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    yosuga_04_05

    @yosuga_04_05

    書いたものをまとめる用です。
    https://twitter.com/i/events/1540359488255201280
    にもありますのでお好きな方で。
    年齢制限のあるお話の閲覧は18歳以上の方のみでお願いします。

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    POIPOI 31

    yosuga_04_05

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    👟くんに贈り主不明のチューリップが届く話。
    ハッピーエンドです。

    #lucashu
    #CASHU_LS

    【💛💜】花束に思いを乗せて「そういえば最近、不思議なことがあってさ」
     パソコンの画面越し、シュウはおもむろに口を開いた。
    「不思議なこと?」
     作業をしていたミスタがそう問い返すと「うん」と頷いたシュウがいくらか無言になって、やがてディスコードに一枚の写真を送ってくれる。
     その写真に写っていたのは、おそらくシュウの部屋の片隅。花瓶に活けられたチューリップの花。
     色鮮やかな花が瑞々しく花開いている。
    「チューリップ?」
    「そう。最初は八本、次が十一本、昨日は三本。ここ最近、家に届くんだよね」
     シュウが心底訝し気にそう零す。
    「誰から?」
    「それがさ、送り主がいつも不明なんだよね。僕宛なのだけはわかるんだけど」
    「……結構危ないやつじゃない?」
     物騒な世の中だ。シュウもミスタもインターネットで配信をしている身で、ファンだってたくさんいる。彼らの多くは親切で心優しいけれど、愛情の大きなファンが住所を突き止めて、ということだって無くはない。
     そんな気持ちを込めて問えば、シュウは「うーん」と唸った。
    「まあでも、いろいろ調べてみたけど、いつも特におかしなところはないんだよね。本当にただの花束でさ」
    「シュウが危なくないならいいけど」
    「大丈夫だよ。変な思念を纏っていれば、僕には視えるし」
    「————」
     そう続けたシュウの言葉に、ミスタはわずかに目を見開く。そうだ、そういえば闇ノシュウという男は呪術師だった。
     物に宿る思いまでわかる、というのは初めて知ったけれど。
     それは果たして、どんな感覚だろう。
     決していいことばかりではないだろうな、とミスタはひっそり感じた。
    「どちらかというとさ、いつも温かくて優しい感じの、そんな空気を纏ってるんだよね」
    「そのチューリップが?」
    「うん」
    「へえ?」
     そう返しながら、送られたチューリップの写真を拡大してみる。けれどやはりミスタにはちっともわからなかった。
    「だからさ、僕を見守ってくれてる誰かが贈ってくれてるのかもって。僕チューリップ好きだし」
    「……。だとしても、おれなら飾るまではしないかもだけど」
     差出人がわからないなんて、言っては悪いが正直気味が悪い。送った人間がわかったとしても、知らない相手からだとすればやはり敬遠するだろう。
    「普通はそういうものなのかな?」
    「あくまでおれならってだけだから。シュウが飾りたいならそれでいいんじゃん?」
    「送ってくれる相手がわかれば、きちんとお礼ができるんだけど」
     そう零したシュウに、いくらなんでも善人すぎやしないかと思ったけれど、感覚はひとそれぞれだ。おれには視えないものを視た上でそう感じるなら、シュウのこころを尊重したい。
    「これ他の誰かにも言ったの?」
    「え? いや、特には」
    「聞いてみれば? 案外身近に犯人がいるかもじゃん」
    「犯人って」
     ミスタの言葉に、シュウがからからと笑った。けれどミスタの案を飲んだのか、「それもそうだね」とシュウがかたかたとキーボードを打つ音が聞こえた。そうしてすぐに、Luxiemのグループチャットに、いまミスタに話した内容とあまり変わらない内容の文面と、チューリップの写真を送る。
     住まう国が違うから、日々暮らすタイムゾーンだって別々だ。すぐには全員が確認しないだろうけれど。
     まあ、犯人はいないにせよ、話の種にはなるだろう。
     結局、確かに話は盛り上がったが、誰の仕業なのかはわからずじまいだった。



