、あの子たち。」
     流星隊揃って食事をしていたところに、土下座する勢いで守沢に懇願した年少グループの子たち。「話を聞かせてくれ」と手を差し出した守沢も、怪談配信について聞いた途端に顔色が悪くなった。しかし結局手を振り払うことはできず、協力してしまったのだ。

    「どうッスか? 落ち着いてきた?」
    「うん……ありがとうな南雲。こんな夜中に起こしてしまってごめん。
     …………一個だけ、お願いを聞いてもらってもいいか」
    「? なんスか?」
     そういえば今日は風が強い。ひゅおひゅおと鳴る外の音は、今の守沢には不気味で恐ろしそうだ。
     だからと言って、暑くなってきたこの時期に頭まで毛布を被っていたら、今度こそ茹ってしまうだろう。
     
     もしかして、添い寝してほしいとか? 
     それくらいなら、他のメンバーに見られても「怖くて寝られないみたいだったから」で済むだろうか。一応、二人が付き合っていることは伝えているのだし。
     恐怖でぷるぷる震えるこの人を一晩中抱きしめながら寝るのは、忍耐の勝負になるであろうが……。

     修行だと思えばいけるか、と思っていると、守沢が意を決したように鉄虎に「お願い」をした。
     上目遣いで、心底申し訳なさそうに。

    「ちょ、ちょっとだけ。キ、キス、してくれないか。」

    「はあ⁉︎」

     思わず普通に声を出してしまい、口を抑える。
     このシャワー室の外では、今も愉快な仲間たちがぐうぐうと寝息をたてているのだ。
     冷や汗をかいたが、部屋からは何の音もしない。
     ほっとした鉄虎は、声を潜ませつつ、守沢の肩をぐいと押した。
     鉄虎より少し高いはずの背は、すっかり縮こまってしまっている。

    「そ、そういうことは、ここを出るまで我慢するってあんたが言ったんじゃないッスか⁉︎」

     一カ月、限られたプライベート空間以外は、どこにいても配信に映る可能性のある状況。しかも部屋はユニットごとだ。
     隠れてイチャつくにはあまりにもリスキーなことは鉄虎も理解していたし、守沢の提案に異論はなかった。
     ただ、鉄虎と守沢が付き合いだしたのはたった二か月前だし、初めて身体をつなげたのはここにくる二週間前弱。ここからもっとアレコレいろいろイチャイチャしてやるぞと意気込んだ先での、これだ。
     提案に異論はなかった。だからこそ、鉄虎はここまで我慢に我慢を重ねてきたのだ。
     寝ぼけてぽんやりとした可愛い顔を見ても、トレーニングして汗を垂らしている姿を見ても、お風呂上りになんの悪びれもなく「同じにおいになったな」と嬉しそうに言われても。
     匂わせ厳禁。俺たちは同じグループの先輩後輩なのだと、ときには目を瞑って大将の顔を思い浮かべることでなんとか耐えてきた(脳内大将は「ここで意思を曲げるのは男じゃねえぜ」って言ってた)。心頭滅却しようとしたおかげで、筋トレ量も増えている。
     
    「だから俺たち、慎重にやってきたッスよね?」
     守沢はこくりと、神妙にうなずく。相変わらず顔色は悪く、よほど配信のときの怪談が効いているようだ。

    「だ、だが、本当に怖くて寝れなくて、ほんとに、何をしてもあの配信のことを思い出してしまって……うぅ。
     南雲とキスすれば。多分、南雲のことしか考えないですむから……。ごめん、俺から言い出したことなのに……。」

     いつもの凛とした瞳は伏せられ、ふるふると肩が震えている。今も脳内に恐ろしい想像が繰り返されているのだろう。
     この人が言ったことを撤回するなんて滅多にないし、そもそもこうやってわかりやすく鉄虎を頼ってくれることも少ない。
     しかもねだっているのは、たった、キスひとつ。
     
