甘い輝きのある夜に「ふーちゃん、」
おかえり、と上目遣いでぱたぱたと駆けてきた彼を見て俺は驚愕した。
「シュ、ウ、それ」
彼は、控えめなフリルがあしらわれたエプロンを身に纏っていた。
確かにそれは、同棲を始めたばかりの頃帰宅すると彼がキッチンにいてくれるのが嬉しくて、つい俺が買ってあげたもの。
だが、問題はそこではない。
「…あの、着てくれるのは本当に嬉しいのだが………服は着てくれ………」
ほとんど懇願のような語尾で着地したそれに、彼は純粋な目を向けてぱちぱちと瞬かせた。
「どうして?」
これが正しい着方じゃないの?と言わんばかりの様子に、少しのにやにやが含まれているのを俺は見逃さなかった。
「へぇ〜………」
理解したよ、とでも言うかのように彼に歩み寄る。
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