       ***



    「あれから一カ月経つけど、まだチューリップは届くの?」
     次の配信の打ち合わせも終えて、だらだらとお互いに通話をしながら作業を進めていたさなか。
     雑談の延長でアイクに問われて、シュウは部屋の片隅の花瓶を見つめる。
     色とりどりのチューリップ。萎れているものもあるが、瑞々しく花開くものだってある。
     つい二日前にも届いたばかりだった。
    「うん、届いてるよ。十一本届いたあとは、ピンクのが三本届いて、二日前は赤いのが三本かな」
    「よく数えてるね」
    「んはは、一応いつもおかしなところがないか確かめてるから」
     だから覚えちゃうんだよね。
     そう返せば、アイクは「写真ある?」と尋ねてくる。シュウは席を立つと、スマートフォンで手早く花瓶を写真におさめた。
     そうしてアイク宛てに送ると、「ありがとう」と返ってきた。
    「うーん、本当におかしなところはないんだよね?」
    「僕が視た感じはね。いつも花束と、僕宛てにカードがついてるだけ」
    「メッセージカード?」
    「メッセージというか、シュウへ、ってだけだから、どうだろ」
     いつも飴色のセロファンに包まれて、紫色のリボンがかけられて送られてくる。それに、僕宛だと示すためだけのメッセージカード。
     盗聴器やカメラが仕掛けられている様子もないし、毒なんかも仕込まれていなさそうだった。それに呪いの気配もない。
     ただただいつも優しく温かで、穏やかな気配だけがあった。確かに花束からそのオーラを感じる。きっとシュウを大事に思ってくれているのだろう、ということだけはわかる。
     名乗ってくれればいいのに。
     そうしたらいつもありがとう、と伝えられる。
     名乗らず花を送ってくる時点で、感謝や見返りなんて求めていないのかも知れないけれど。一体、いつもどんな気持ちで、名前も知らない誰かは僕にチューリップを見繕うのだろう。
    「きっと、送り主はシュウが好きなんだね」
     ふと、アイクがそう零した。
    「僕もそうだと思うよ」
     アイクの言葉にシュウが素直に頷くと、アイクはすこしだけ驚いたみたいに息を飲む。そうしてすぐに付け加えた。
    「違うよシュウ、僕が言ってるのは、」
     贈り主は君に恋をしてるんだね、ってこと。
    「————」
     アイクの言葉に、今度はシュウが息を飲んだ。
     好き。
     誰かが僕に、恋をしている。
     シュウは花瓶に視線を向ける。
     その恋の果てにシュウの元に贈られるのが、この色鮮やかなチューリップたち。
    「恋……」
    「君のことだからいま気づいたね?」
    「あー……、まあ、そうだね」
     確かに一般的に考えればそうなのかもしれない。けれど恋は自分にはあまりに縁遠いものだったから。アイクに言われて初めて、そうなのか、と腑に落ちた。
     優しくて温かで穏やかなオーラは。
     きっと花を選んだ相手が、シュウへ向ける愛だった。
     でもそれなら尚のこと、一体だれが?
    「チューリップの花言葉、シュウは知ってる?」
    「全然」
     シュウがばっさりと返せば、アイクは可笑しそうに笑った。だって花は花だから。きれいだなと感じる心はあるけれど、込められた言葉を考えることはなかった。
    「贈る色や本数によってね、ちゃんと意味があるんだよ」
    「すごいね、さすが、小説を書いてるから?」
    「それもあるけど、僕が誰か特別なひとに花を贈るなら、きっと意識するだろうから」
     そう口にしたアイクは、きっと誰かに花を贈ったことがあるのだ。
     そういえば僕は、誰かに花を選んだことも贈ったこともないかも知れない。いや、母親や姉妹にはあったかも。わからない。花よりもっと実用的な物や、相手が欲しがっている物を贈ることが多かった。
    「例えば、二日前に贈られてきた赤色のチューリップはね、真実の愛とか、愛の告白って意味があるよ」
    「あ、愛……」
    「ちなみに三本のチューリップは愛しているって意味」
    「……、なんだか僕、すごく想われてる、んだね?」
    「他人事みたいに言うね」
     シュウの反応に、アイクがやはり笑った。
    「まあ、贈ってくれる相手がわからないんじゃ、実感も薄いよね」
    「どうかなあ」
     名乗られたとしても、おそらく自分はうまくその気持ちを受け取れない気がする。なにせ恋をまともに知らない。もちろん、家族や友人たちを愛しているけれど、所謂恋愛的なものはまるで自分に備わっていないのでは、というほど縁遠い。
     必要を感じないから、なくても困らない。困らないということは、やはり自分には必要ではない。なにせ他にたくさん楽しいことはあったから。
    「もしかしたら、相手はシュウのことをわかってるのかも知れないね」
    「え?」
    「直接気持ちを伝えられてもさ、きっとシュウは困るでしょ。だから、名乗りもせず、ただ花に思いを託して贈ってるのかも。きみを困らせたくなくて、だけど気持ちは届けたくて、そんな気持ちでチューリップを選んでるんじゃないかな」
     もちろん僕の推論だけどね。
     そう付け加えたアイクが、時計を見たのか、「そろそろ眠らないと」と口にした。今日はありがとうとお互いにやりとりをして、おやすみ、と通話を切った。
    「…………」
     しん、と静かになった部屋。
     シュウは席を立つと、花瓶の前に立った。
     漂う花の香り。赤色のチューリップを見つめて、教わった花言葉を思い出す。
     もちろん、贈った相手が自分のように花言葉を知らない可能性だってある。あるけれど、もし本当にアイクが言った通りなら、どうしよう。
     すこしだけ胸が落ち着かない。
     気になって、いままで贈られたチューリップの色や本数の意味を調べたシュウが余計にそわそわとしてしまうのは、数分後のこと。