    「…………ちょっと、時間もらっていいッスか。」
    「え? うん。」

     その神妙な顔つきに、守沢も口を閉ざした。
     鉄虎は目を瞑って自分に問う。

    (キスだけで止まれる………………のか、 俺……………。
     いや、たぶんこの人の言っているキスって、口と口を合わせるだけのやつだよね。
     べろべろのチューをおねだりするとしたら、絶対もっと恥ずかしそうな顔するもん。
     まあ確かに、口と口を合わせるだけだったら……ここで誰に迷惑をかけるわけでもないし、この人もそれで安心して眠れるって言ってるし……。
     でも正直ここ最近、ずっと腹の奥でぐるぐると煮詰まっているというか、一度口を合わせたらもう、ガッ! っていっちゃってもおかしくない気がする。)
     
    「あの……南雲?」

    (「手出したら殴って」て言う? いやこの人が殴れるわけないじゃん。たぶん反射でよけちゃうし。
     うーみゅ、キスしたら俺、絶対薄目あけてこの人見ちゃうし……キスしてるときのこの人、律儀に目つぶって一生懸命鼻呼吸してんのが可愛いんだよ……。
     それみたら、舌入れちゃう気がする。舌入れちゃったらもう終わりな気がする。
     でもこの人をこのままにしたくない!
     うわ~ん大将! 俺はどうしたらいいッスか⁉︎
     あ、「流石に知らねぇ」⁉︎ そうッスよね! すいません、脳内の大将‼︎)
     
    「な、南雲。ごめん、そんなに悩ませる気はなくて……やっぱり俺は大丈夫だか」

     バチンッ

     瞑想するかのごとく目を瞑って黙り込んでしまった鉄虎に、守沢が声をかけた途端。
     脱衣所は突然、闇にのまれた。



    ***



     千秋は、自分の喉から「ひゅ」と声にもならない音が鳴ったのを聞いた。
     停電、だろうか。脱衣所は窓がないので、近くにいるはずの南雲すら見えない。
     丁度、昼に聞かされた怪談でも、こうして突然停電になる話があった。自分の手すら見えない暗闇の中で、遠くから声がするのだ。オオ、オオ、と。
     南雲の名前を呼びたいのに、喉がつっかえてしまって声が出ない。ぶわりと、冷や汗が背中を通るの感じる。
     あ、どうしよう。過呼吸になるかも。

    「守沢先輩」

     凛とした声に呼ばれてそちらに顔を向けると、両頬をぐっと挟まれた。
     突然のことに驚いて身を引こうとしたが力で叶わず、引き寄せられて、顎らへんにあたたかい何かが押し付けられる。
     
    「んぐ⁉︎……ぅ……っふ……ん……」
     顎らへんに押し付けられた何かは、探るように辿っていき、千秋の口へと辿りついた。
     リップを塗り忘れてるときはちょっとカサついていて、自分より少し分厚いそれには、とても身に覚えがある。南雲の、だ。
     
    「んん……ぅん……」
     角度を変えて、何度も唇を食まれる。付き合いたてのときは、お互いにぴったりくっつけるだけで精一杯だった口づけも、気づけばこうして、お互いの形を確かめるようなものに変わっていった。
     恐怖で支配されていた脳内がじゅくじゅくと、スポンジに蜜が染みるように、南雲に染まっていく。

     オオ…

    「!」
     人の声のような音が、遠くから聞こえた。
     風の音だ。そう、今日は風が強い。すぐに正体はわかったものの、一気に恐怖が蘇り、思わず唇をそらしそうになる。

     そらしそうになった途端。そうはさせないとでも言うように、腰が引き寄せられて顔を固定され、噛みつかれるように再度口を塞がれた。
     唇に柔く犬歯がささり、思わず口を開いた途端に、ぬろりとしたものが口内に差し込まれる。
    「ぁっ……! ん、んあ、なぐっ、むぅ…ふ、……」
     舌の表面をさりさりと擦り付けられ、右頬、左頬の肉を味見するかのように舐められる。時々、南雲の荒い息遣いが聴こえた。南雲である証拠があればあるほど安心できて、身体が熱くなる。
    「ン、……ふ……ぁふ、……ぁ、まって、…………はぷ……」
     一生懸命鼻呼吸をしようとしても、ピリピリと走る甘い刺激のせいで上手にできず、みるみるうちに頭がぼんやりとしていく。
     身体から力が抜けて、恐らく南雲の胸元であろうところをぎゅうと掴むと、強い力で腰を支えられた。

