恐らく次が最後の〝片付け〟になるだろう。長いこと情報を届けてくれていたねずみ男がそう知らせてきてくれた時、俺は暫く役立てていなかった重い腰を上げ大きく体を伸ばした。
もう親子ふたりきりでやっていけるだろう、と彼らの元から去って何十年経つか。俺はあの哭倉村での一件から衰えることも、病に臥せることも無く遂にこの日が来るまで生き延びてしまった。望まずひとの理を外してしまったことはそれまでに己がしてきた行いへの罰だと思い受け入れてはいるが、恐らく彼らがその事実を知れば少なからず気を遣わせてしまうに違いない。とはいえあの村で生まれた狂骨に関してだけは俺もその原因の一端を背負っていることに間違いは無く、情報屋にだけ顔を見せながらここまで見守ってきたのだ。
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