       ***



     ルカが花言葉の意味を知ったのは、たまたまだった。
     友人がプロポーズで恋人に花を贈るのだと教えてくれた時。
    「彼女は向日葵が好きなんだ。だけどさ、贈る本数で悩んでて」
    「本数?」
     ルカが尋ねると、友人は「ああ」と頷いた。
    「ちゃんと意味があるんだよ」
     そう答えて、友人は「これなんだけど」と、スマートフォンでサイトを見せてくれる。そこで初めて、ルカは贈る本数にも意味があることを知った。



       ***



     シュウが体調を崩したのは、花言葉の意味を知ってひと月経った頃だっただろうか。
     ルカにすれば夏の始まり。シュウにとっては冬の始まり。
     二週間ほど、シュウは配信を休んだ時期があった。SNSにもほとんど反応がない。心配になってメッセージを送れば返信はしてくれたが、あまり芳しくはなさそうだった。元気づけようと面白い動画を見つけては送ったり、返信は不要だからと励ましのメッセージを送ったり。住まう国も違うルカにできたのは、精々そんなことだった。
    「…………」
     始めは、花を贈るつもりなんてなかった。
     ルカがシュウへの恋に気づいてから、どれくらいだろう。わからない。
     仲間として、友人としてシュウを好きになったルカは、いつの間にかシュウに惹かれて、段々と引き返せなくなってしまった。彼に恋をした。
     最初は自分のこころにすこし戸惑いもしたが、自分のこころだからこそわかる。多少そういう方面に鈍い自覚はあれど、自分のことも周りのことも割りと冷静に見ることができる自負のあるルカは、シュウに恋をした事実を受け入れるのは容易だった。
     だって話せるだけで嬉しくて、名前を呼んでもらえるだけで幸せになれた。こころの一等やわいところに芽吹いてしまった恋は、穏やかに育って、甘さを増していった。
     べつに恋を告げるつもりは欠片もなかった。打ち明けるつもりなんて微塵もなかった。
     想いを打ち明けなくたっていい。想うだけで穏やかな気持ちになれるし、何よりシュウを困らせることはしたくなかったから。今まで通りの距離で話せて、シュウが笑って過ごしていてくれれば、それでいい。確かに、そう思っていた。
     思っていた、けれど。
     シュウが体調を悪くして一週間が過ぎた頃。
    「ありがとう、たくさんメッセージ送ってくれて」
    「だってさ、病気のときって心細いじゃん。俺ならたくさん話しかけてもらえたら嬉しいから。だから気にしないでいいよ」
     すこし体調も戻って、部屋で一人で過ごすのも退屈だと零したシュウと通話をしたとき。シュウからのお礼に、ルカはそう返した。
     事実ルカも何度か体調を崩しては寂しさを紛らわすために誰かの配信に遊びに行ったり、通話に混じったりしていた。それを知っているシュウは「ルカは確かにそうだね」と笑った。
    「でもさ、本当に嬉しかったから。ありがとう、ルカ」
    「……、うん」
     精々動画やメッセージを送るくらいしかできないと感じていたこころが、その瞬間に報われてしまった。
    「シュウ、寝込んでる間にしたいこととかあった?」
    「うーん、どうだろ。時間だけはたくさんあったから、みんなの配信結構見てたんだけど、僕も早く配信したいなあってなったよ」
    「わかるよ」
    「んはは、根っから配信者なのかもしれないね」
     ルカが頷いたのに、シュウが可笑しそうに笑う。
    「あとはね、僕の部屋って意外と殺風景だなって、寝込んでる間に感じたかも。散らかってはいるけど、賑やかではないっていうか。季節とか気温のせいもあるのかなあ」
    「ああ、体調が悪いと余計に寂しいから」
    「そうそう。たぶんそれ」
     同意を示したシュウは、何でもないことのように言葉を続けた。
    「お花とか飾ったらすこしは賑やかになるのかな」
    「————」
    「まあでも、僕は水を換えたりするの忘れちゃいそうだけど」
     そう言って笑うシュウの声を聞きながら、ルカはひっそりと花を海外発送できるのか調べ始めた。

