AZ吸血鬼パロ1 筋肉で引き締まった腕にそっと手を添え、
なるべく傷つけないように慎重に牙を当てて噛む。
ぶつりと皮膚が裂ける音がして血が垂れていく。
口に含んだ瞬間甘く濃密な味が脳を刺激し、
今まで味わったことのない感覚につい夢中になってしまう。
「ッ……!」
突然頭上からくぐもった声が聞こえて咄嗟に腕から牙を抜く。
見上げれば眉を寄せて苦悶の表情を浮かべていた。
「ごめん!痛かった……?」
「いや、大丈夫だ」
優しく頭を撫でるその人はいつも同じ言葉を口にする。
彼の名前はアンジール。血を求め彷徨い続けた結果、見知らぬ森の中で気を失っていた俺を助けてくれた人。
聞けばこの森で育てている林檎を近くの町に売って生計を立てているらしい。
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