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    calmdestorm2

    @calmdestorm2

    二次創作ファンアート置き場 ↑20
    イラスト、マンガ、小説ごっちゃごちゃ
    基本アナログシャーペンで落描き、たまにペン入れしたりデジタルだったり

    メインジャンル:フーファン・ダメプリ・94・ロマサガ
    他にも気になったものはなんでもモグモグします

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    calmdestorm2

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    ロマサガ2R
    前に書いたノエクジ異種族間ラブネタのパロ(https://poipiku.com/5510054/11762742.html)の続き
    軽めにするはずが、軽めと重めの中間になっちゃいました

    #ロマサガ2R
    #ノエクジ

    龍工的片時雨 弐あれから三日三晩、雨は降り続いた。
    いつまでも弱まる気配が無い雨脚に、屋敷の掃除をしながらクジンシーはため息をつく。

    (ノエルは雨が止むまでいたら良いって言ってくれたけれど……)

    出ていくと言った手前、正直気まずく居づらい。
    いや、居づらい理由は実はもう一つ。
    あの日以降、ノエルの態度が少し変わったのだ。
    なんというか、以前よりスキンシップが増え、大切に扱われる様になったのだ。
    未だここに居座っている自分に対して、気を遣わせない様にしてくれているのだろうか。
    それなら悪いなと思いつつはたきを下ろし、クジンシーは廊下の奥に視線を移す。
    今ノエルは、再び訪れた女性(ロックブーケ)と対話している。

    (何を話しているんだろう)

    何となく気になるクジンシー、無意識に二人のいる部屋へ向かっていた。

    (そういえばあの子は、何者なんだ?)

    ノエルと対等に話すくらいだ、彼女も龍神なのだろうか。
    龍でなくとも、神の一人なのだろうか。
    そして。

    (……ノエルの彼女なのかな)

    そんな訳絶対にないのだが、彼女がノエルの妹と知らないクジンシー。
    もし、そうであれば。

    (やっぱり俺、ここにいちゃダメだよな)

    おじゃま虫にはなりたくない。
    村の奴らみたいな視線を、よりにもよってノエルに向けられたら、正直耐えられる自信がない。
    誰かと仲睦まじくしている彼の姿を、見たくない。

    そんな事を考えているうちに、部屋の前に辿り着いてしまった。
    悪い事だと思いながらも、襖越しに聞き耳を立てるクジンシー。

    「言えば良いではないですの、『ずっとここに居てくれ』と」

    聞こえてきたのはロックブーケの声で、話し相手は当然ノエル。
    彼女は一体誰に伝えろと、ノエルを説得しているのか。

    (もしかして……俺に?)

    俺は、ここにいて良いのか?
    もしかして最近よく構ってくるのは、出ていってほしくないから?

    本当はノエルと離れたくないクジンシー。
    実は彼も自分を好いていてくれているのか?と思わず期待するが……

    「その様な態度では、いずれ別の者に食べられてしまいますわよ」

    続けて聞こえてきた言葉に、クジンシーの思考が一瞬停止する。

    食べる……龍神は人を食らうのか?
    俺は、食料として扱われていたのか?
    だから、出ていくって言った後から優しくなったのか。
    気分良くさせて、逃げない様にする為に。

    (そっか……)

    目の前が真っ暗になっていく感覚に襲われる。
    (勘違いなのだが)突きつけられた現実に、クジンシーは夢見んなよと自分に失笑する。

    (今すぐ出ていこう)

    雨は止まないが、そんな事どうでも良い。
    これ以上ここに居たくない。
    そう決意を固め、クジンシーは踵(きびす)を返し……

    「ロックブーケ……何処でそんな言い回しを……」
    「私のことは良いのです、その煮え切らない態度を何とかしてくださいまし、お兄様」

    ………………

    「お兄様!?!?!?」

    思わず叫ぶクジンシー。
    次の瞬間、スパァンッと勢い良く襖が開く。

    「盗み聞きとは、感心しないな」
    「ひっ!!……あ、えーっと……」

    しかめっ面で圧が強いノエルにたじたじになるクジンシー。
    あら、とノエルの後ろから顔を覗かせるロックブーケ。

    「どこから聞いていたのかしら?」
    「え、いや……な、何も聞いていない!!
    俺は何も知らないから!!じゃ、そういう事で!!」

    クジンシーはダッシュで逃げ出そうとするが、ノエルに手首を掴まれ断念。

    「うわーやめてくれ!!離してくれ!!
    俺なんか食っても美味くないから!!」
    「あら、そんな言葉が出るなんて……やっぱり聞いていたんじゃない」

    じたばた暴れるクジンシーに、呆れた様子のロックブーケ。
    ノエルは逃げられる事を恐れ思わず掴んだものの、どう対象して良いのかわからず無言でいる。
    それを逃がさん、お前だけは。と勘違いしたクジンシー。