     シュウのもとに八本のチューリップが届くのは、その二週間後だった。



        ***



     シュウが花言葉の意味を知ってからも、定期的にチューリップが届けられた。
     意味を知らなかった頃ならいざ知らず、意味を知ってからは多少なりとも意識してしまった。けれど贈られるチューリップはいつでも瑞々しく咲き誇って、変わらず優しくて温かな空気を纏っている。
     誰かが自分へひそかに向ける恋。
     恋というのはこんなにも穏やかなものなんだろうか。わからないけれど、花瓶に花を飾るたび、きっと大切に想われているのだろうということだけは伝わってくる。
     贈り主の顔も名前も知らない。だからシュウは何も返すことができないけれど、無理に答えを返す必要もない。
     名乗ってくれればお礼が言えるのに、と思う。きっと相手は名乗りたくないから、こうして匿名で花を贈ってくれるのだとわかっているけれど。
    「…………」
     いつまで、こうして花が届くだろう。
     いつか急に届けられなくなったら寂しく思うだろうか。たぶん、寂しいだろうな。シュウは思う。なにせもう半年ほど続いているのだ。
     冬の寒さなんて通り越して、春がきて、季節は夏になった。
     妹に提案されて、チューリップのいくつかはドライフラワーにしてみた。いつか体調を崩して寝込んだ時に感じた殺風景さは、いまの部屋には感じない。壁につるされたチューリップが、花瓶に活けられた色とりどりが、部屋をぱっと明るくしてくれている。
     色づいていく。彩づいていく。
     思えば、自分の住所を知っている相手など限られている。
     だから、まったく想像もできないような誰かとも思えない。
     チューリップの纏う空気はすっかり覚えてしまったから。贈り主本人に会えたなら、すぐにそのひとだとわかってしまうだろう。
    「まあでも、」
     会う機会なんて訪れないか。
     静かに零したシュウは、違うことに意識を向けようと、三日後に迫った予定に思いを馳せる。
     カレンダーに赤色のペンで記した丸。久しぶりに、Luxiemの仲間たちに会える。実際に会うのは一年ぶりくらいだろうか。なかなか全員のスケジュールを合わせるのが難しいから、楽しみだった。
     家を空ける間、花瓶の水を換えるのは家族に頼まなければ。
     ——三日後に息を飲む事態になるのは、いまのシュウはまだ知り得ない。



       ***



     久しぶりにLuxiemのメンバーで集まった日。
    「アイク、どうしよう」
     と、シュウに声をかけられたのは、空港を出て、ホテルに向かうタクシーに乗ってからだった。
     それぞれに荷物も多いから、と二台手配したタクシー。アイクは誰と一緒に乗るのでも構わなかったが、タクシーを待つ間、シュウは何やらそわそわとした様子だった。そんなシュウが「アイクと一緒がいいな」というので、断る理由もなかった。
     ルカが一緒に乗りたそうだったが、シュウを窺えばアイクと二人の方が都合がよさそうだった。適当に理由をつけて、申し訳なさもあったが、ルカにはミスタとヴォックスと一緒のタクシーに乗ってもらうことにした。
    「何があったの?」
     ゆっくりと落ち着いた声で尋ねる。
     割合、シュウはいつだって落ち着いている方だ、と思う。マイペースというか、誰と一緒にいてどんなことをしていても、自分のペースを崩すことがない。
     アイクから見ればそんなシュウが、こうして戸惑った様子なのは珍しかった。
    「その、さ。わかっちゃったんだ」
    「うん?」
    「前にさ、チューリップの話したと思うんだけど、まだ届いてて」
    「ああ、言ってたね」
    「わかったんだ」
     チューリップの贈り主。
    「!」
     シュウの言葉に、アイクは目を丸くする。
     最近はあまり話題に出なかったが、シュウの元には匿名でチューリップが贈られている。おそらくシュウを恋しく思う気持ちを乗せた花束が。
     もう半年くらい経つが、未だに届いていたのか。
     けれどこのタイミングで、この話をシュウが持ち出すということは。
    「え、まさかと思うけど」
     瞬時にアイクの頭に浮かぶ“容疑者”は三人。
    「……、そのまさかだよ」
     シュウはそう頷いて、困ったように眉を下げる。
     はあ、とため息を零したシュウの顔はどこか赤かった。
    「もう半年、ずっと花束を受け取っていたから。優しくて温かなあの空気を、間違うはずないんだ」
     シュウは、そうだ。呪術師の彼は、物に宿った思念なんかも視えるのだと言っていた。
     それはすなわち、贈り主に会ったならわかってしまうということで。
    「それで、これからどんな顔して話せばいいのかって?」
     アイクが尋ねれば、シュウはこくん、と頷いた。
     容疑者は三人だけれど、すぐに確信めいて思い至ったのは、たった一人。
     ほとんど勘のようなものだけれど。たぶんきっと、合っている。
    「シュウはどうしたい?」
    「僕?」
    「そう。わからないけど、向こうはシュウが気づいたことに気づいてないんじゃないかな。今まで通り接したいと思ってるんじゃない?」
    「今まで通り……」
    「シュウが気づかなかったことにすれば、きっと今まで通りだよ。仲間として友人として過ごせると思う。だって彼はずっと名乗らずに花を贈ってくれてたんだから」
     見守るような愛。
     決して言葉にはしなくても、自分からだと気付かれなくても、それでもひっそりと花束に乗せた恋心。
     半年もずっと、随分一途なことだ。
     アイクは別のタクシーに揺られている同僚を思い、小さく笑った。
     一緒に乗りたいと言ったのをうまく断ったとき、随分残念そうだった。そうなのだとわかってしまえば、すこし悪いことをしたかも知れないと感じる。
    「選ぶのはシュウだよ」
     アイクはそれだけを告げた。個人的な希望だけならば、正直二人がうまくいく未来も見てみたい。二人のことが好きだから。
     シュウのこの反応はそもそも、無自覚だとしても多少は脈があるのでは、と思うけれど。
     まあ、そこまでおせっかいは焼かない。アイクにできるのは精々見守ることくらいだ。
    「……ずっと、花を受け取るたびに、名乗ってくれたらいいのに、って思ってたんだ。お礼が言いたかったから」
    「うん」
    「いいのかな。だって本当は僕に知られたくなかったはずじゃん」
    「どうかな。それは、聞いてみないとね」
    「————」
     アイクが返せば、シュウは眉を寄せてしばらく考え込む。
     そうして、しばらくの沈黙ののち。
    「うん。決めた」
     そう口にしたシュウは、アメジストの瞳に確かな決意を宿していた。
     きちんと選んだようだった。
    「何かあれば相談には乗るからね」
    「ありがとう、アイク」
     アイクの言葉に笑顔で返したシュウは、タクシーがホテルに着くなり、ルカに声をかけに行った。



