◇
「エイト」
少し緊張してしまう。
僕の気持ちを伝えたら、彼は僕を嫌ってしまうだろうか。そう一瞬考えたが、彼の気持ちも知りたかった。
「…?どうしたんだよ、そんな顔して」
一瞬キョトンとしたあと、笑いながら僕の顔を両手でむにむにと触ってくる。緊張してる表情をほぐすかのように伸ばしたり、押したり。彼はいつもそうだ。本当に人を見ている。そんな彼の優しさに胸がキュンとなり愛しさが込み上げてくる自分がいた。
「エイトとね、相談したくて」
「相談?」
勇気を出して伝える。
「うん。ねぇエイト。僕たち、養子を迎えない?」
◇◇
その言葉を聞いて自分の頬を触っていた手はピタリと動かなくなる。彼の表情は徐々に表情をなくしていく。少しの沈黙が場を支配したあと、彼は普段の声色で言った。
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