滑舌が悪い話突然ですが皆様、滑舌は良い方ですか?
因みに俺はめちゃくちゃ悪い。前世から悪いけど、今世は比較にならないくらい滑舌が悪い。
多分口が小さいのと、舌が短いのと…あんまり喋って来なかったから。
そんな俺は今、皆の呼び方で苦労している。
「てっ…てってちゅ、てって、つ!」
「惜しい!」
「てってうてって!」
「悪化した!」
ぐぬう…鉄哲徹鐵が言えない。というか、“てつてつ”がそもそも言えない。
「も、ものまねえと」
「ねいとだよ、愛咲陽くん」
「ね…ねっと…」
「惜しいなぁ、頑張れ!」
寧人も言えない、悔しい。言えないのが普通にストレスゥ!!!
B組のみんなは、何故かそんな俺を見て微笑む。慈愛に満ちた目…優しすぎない?
俺泣いちゃう。みんなの優しさが目に沁みる。
「け、けんどお、い…いっか、いちゅ、いっちゃん…」
「諦めた…良いよ、愛咲陽くんが呼びやすい方で」
「…でも、ちゃんとおなまえよびたい」
「かわっ…ン!慌てなくて良いよ、ゆっくり練習しよう」
そう言ったいっちゃんの言葉に、俺は何度も頷いた。
◇
「か、つ、き!」
「かちゅ、かっき…かうき!」
「勝己だっつの!」
所変わってA組、勝己が言えません。かっちゃんでええやんけ!
「私は?お、ちゃ、こ!」
「お、おちゃ…おちゃこ!」
「うん上手!言えたやん!」
嬉しそうに笑うお茶子ちゃんプライスレス、因みに麗日は言えん。
「じゃあ次僕!出久だよ、い、ず、く!」
「い、いう…いーく、いうく?」
「惜しい!ずって難しいよね、いつも通りでいいよ」
「うん、ありがとおデクくん」
デクくんの優しさに癒される。かあいい、天使かな?
「じゃあ俺!ましらお、言えるかな」
「ま、まし…ましあお、ましあ、」
「ら行難しいもんなぁ…」
「まーくんでも、いい?」
「うん、いいよ」
わーい、尾白くんも天使かな!?雄英天使しかおらんの何?なんなの?やっぱヒーローの卵は優秀なんかな…。
「じゃあ次は俺だな。上鳴、上鳴電気!」
「かみあ、かみない…で、でんき!」
「お、電気は言えたじゃん!スゲーな、愛咲陽!」
「へへ…電ちゃんはちょっといいやすい」
そういって笑えば、くしゃくしゃと髪を撫でられた。
わー顔がいい。上鳴電気、顔がいい!(2回目)
「じゃあ次私。あすいつゆよ、梅雨ちゃんと呼んで」
「あしゅ、あすい…梅雨ちゃん!」
「上手に言えたわね、愛咲陽ちゃん」
梅雨ちゃんもかあいいねぇ、ケロケロ言ってる。はー天使!
「じゃあ俺!切島、切島鋭児郎!」
「き、きいしま…えーじろ、えいじろ…鋭ちゃん!」
「ちゃん?ま、まぁいいか…宜しくな愛咲陽!」
そう言ってくれた鋭ちゃんに、感謝の意も込めてぎゅっと抱きついた。