       ***



     ホテルに到着する頃には、空はすっかりと夕暮れていた。ルカはオレンジ色に目を細める。
     部屋に荷物を預けて、ディナーの時間までどう時間をつぶそう。本当はシュウを誘って話したりしたいけれど、疲れているかも知れない。
     それに空港で話したとき、シュウはどこか自分を避けている気がした。
     知らないうちに何かしてしまっただろうか。いつも通り接したつもりだったけれど、シュウに直に会うのは久しぶりだったから、つい浮かれてしまった覚えはある。
    「ルカ」
     そんなことを悩むさなか。背後からかけられた声に、ルカはすこしだけどきりとする。
     振り返れば、シュウがルカを見つめていた。
     アメジストの瞳が夕日に晒されてすこし不思議な色だ。純粋にきれいだな、と見惚れてしまう。直接会うの久しぶりだから、思いのほか恋心をコントロールするのが下手だ。
     しっかりしなければ、と自分に言い聞かせて、ルカはなんでもないように返した。
    「どうしたの、シュウ」
    「あのさ、すこし話せないかな。二人で」
    「え?」
     あまりにも思いがけない、突然のお誘い。
     思わずすこし固まってしまった。ミスタとヴォックスがそばでからかうみたいに口笛を吹く。アイクがそんな二人をたしなめてくれる。
    「ごめんね、急に」
    「いや、いいよ。あー、荷物部屋に置いてからでもいい?」
    「もちろん。僕も済んだら連絡するね」
    「うん」
     そんなやりとりをして、シュウはアイクと先にホテルの中へ向かっていく。
     その背中を見つめながら、きちんと気持ちを引き締めなければ、とルカは静かに唇を引き締めた。
     二人で話したいなんて、一体なんだろう。
     ——もしも思い当たることがあるとすれば、たった一つだけれど。
    「…………」
     わからない。蓋を開けてみればぜんぜん違う話かも知れない。
     けれどもし気づかれていたとしたら、それを問われたとしたら、どうしたらいいだろう。
     そわそわとした気持ちを抱えながら、ルカはチェックインを済ませた。