    「いくら好きな奴にでも、齧(かじ)られるのは嫌だー!!」

    思わず本音を絶叫。
    しばらく無言の間が……否、半泣きのクジンシーの呻き声のみが廊下に響く。

    「……だ、そうですわ。お兄様」

    耐えきれず、ぷっと吹き出し笑うロックブーケ。

    「……クジンシー」
    「ひぃっ」

    顔を覗き込まれ竦み上がるクジンシーを引き寄せ、ノエルは強く抱き締めた。


    この後三人は部屋に戻り、ハイパー誤解を解くぜ大会が開催。
    食べられる心配は無くなったものの、色々な感情に飲み込まれ「恥ずか死ぬ……」と、顔を手で覆い畳に転がるクジンシーに、「生きなさい」と起き上がらせるロックブーケ。

    「私、一度帰りますわ。
    お兄様、雨を止めてくださいまし」
    「え?止めてって……あの雨、ノエルが降らせていたのか!?」

    龍神がある程度の気候を操れる事を知らなかったらしく、驚くクジンシー。

    「君を……行かせたくなかったんだ」

    あまりにも端的で、想いの込められた言葉にクジンシーは絶句。
    ノエルは少しバツの悪そうな表情になりながら手を宙にかざし力を込め、何かを唱える。
    どうやら雨を止ませる動作だったらしい。
    洞窟内なのではっきりとはわからないが、遠くから聞こえていた雨の音は耳に入らなくなっていた。

    「落ち着いた頃にまた来ますわね」と言い残し、ロックブーケは戻っていった。
    後に残された二人。気まずい空気が流れる。

    「怖がらせて悪かった」

    そう謝罪して、ノエルは胸の内を全て明かす。
    いつの間にかクジンシーを好いていた事。
    叶うなら、共に生きていきたいと望んでいた事。
    だが、神とはいえ人ならざるもの。
    種族の違いに恐怖心を覚え、いずれ自分の元を去ってしまうのではないか。
    その時が来たら、本当は素直に見送るつもりであった事。
    だが実際は……この様だ、と。

    「どんな理由でも良い、少しでも長く君を引き留めたかったんだ」

    ノエルの言葉を俯いたまま聞くクジンシー。
    泣いているのかと心配になり顔を覗き込むと、涙は浮かべておらず、戸惑いに近い表情をしていた。

    「俺さ……いつも邪魔だって、いらないって、どっか行けって言われていたんだ。
    居て欲しいとか、言われた一度も事無くて……
    だから、こういう時どう返したら良いか、わかんなくて……」

    着物の裾を皺ができる程強く握りしめ、深い呼吸を何度か繰り返して。
    返事の言葉を必死に考えている相手に、ノエルはその手に自身の手を重ね優しく声をかける。

    「俺と共に、いてくれないか?」

    『はい』か、『いいえ』か。
    選択肢を二つに絞らせるノエルの問いかけに、クジンシーは顔を上げる。
    そして、こちらを真っ直ぐ見つめてくる瞳を受け入れ、固く結んでいた口元を緩め二文字の返事をした。

    ノエルはもう一度クジンシーを抱き締め、その頬に手を添える。
    意図を理解し一瞬慌てふためくが、覚悟を決めギュッと目を閉じるクジンシー。
    その仕草に愛おしさを感じながら、ノエルは唇を寄せた。
    触れるだけの優しい口づけをし、顔を離してクジンシーは宣言する。

    「ここ、もう俺ん家だから。
    何言っても、出ていかないからな」
    「あぁ、いつまでも居てくれ」

    なかなか図々しい発言をするクジンシーに、ノエルは苦笑しながら彼を抱き締め直す。
    行為に慣れていないクジンシーはしばらく両手を彷徨(さまよ)わせていたが、真似る事にしたらしく恐る恐るノエルの背に手を回してギュッと服を掴んだ。
    自分を信じここに残る事を決意した相手を、決して悲しませない。
    ノエルは心に誓うのだった。






    おまけ

    「ところで、さっき言っていた『食べる』なんだけれど……
    それって……そういう意味の……?」
    「………………」
    「だよね。あー……今はまだちょっと、無理……かな」
    「『今は』……?」
    「いや何でそこ食いつくの早ぇんだよ」

    すけべ、とクジンシーは不敬にも神に頭突きを食らわせるのだった。
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