    「ん、……はっ……あ」
     パッと部屋に明るさが戻り、目の前がちかちかと眩しい。誰かがブレーカーを上げてくれたのだろうか。
     目が慣れてくると、すぐ近くに南雲の顔があった。お互いの唇の間にはまだ細い唾液の糸がつながっていて、名残惜しそうにぷつりと切れる。
     深くキスをしたせいか、南雲はどこかぼんやりとしていて、けれど千秋の腰をしっかり支えているままだった。
     
     暗闇で怯える千秋を、咄嗟に宥めてくれたのであろう。そんな優しくて強い恋人が嬉しくて、また少し体格のよくなった背中へと腕を回した。   
     調子にのっておでこ同士をこつりと合わせると、驚いたように鉄虎の焚火色の瞳がこちらを見つめる。自分から提示した禁止令を更に破ることにちょっと気は引けたが、ここまできたらもう少しだけ、恋人らしい触れあいを許してほしい。

    「はあ……南雲……、ありがとう。ふふ、怖いのが吹き飛んだな。さっきの気分がウソみたいだ。」
    「…………………………先輩。」
    「ん……なんだ? どうした、なぐ……ん? え? ぃ――――――……っっっっっっ⁉︎」

     ゴリ、と。 千秋の足の付け根あたりに、何か固いものがあたったので、スマホか何かかな? と見てみると、そこにはポケットはなく、あるのは南雲の身体の中心。普段より存在感を増しているそこが千秋の腰に押し付けられていて、一気に顔が沸騰するほど熱くなった。

    「わ、わ、わ、」
     千秋が動揺して慌てふためいていると、鉄虎は頭を抱えて呻きだした。
    「~~~もうそりゃ無理ッスよ! せっかく『これからいっぱい恋人らしいことできるね♪』ってときにこんなとこ閉じ込められて⁉︎
     朝も昼も夜もムラッとしたらとにかく心頭滅却・筋トレでごまかして⁉︎
     怪談配信であんなエロい声を世界中に公開してイライラさせられて⁉︎
     そんなときにこんな可愛く頼られて、エロいキス……したのは俺だけど、して!
     トドメにおでこ合わせて綺麗な顔を見せつけながらお礼言うとか、よくそんな無慈悲なことができるッスね⁉︎」

    「お、おお、よしよし。いっぱい喋っててもちゃんと小声で、おりこうさんだな……?」
     何か栓が外れたかのように溢れ出した鉄虎の叫び(小声)に、後ずさりしながらも、その頭を撫でてやる。

    「しかも俺は、そんなにいろいろ、大変な思いをさせていたのか。
     そういえば南雲、最近めちゃくちゃ筋トレに励んでいたな。
     でも言ってくれれば、俺もちゃんと気を付けるぞ?」

     すると鉄虎は少し拗ねたようにぷいっと視線を逸らす。 
    「……余裕ないみたいでカッコ悪いから、言うつもりなかった……ッス。」

     ぐう。可愛い。
     千秋は思わず胸を押さえた。最近みるみる男らしくなって、恋人になってからは更にこう、ギラつき? みたいなものも見えてきて、カッコよくて大好きだなあと思っていたけれど。だからこそ、こうしてまた可愛いところを見せられると堪らないものがある。

    「守沢先輩」
    「あ! ちょ、こ、こら南雲」
    「ごめん……」
     するりと、南雲の手がシャツの隙間から入ってきて、脇腹を撫でた。
     まずい。このままでは下手すると「最後」まで止まらなくなってしまうかもしれない。

     だからと言って、こんな状態の南雲を置いて出ていくのも、布団に無理やり戻すのも可哀相だ。だってそもそも、千秋がキスをねだったのが悪いのだし。縋るように腰を押し付けてきているが、どんどんズボンがパンパンに張ってきている。これはつらいだろう。

    「よ、よし。南雲、それなら一度、出してしまおう。俺も手伝うから」
    「……先輩が触ってくれるの?」
    「あ、ああ。大して役に立たないかもしれないが……。
     できることがあれば言ってくれ!」
    「『抜きあいっこ』するってことッスか?」
    「ぬきあ……? う、うん。たぶんそれ、かな?」

     「ヌキアイッコ」? 聞きなれない言葉が出てきたのに、つい頷いてしまった。
     とりあえず任せてくれと意気込む千秋に、南雲はふっと口端を緩めて、「じゃあお願いするッス」と俺の腕を引っ張った。
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