       ***



     善は急げ、と言うから。
     決意が揺らいでしまう前に、シュウはルカに声をかけた。
     匿名で届けられるチューリップ。いつだって優しくて温かで穏やかな空気を纏っていた花束たち。
     今日久しぶりに会ったルカは、その花束たちとまったく同じ空気を纏っていた。
     まさか、と思った。
     けれど半年間、ずっと花瓶に活けて、部屋に飾って過ごしていたから。
     たくさんのものが視えるシュウが、覚えたものを間違うはずもない。
     シュウの住所を知る相手は限られている。名乗ってくれればお礼が言えるのに、とずっと思っていたけれど。まさか本当に身近な相手からだとは思わなかった。
     それにルカは、今までまるでそんなそぶりを見せなかった。シュウが気づかなかっただけかも知れないけれど。知らない誰かから花束が贈られる話をしたときだって、「そうなの?」くらいの反応で、それ以上はなにも聞いてこなかった。
     けれど、そうだ。匿名で花を贈ろうという人間が、深く追究してくるわけもない。恋が伝わるようなアクションをするわけがなかった。
     ずっと、僕が自分で気づかなければ、知り得なかったこと。
     昨日までは、顔も名前も知らない誰かが僕に向ける恋だった。
     けれど本当は——ルカが僕に向ける恋だった。
    「……」
     とてもとても大切に想ってくれているのだろうと、花瓶に花を飾るたびに思っていた。
     今日顔を合わせたルカは、シュウを見つめる瞳が優しかった。
     自分に宛がわれたホテルの部屋で荷物を解いて、シュウはスマートフォンを手にする。胸がどきどきとしている。だって、こんな経験は初めてだから。
     何を送ろうか迷って、結局『荷ほどきが終わったよ』とだけメッセージを送る。すぐに既読がついて、『そっちに行くから待ってて』と返信が来る。
     そうして数秒と経たないうちに、廊下から向かいの部屋の扉が開く音がして、すぐにシュウの部屋の扉がノックされる。
     扉を開ければ、ルカが立っている。
    「ごめんね、急に」
    「大丈夫だよ。部屋で話す? どこか散歩でもする?」
    「あー、ぜんぜん考えてなかったかも」
     ルカと話そう、ということしか考えていなかった。
     人に聞かせるような話でもないから部屋でもいいけれど、二人きりで部屋にいるのは、すこし気まずさもある。シュウがそうして悩む間に、ルカが「じゃあさ」と口を開いた。
    「屋上に行ってみる? 調べたらさ、ちょっとした庭園みたいになってて、夕陽とか夜景もきれいに見えるみたいだから」
    「……うん」
     ルカの提案に頷くと、ルカはシュウを見て嬉しそうに笑ってくれる。
     別になんでもないことのはずなのに。妙にその表情が、シュウの胸をぎゅう、と締め付けた。
    「じゃあ行こう!」
     とルカがシュウの肩を抱いて歩き始める。
     心臓がとくとくと音を立てる。
     変な感じ。
     向けられた笑顔に、触れられた熱に、妙にこころがそわそわとしてしまう。自分の身体じゃないみたい。人生ではじめての感覚に戸惑いながら、シュウはルカと屋上に向かった。



