Rainさすがに、一人前ではなかったかもしれない
ニコは思った。
これだけの量を食べきってしまうのがニューミリオンいちの大食漢であるこの男、ニコなのだが。それでも、両手をいっぱいにして抱えている溢れんばかりの林檎の量はただ事ではなかったし、街行く人が振り返ってまでその様子を凝視するので。マーケットを出てしばらく歩いた後、ニコは躊躇なく【クラックディメンション】を使って家路を急いだ。空を見上げれば今にも降りだしそうだったし、ちょうど良かったのかもしれない。
セイジが目を覚ました。
そう聞いた時、意外と冷静で。仲間と声を掛け合って彼の元へ向かった。一言一句、話した言葉を俯瞰した状態で覚えているのだから理性はしっかりと働いているはずなのに。ダイニングテーブルを埋め尽くす林檎の山のせいで全く説得力が無くなってしまう。
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