ホテルのエレベーターを出て、取っていた部屋に向かう。ダブルベッドが二つある部屋を選んだのは、一つは今からドロドロに汚れるのを見越して、もう一つは二人でゆっくり眠りにつく為。部屋までのほんの少しの道のりを、手を握って離れないように扉の前まで歩調を合わせる。カードキーをかざし、ガチャッと扉が開き、カードを差し込んで部屋の明かりが灯る。中に入って扉を閉めたと同時にその手を引いて、待ってましたとばかりに自分の中に包み込む。その瞬間、ビクッと揺れる体。全身に力が入ったのが分かって、思わず苦笑いがでた。さっきまでの酷い行為のせいで、今度は何をされるのかと身構えられる。確実に恐怖心を与えてしまった事に、酷く自分の悪行を呪う。
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