    「うわ、ちょうど夕焼けがきれいだね」
     屋上に到着してすぐ。ルカは目を輝かせて手すりのあるところまで駆けていった。そうしてすぐにシュウを振り返って「早く」と声をかけてくれる。風が吹いて、ルカの金色の髪をさらっていく。
     世界中、目に見えるなにもかもが夕焼けのオレンジ色に燃える世界で、からからと明るく笑うルカからなんだか目が離せない。
     シュウはルカの傍らに立つと、手すりを掴んで夕焼けを見上げた。美しいオレンジ色。けれどすこしずつ、空は夜の気配も引き連れている。じきに空は濃藍に塗り替えられてしまう。
     どう切り出そうか、と悩むうちに、ルカが口を開いた。
    「よかった」
    「え?」
    「空港でさ、シュウにすこし避けられてるかなって、感じてたんだ」
    「あ……、」
    「だからさ、いまこうして一緒に夕焼けが見られて嬉しいよ」
     隣で空を見上げていたはずのルカが、そう言葉にして、シュウに笑いかけてくれる。届けられた花束から感じたのとまったく同じ空気。優しくて温かで柔らかくて穏やかで。確かな恋を孕んだ笑顔に、シュウはどう返そうか迷って、結局、ストレートに言葉にすることにした。
    「ルカ、あのさ、すごく変なことを言うかもしれないんだけど」
    「うん」
     シュウの言葉を受けて、ルカが真剣な表情になる。けれどどこか諦めたような表情で、もしかしたらシュウが言うことを察しているかも知れないと思った。
    「半年くらいさ、ずっと僕宛てに、匿名でチューリップの花束が届くんだ」
    「言ってたね」
    「うん。それで、僕はさ、物に宿った思念が視えるんだけど。……今日きみに会って、その花が纏っていた空気と同じ空気をきみが纏っていたから」
    「——!」
    「僕に花を贈ってくれていたのは、きみだよね」
     ルカ。
     窺うように見上げれば、ルカは驚いたように目を見開いて、けれどじわじわと表情を崩していく。何かを口にしようとして、けれどつぐんで、照れたように頬を赤くしていく。夕焼けのせいでわかりづらいけれど、それでもわかるくらいには。
     しばらくして気まずそうにシュウから目をそらすと、口元を手で覆った。
     正直、その様子だけで充分な答えだった。
    「……、ちょっと、落ち着くまで待って」
     絞り出すようなルカの言葉にシュウは黙ってこくりと頷く。シュウに背を向けたルカは、それはそれは大きなため息をついた。
     そうして誰にともなく「よし!」と零したルカは、シュウに向き直ってくれる。
    「ごめん。もっとスマートにごまかしたり反応を返せるかと思ったんだけど、そんなばれ方をすると思ってなくて」
    「いや、うん。そうだよね」
     シュウだって、呪術師の血を引くからこそ、たまたま視えただけで。もし何の力も持たなければ、知り得なかっただろう。
    「その、花言葉も、さ……」
    「うわ! 待って! さすがにそこまではばれてないと思ってた!」
     シュウが口にした途端にルカが頭を抱えた。なんだか可哀そうになってきた。
     同時に、本当にルカが僕に花を贈ってくれていたんだ、と胸がそわそわしだす。
    「僕もぜんぜん知らなかったんだけど、前にアイクが教えてくれて」
    「アイク~~!」
     叫んだルカは、はあ、と肩を落とした。
     恥ずかしそうに両手で顔を覆ったルカは、けれど指の隙間からシュウを窺ってくる。なんだかそれがかわいくて、ついシュウは笑ってしまった。
    「んはは!」
    「俺いまめちゃくちゃに恥ずかしいよ……!」
    「ごめんごめん。きみがそんな反応すると思わなくて」
     そう返しながら、ルカの慌てようにシュウも事態を飲み込んで、胸がどきどきと騒ぎだす。だって、本当に花言葉や贈る本数の意味を知っていてのことだったのだ。ということは、ただの秘密の贈り物ではなくて、本当に恋心の乗った特別な贈り物だった。
     ルカが僕を好き。
     きっと仲間や友人としてだけではなく、そういう意味で。
    「前にさ、住所交換したことがあったじゃん」
     シュウが現実を飲み込んでいくさなかに、ルカが手すりに背中を預けて静かに語りだす。
    「クリスマスのとき?」
    「そう」
     ルカが頷いたのに、そういえばそんなこともあったな、と思い出す。
     Luxiemとしてデビューして二度目のクリスマスに、確かにお互いにプレゼントを交換し合おうと住所をそれぞれ聞いていた。結局それきり贈り物や手紙を書くこともなかったけれど。
    「本当はさ、怖がられるんじゃないかって思ってたんだ。匿名の贈り物なんて。でも」
     ちょうどシュウ、体調崩した時期だったでしょ。
     そう零したルカは、そっと視線をシュウに流した。薄紫色の瞳が、慈しむように自分へ注がれる。
     そうだ。思えば花が届き始めたのは、しばらく配信を休んでいた時期のあとからだった。
    「あのとき通話してさ、部屋が殺風景に見えるって話してたの、覚えてる? 花でも飾ればいいのかなって、シュウが言ったのを聞いて。すごく一方的だけど、なにかしたかったんだ。言葉はかけられるけど、どうしたって俺とシュウは住んでる国が違うから距離があるじゃん。何かシュウの心が元気になるようなことがしたかったんだ」
    「……ルカ」
     思わず名前を呼ぶと、ルカは照れくさそうに笑って頬をかいた。
     ルカはいつだって思いやりがあって優しい。
     ああ、やっぱり一緒だ。
     定期的に贈られてくるチューリップが纏っていたオーラと、ルカの空気は。
    「いつも花が届くの、嬉しかったよ。匿名でもね。おかげで部屋は明るくなったし、贈り主がわかったら、ずっとお礼が言いたいなって思ってた」
    「シュウ」
    「ありがとう、ルカ」
     シュウがそう伝えれば、ルカはとびきり嬉しそうに笑ってくれた。
    「なんかさ、ぜんぶ報われた気分」
    「大げさだよ」
    「俺にとってはすごく大きなことなんだよ」
     そう口にしたルカは、すこしだけうつむいた。
    「花言葉は、その……、シュウにならばれることないって思ってたんだ」
    「僕もアイクに教えてもらうまでは知らなかったよ」
    「うん。だからさ、なんていうか」
    「……想定外だった?」
    「まあ、そうだね」
     そう答えたルカは、すこしだけばつが悪そうだった。
    「伝えるつもりなんてなかったんだ。シュウがそういうの、あまり関心がないの知ってたし。俺はシュウが笑っててくれればそれで充分だったから」
    「ルカ」
     そんなに。そんなに想ってくれていたの。
     とくとくと心臓が跳ねる。体温が上がっていく。
    「ただ、シュウに気づかれなくても、花に意味を込めるくらいなら、いいかなって」
     そう告げたルカが、だんだんと夜色へ染まっていく空を見上げた。びゅう、とすこし激しい風が吹いて、彼の金色の髪がなびく。
     お月様みたいな金色。
     きれいだな、と思った。
    「じゃあその、きみ、ええと、本当、に?」
    「え?」
     聞くのも野暮かも知れない。
     まして自分を想ってくれているだろう相手に、それを直接尋ねるだなんて、ルカにとってはとんでもないことかも。
     けれどシュウはルカの想いを知ってしまったから。こうして、いま言葉を交わしているから。どうしたって、確かめてみたくなってしまった。
    「ルカはその、僕のことを、さ……」
     シュウが言い淀むと、ルカの空気が変わるのがわかった。
    「うん」
     頷いたルカが、まっすぐシュウに向き合った。
    「シュウが好きだよ」
    「~~~~!」
     浴びせられた、恋。
     時間が止まったような心地になって、けれどもじわじわと鼓動が早くなっていく。
     熱い。暑い。どきどきする。
     なにこれ。なに、これ。
     だってあんまり、あんまりルカの声が甘い響きだった。
     シュウがまるで気づかなかった、知りえなかった恋。
     心臓がめちゃくちゃになりそうだった。
    「うわ! なんかめちゃくちゃに恥ずかしい!」
     シュウが静かに慌てるさなかに、ルカが頭を抱える。
     その顔は赤くて、シュウは伝染るから辞めてほしいと思ってしまった。
    「僕の方が恥ずかしいよ……!」
    「なんで! シュウは俺の気持ち知ってたじゃん!」
    「だとしても直接聞くのはぜんぜん違うって! すっごくどきどきするよ!」
    「! どきどきしてくれるの?!」
    「えっ?!」
     どこか嬉しそうな、興奮したような表情で声で問われて、両肩を掴まれて、シュウは言葉が継げなくなった。
     ずい、と距離を詰められて、どこか期待をにじませた薄紫色の瞳が間近に迫る。
     だって心臓がどきどきしている。誰かが自分に恋をするなんてあまり想像したことがなかった。それなのに、まさか、ルカがそうだなんて。
     花言葉を調べてそわそわとしたときよりも、贈り主がルカだと気づいたときよりも。
     好きだと直接告げられた今の方が、よっぽど胸が苦しい。
     シュウがなにも言えないでいると、ルカが恥ずかしさや熱を纏いながらも、真剣な表情になる。
    「シュウ、教えて」
    「! な、……! どこ、から、」
    「え?」
    「……そんな声で僕のこと呼ぶの、僕の知らないルカだ」
     知らない。知らなかった。
     熱で掠れたような声で名前を呼ばれるのも、教えてとねだられるのも。
     恋なんて知らない。知らないけれど、いまこの瞬間の鼓動の早さが、胸の苦しさが、身体の熱が、もしも恋をしたときに感じるものに似ているなら。
     きっと恋って、とんでもないことだ。
    「……シュウこそ、思ってたより、俺のこと意識してくれるんだ」
    「意識」
     もはやなにもわからなくなってきて、シュウはただ聞こえた言葉を反芻する。
     ルカの顔が見られない。
     どうしよう、これどうなってるの? どうなるの?
     シュウが混乱するさなか、ルカがシュウの手を包んだ。
    「シュウ、俺のこと見て」
    「見……、!」
     ちら、とルカを見上げる。
     きゅ、と掴まれた手に力が込められる。
     ルカのモルガナイトの瞳が、まっすぐにシュウだけを捉える。捕らわれる。逃げられない。逸らせない。
     だってシュウの手を掴む手が、シュウを見つめる瞳が、シュウを好きだと言っている。
    「伝えるつもりなんてなかったから。振り向いてもらおうなんて考えたこともなかったけど、でも。もしシュウが、すこしでも俺を意識してくれるなら」
     欲張ってもいい?
     ささやくように問われて、シュウはもう心臓がだめだった。心臓も頭も使い物にならない。エラー。胸が苦しい。息が苦しくて、身体中が熱い。
     シュウを見つめるルカが、見たこともないくらいに優しく笑う。たぶん、好きな相手にだけ向けるような、そんな表情だった。
    「シュウが俺を好きになってくれるように、俺頑張るよ。無理に俺を振り向いてくれなくてもいいけど、でも、振り向いてくれたら嬉しい」
    「でも僕、恋なんてわからないよ。すごくすごく、時間がかかるかも知れない」
    「いいじゃん。その分時間をかけてシュウが俺のこと考えてくれるってことでしょ。たくさんアピールできる」
     前向きな言葉に、嬉しそうな表情に、シュウはどんどん胸が甘く締め付けられていく。
    「俺すっごく一途だよ。たぶんシュウのことたくさん幸せにできると思うな」
    「うう……、」
     だめだ。まるで敵う気がしない。
     恋なんてわからない。わからないけれど、未知の世界へ落っこちてしまうのは、ルカの恋に捕まってしまうのは、時間の問題な気がした。
     どうなっちゃうんだろう。
     すっかり夜の世界に染まった世界で、シュウはまだ芽生え始めた感情に気づかない。



     贈り主不明のチューリップ。花束に乗せられた恋。
     そんなこともあったよね、と思い出話を語りながら、部屋に飾るための花を二人で買いに行くようになる未来は、もうすこしだけ先のこと。



    2022.08.23
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